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26
カチッ、という音と共に、再びムーディ・ブルースのリプレイが始まった。
「すでに4人、人質にした。残りはブチャラティともう一人と、女だけだ。すぐに片づけるぜ。行き先はよお、カプリ島だ!」
「!!おい、どーすんだ!?行き先をしゃべられてるぜ!!」
と、ミスタがスタンドのズッケェロを指さしながら叫んだ。
「カプリ島のどこに金が隠してあるかは、5人の仲間を始末してからブチャラティにゲロさせる。女は保険だ。最後まで取っておく。女に何かあれば、奴も気が変わるに違いない。オーバー。」
あ〜、ブローノの地雷だわ。
ルナがそう思った時、無線機から別の男の声が聞こえた。
「そのヨット、ラグーン号だったな。今、どの辺りにいる?」
「カプリ島から2時間以内で着ける所だ。ブチャラティは尾行者に用心して、ぐるーっと回り込む針路をとっているんだ。」
「わかった。高速艇で先にカプリ島に行って待ってる。マリーナグランデに入港しろ。アウト。」
そこで通信が切れ、ムーディ・ブルースのリプレイが終わった。
「なんてことだ・・・」
フーゴが、カプリ島を見ながら言った。
「やばいぞ!高速艇なら、ネアポリスから30分で島まで行けます!」
「完璧、先に島に着いてるぜ!」
ミスタが走って、デッキに転がったズッケェロの頭を掴み上げた。
「なんとしても、この野郎に今の男の正体をゲロさせてやるぜ!!」
「いや。そいつは筋金入りのギャングだ、口を割らせるのに時間がかかりそうだ。」
と、ブチャラティが言った。
「たぶん、今日中にはしゃべらないだろう。それに実際、スタンドの正体は知らないのかもしれない。仲間にさえ秘密って可能性は大きいからな。」
「じゃあどうするんだ!?このまま港に入って行ってみろ、船に乗っているのがあのズッケェロじゃあなく、俺たちだってバレたならーー!」
「またはあと1時間程度で、この船がマリーナグランデに到着しなかったなら!無線の男は、完璧にズッケェロに何かあったと思うに違いない!そうなったら、僕らは金を手にできるかどうかーいや、ネアポリスに無事に戻れるかどうか、怪しいもんです!」
「・・・」
一度やられてるミスタやフーゴの方が、焦りが強いのは当然、かな。
ルナは手すりに寄りかかりながら思った。
こうなったらーー、とるべき手は、一つしかないように思えるけれど。
「どうするんだ?ブチャラティ。」
アバッキオが尋ねる。
ルナは、隣で考え込むブチャラティを見て、ふと、気がついた。
ーーそうか。
ブローノは、私と同じことを考えていても、きっと・・・
「この船が入港する前に、」
その時、口を開いたのはジョルノだった。
「誰かが先に上陸して、その男を探して始末すればいい。」
ブチャラティの、はっと息をのむ気配。
思わずルナは、ふっと笑った。
「なーに言ってんだこいつはよお。おまえ、頭悪いんじゃあないのか?この船より先に上陸だって?泳いででも行くってのかよ?」
「はい。」
きっぱり言われ、ぽかんとするナランチャ。
「ハア!?」
「僕は、この浮き輪を魚に変えられます。そいつに引っ張ってもらえば、このヨットより速く島に着けます。もちろん僕のスタンドだから、行くのは僕です。」
その言葉が終わらないうちに、ゴールド・エクスペリエンスで、ジョルノの足下の浮き輪が生きた魚に変わる。
「このジョルノ・ジョバァーナには夢がある。」
ジョルノは、強い意志の宿った目で言った。
「僕は100億リラが欲しい。その金でブチャラティに幹部になってもらい、僕らはのし上がって行かなくちゃあいけないんです。」
ハルくん・・・
ルナは、胸にせつなさが広がってゆくのを感じた。
強く、なったなあ。
もう、階段に座り込んで、泣いていた子供じゃあない。
<弟>から、卒業させてあげなきゃ、失礼だよね・・・
その時、急に、アバッキオが笑い出した。
「おまえが行く?それはいいだろう。なかなかいいアイディアを出す坊やだ。だが惜しいことに、そいつの顔も名前もおまえはわからない。カプリの港は観光客だらけだぜ、その中からどうやってそいつを見つけるつもりだ?」
「俺は、ジョルノの言うことに賛成だぜ。」
ゆっくりと立ち上がりながらそう言ったのは、ミスタだった。
思わぬ援軍だわ、と、ルナは思った。
「男の正体はわかんなくてもよお、そいつが、ズッケェロがこの船で港に着くのを待ってるってつーならよお、結構、可能性はあると思うんだ。男の攻撃を待ってるより、こっちから攻撃だぜ・・・!」
野性味のある凛々しい顔立ちの中で、二つの黒ダイヤの瞳に、一瞬、鋭い殺気がこもる。
「俺のスタンド、セックス・ピストルズは暗殺向きだ。こういうのには向いてるからな。俺も行くぜ!」
26.5
「ジョルノが心配か?」
デッキから、カプリ島の特徴的な島影を見ていると、ブチャラティが隣に立ちながら言った。
ルナはくすりと笑って、
「ミスタのことも心配してるわよ?」
言うと、手のひらにあるブローチをそっと握りしめる。
ジョルノがカプリ島へ行く前に、海中に落としたらいやだから預かっていて欲しいとルナに差し出した、テントウ虫を模った小さなブローチ。それはいつも、ジョルノの制服の胸を飾っていた。
「でも、あの二人なら大丈夫。戦いにおいても、スタンド同士の相性がいい気がするわ。だから行かせたんでしょう?ブローノ。ほんとは、自分が行くつもりだったけれど。」
「・・・」
『敵の裏をかくことは、当然、ブチャラティも考えたと思います。でも彼は、自分が行くことで、あなたのそばを離れることになるのを懸念した。少しの間にせよ、また船が敵に襲われないとも限らない。きっと敵は、まずあなたを狙う。』
『私としては、足手まといみたいで、イヤだけどね・・・』
ジョルノは困ったように少し笑った。
『ルナ、あなたは、守らなくちゃあいけない人なんです・・・わかってください。』
「俺には、カプリ島にこの船より先に着く手段がない。ジョルノのスタンドならそれが出来る。これが最善なんだ。」
と、ブチャラティは言った。
「ちょっと、過保護なんじゃない?ブローノって・・・」
「ルナが呑気すぎるんだ。」
「ひっど!」
ぶっす〜〜〜。
ブチャラティは真顔になって、水平線の方へ視線を向けた。
ブルーブラックの髪が、サラサラと風に踊って綺麗だった。
「気になるんだ。なぜ、君を連れて来るよう命令されたのか。君に心当たりがないなら、いったい何の為なんだ?」
「・・・」
ルナは何も答えることは出来ない。
ただ、ブチャラティがこれ以上、自分の為に苦しまなければいいと、思っていた。
カチッ、という音と共に、再びムーディ・ブルースのリプレイが始まった。
「すでに4人、人質にした。残りはブチャラティともう一人と、女だけだ。すぐに片づけるぜ。行き先はよお、カプリ島だ!」
「!!おい、どーすんだ!?行き先をしゃべられてるぜ!!」
と、ミスタがスタンドのズッケェロを指さしながら叫んだ。
「カプリ島のどこに金が隠してあるかは、5人の仲間を始末してからブチャラティにゲロさせる。女は保険だ。最後まで取っておく。女に何かあれば、奴も気が変わるに違いない。オーバー。」
あ〜、ブローノの地雷だわ。
ルナがそう思った時、無線機から別の男の声が聞こえた。
「そのヨット、ラグーン号だったな。今、どの辺りにいる?」
「カプリ島から2時間以内で着ける所だ。ブチャラティは尾行者に用心して、ぐるーっと回り込む針路をとっているんだ。」
「わかった。高速艇で先にカプリ島に行って待ってる。マリーナグランデに入港しろ。アウト。」
そこで通信が切れ、ムーディ・ブルースのリプレイが終わった。
「なんてことだ・・・」
フーゴが、カプリ島を見ながら言った。
「やばいぞ!高速艇なら、ネアポリスから30分で島まで行けます!」
「完璧、先に島に着いてるぜ!」
ミスタが走って、デッキに転がったズッケェロの頭を掴み上げた。
「なんとしても、この野郎に今の男の正体をゲロさせてやるぜ!!」
「いや。そいつは筋金入りのギャングだ、口を割らせるのに時間がかかりそうだ。」
と、ブチャラティが言った。
「たぶん、今日中にはしゃべらないだろう。それに実際、スタンドの正体は知らないのかもしれない。仲間にさえ秘密って可能性は大きいからな。」
「じゃあどうするんだ!?このまま港に入って行ってみろ、船に乗っているのがあのズッケェロじゃあなく、俺たちだってバレたならーー!」
「またはあと1時間程度で、この船がマリーナグランデに到着しなかったなら!無線の男は、完璧にズッケェロに何かあったと思うに違いない!そうなったら、僕らは金を手にできるかどうかーいや、ネアポリスに無事に戻れるかどうか、怪しいもんです!」
「・・・」
一度やられてるミスタやフーゴの方が、焦りが強いのは当然、かな。
ルナは手すりに寄りかかりながら思った。
こうなったらーー、とるべき手は、一つしかないように思えるけれど。
「どうするんだ?ブチャラティ。」
アバッキオが尋ねる。
ルナは、隣で考え込むブチャラティを見て、ふと、気がついた。
ーーそうか。
ブローノは、私と同じことを考えていても、きっと・・・
「この船が入港する前に、」
その時、口を開いたのはジョルノだった。
「誰かが先に上陸して、その男を探して始末すればいい。」
ブチャラティの、はっと息をのむ気配。
思わずルナは、ふっと笑った。
「なーに言ってんだこいつはよお。おまえ、頭悪いんじゃあないのか?この船より先に上陸だって?泳いででも行くってのかよ?」
「はい。」
きっぱり言われ、ぽかんとするナランチャ。
「ハア!?」
「僕は、この浮き輪を魚に変えられます。そいつに引っ張ってもらえば、このヨットより速く島に着けます。もちろん僕のスタンドだから、行くのは僕です。」
その言葉が終わらないうちに、ゴールド・エクスペリエンスで、ジョルノの足下の浮き輪が生きた魚に変わる。
「このジョルノ・ジョバァーナには夢がある。」
ジョルノは、強い意志の宿った目で言った。
「僕は100億リラが欲しい。その金でブチャラティに幹部になってもらい、僕らはのし上がって行かなくちゃあいけないんです。」
ハルくん・・・
ルナは、胸にせつなさが広がってゆくのを感じた。
強く、なったなあ。
もう、階段に座り込んで、泣いていた子供じゃあない。
<弟>から、卒業させてあげなきゃ、失礼だよね・・・
その時、急に、アバッキオが笑い出した。
「おまえが行く?それはいいだろう。なかなかいいアイディアを出す坊やだ。だが惜しいことに、そいつの顔も名前もおまえはわからない。カプリの港は観光客だらけだぜ、その中からどうやってそいつを見つけるつもりだ?」
「俺は、ジョルノの言うことに賛成だぜ。」
ゆっくりと立ち上がりながらそう言ったのは、ミスタだった。
思わぬ援軍だわ、と、ルナは思った。
「男の正体はわかんなくてもよお、そいつが、ズッケェロがこの船で港に着くのを待ってるってつーならよお、結構、可能性はあると思うんだ。男の攻撃を待ってるより、こっちから攻撃だぜ・・・!」
野性味のある凛々しい顔立ちの中で、二つの黒ダイヤの瞳に、一瞬、鋭い殺気がこもる。
「俺のスタンド、セックス・ピストルズは暗殺向きだ。こういうのには向いてるからな。俺も行くぜ!」
26.5
「ジョルノが心配か?」
デッキから、カプリ島の特徴的な島影を見ていると、ブチャラティが隣に立ちながら言った。
ルナはくすりと笑って、
「ミスタのことも心配してるわよ?」
言うと、手のひらにあるブローチをそっと握りしめる。
ジョルノがカプリ島へ行く前に、海中に落としたらいやだから預かっていて欲しいとルナに差し出した、テントウ虫を模った小さなブローチ。それはいつも、ジョルノの制服の胸を飾っていた。
「でも、あの二人なら大丈夫。戦いにおいても、スタンド同士の相性がいい気がするわ。だから行かせたんでしょう?ブローノ。ほんとは、自分が行くつもりだったけれど。」
「・・・」
『敵の裏をかくことは、当然、ブチャラティも考えたと思います。でも彼は、自分が行くことで、あなたのそばを離れることになるのを懸念した。少しの間にせよ、また船が敵に襲われないとも限らない。きっと敵は、まずあなたを狙う。』
『私としては、足手まといみたいで、イヤだけどね・・・』
ジョルノは困ったように少し笑った。
『ルナ、あなたは、守らなくちゃあいけない人なんです・・・わかってください。』
「俺には、カプリ島にこの船より先に着く手段がない。ジョルノのスタンドならそれが出来る。これが最善なんだ。」
と、ブチャラティは言った。
「ちょっと、過保護なんじゃない?ブローノって・・・」
「ルナが呑気すぎるんだ。」
「ひっど!」
ぶっす〜〜〜。
ブチャラティは真顔になって、水平線の方へ視線を向けた。
ブルーブラックの髪が、サラサラと風に踊って綺麗だった。
「気になるんだ。なぜ、君を連れて来るよう命令されたのか。君に心当たりがないなら、いったい何の為なんだ?」
「・・・」
ルナは何も答えることは出来ない。
ただ、ブチャラティがこれ以上、自分の為に苦しまなければいいと、思っていた。