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22
ブチャラティの声に、ルナは、他の皆と同じく後ろを振り返る。
すると、ちょうど船室の屋根の辺りに座っていたはずのナランチャが、いなかった。
「ナランチャ!?何やってんだおまえ!」
一番近くにいたミスタが駆け寄る。
が、彼は屋根によじ登るとすぐ、目を見張ってこっちを見た。
「おいっ、おまえら、ちょっと来てくれ!」
ナランチャが座っていたのは、船室の屋根にある、雨水や海水を流すハッチのような四角いくぼみだった。
でも・・・
「靴が、片方だけ・・・」
言って、ジョルノが、ハッチに残されたナランチャの靴を取った。
「寄こせ!ジョルノ!」
アバッキオが靴を奪う。
フーゴが周囲を見回しながら言った。
「状況がよくわからないんですけどー、ナランチャの奴、あいついったいどこ行ったんです!?」
「おまえたち、見えなかったのか・・・?」
ブチャラティは顔を上げて言った。
「ナランチャがー、このボックスの中に引きずり込まれたように、俺には見えたんだ。」
さっきは、みんなが、ブローノに注目していた。つまり、彼だけが、後ろにいたナランチャが見えていたということ・・・
「んなわけねーだろ!!あいつ、まさか、海の中にドボンしたんじゃあねえだろうな!?」
言って、ミスタは浮き輪を掴むと、
「おいナランチャ!!ふざけて隠れてんならー、よっ!!さっさと返事しろ!」
デッキに飛び降りた。
他のみんなも、声を出してナランチャを探し始めた時、ルナは、あることに気づいた。
「ミスタの声が、聞こえなくなった・・・」
いやな予感がする。
「ミスタ?何やってんですか?どこですか、ミスタ!?」
フーゴがデッキに降りた。
「待って!フーゴ!」
「ちょっとミスタ!あんたまでふざけたことやってー」
ルナが叫ぶのと、船室の扉を開け、その陰に入ったフーゴの声が不自然に途切れるのが、同時だった。
「フーゴ!」
「ルナ!」
デッキへ飛び降りたルナを、ブチャラティが追う。
「これは・・・!?」
船室の扉近くの壁、その片側が無残に壊れていた。そして、フーゴの姿は消えている。
「ーアバッキオ!ジョルノ!お互い離れるな!攻撃されているっ!」
ブチャラティが、片腕をルナのウエストに回して船室の前から引き離しながら叫んだ。
「この船のどこかに、何者かが潜んでいる!スタンド攻撃だ!」
船を包む空気が一変する。
ザンッ、と、大きな波が船体に打ちつける音が響いた。
「しかし、なんで突然・・・」
「金だ。」
アバッキオの呟きに、ブチャラティは即答した。
「俺が、隠し金の在り処を知っていることがバレていて、それをブン取るつもりなんだ。つまり、組織の誰かだ。」
アバッキオは舌打ちした。
「そいつは陸からずっとどこかに潜んで、俺たちを尾けていたってことか!」
「らしいな。俺がなかなか金の場所を言わねえもんだから、しびれを切らしたんだろう。俺以外全員を始末して、俺に吐かせるつもりだ。海の上ならどこにも逃がさず、じっくりやれるからな。」
「ナランチャたちは死んだと?」
「そうは言ってない。だが100億の為だ、同じ組織の人間だろうが、平気で殺しをやるだろう。」
「ーいえ。ナランチャたちは生きています。」
と、それまで黙っていたジョルノが、きっぱりと言った。
「この船のどこかにいます。人質として利用しようとしているのか知りませんが、とにかく生きています。」
「ジョルノ・ジョバァーナ・・・」
アバッキオが苛立たしげに言った。
「なんでおまえさんによ、はっきりとそんなことがわかる!?」
すると、ジョルノは船室の方を指差した。
「僕のスタンドで、ナランチャの靴をハエに変えました。ハエは、主人であるナランチャの所に戻ろうとしています。ナランチャが死んでいれば、ああいうふうに探すように飛び回らない。」
「彼を探せるの!?」
「生きてはいます。ルナ、生きてはいるんですが・・・ハエは、船室に降りて行くでも、ロッカーの中でもない。なかなか止まらないんです。ハエは、さっきからずっとあの辺りをー、ナランチャを探して飛んでいるんです。」
「何だ、こいつの能力はー・・・!?」
「いいから黙って聞け!アバッキオ。」
「ナランチャは、あの船室の入り口辺りにいます。それは確かです。しかしなぜか、ハエは見つけられないで、方向を見失っているんです。」
言って、ジョルノはルナの方を見た。
「ルナ、船室のあの辺りに、あなたのスタンドを使ったとしたら、どうなりますか?」
「・・・私の能力のネックは、本体である私が認識していなければ、支配できないこと。今のあなたの話でいけば、おそらくナランチャのいる所が敵のいる所。つまり、敵は、そこらへんの物陰にただ隠れているってわけじゃあない。今、あの辺りにスタンドを使っても、意味がないと思う。」
「なるほど・・・」
ブチャラティが頷いて言った。
「敵の能力の謎を見極めない限り、うかつに近づいたらやられるってことか。」
「しかし、隠れて襲う能力ということは、逆にそれが短所。謎さえわかれば、奴を倒せるということです。」
「・・・」
ブチャラティは考えるような表情で、ちらりとアバッキオを見た。
「おまえのスタンドなら、ああいう奴は、倒せるかもな・・・」
「えっ?」
ルナは、アバッキオのスタンドをまだ見たことがなかった。
「倒せる?あなたの能力で、謎が解けるんですか?」
ジョルノが尋ねると、アバッキオは彼の方を見ないまま呟く。
「さあな・・・」
無表情に近いアバッキオの横顔は、何を考えているかわからない。
「おい、アバッキオ!おまえこんな時に、つまらないことにこだわってるんじゃあねえだろうな!?」
「つまらねえこと?いや、俺の安全に関わることだ。俺は、こんな信用できない奴の前で、自分のスタンド能力を簡単に見せるわけにはいかない。ブチャラティ、おまえはこいつのどこを信用してるのか知らねえが、俺はこいつと仲間になんかなったつもりはねえぜ。」
「アバッキオ・・・」
「ルナ、言っとくが俺は、おまえのことまで信用してないわけじゃあねえ。だがいくらそのおまえとこいつが、ガキの頃から知り合いだろうと、それは俺には関係のねえ話だ。」
ルナは、以前、ブチャラティから聞いたことがあった。
アバッキオは元警官で、警戒心が強く、なかなか人を信じないと。
「敵の謎を解かなくては、俺たちは皆殺しだぞ!」
「だからそれは、この信用できないガキが言ってるだけの推測だぜ、ブチャラティ!臆病な想像だけで、見たわけでもないのにな。」
「アバッキオ!」
「敵は、あの下の船室のどこかにただ隠れているだけさ。今、見つけ出して、俺がブチのめしてやるさ!」
「謎を解かなければ、近づいただけで確実にやられます。」
「やかましいぞ!!」
アバッキオがジョルノに詰め寄った。
「この、ガキが・・・!」
「・・・」
ジョルノは、アバッキオの方を見た。
罵られたことに対する恐怖や怒りはなく、ただ、落ち着いた光のある瞳で。
そして、左手の手のひらを胸にあてた。
「このジョルノ・ジョバァーナには、夢がある・・・!」
何かやる!と、ルナは直観的に思った。
「なに言ってんだおまえ。」
アバッキオが冷たく突っ込んだその時、ジョルノは、船室の方へ走り出した。
「謎、解けるんですね!?お願いしますよ!」
「ハルくん!!」
あなたいったい何をーー!?
ーーザクッ!!
「!!!?」
突然、船室の手前のデッキの隙間から腕のようなモノが伸び、ジョルノを捕らえたと思うと、次の瞬間、彼の背中あたりに短剣のようなものが突き刺さった。
「ジョルノ!!」
そして、ブチャラティが助けに行こうとした、その時だった。
ダン!!と、ブチャラティの前に立ちはだかった、長身の背中ーーー・・・
「アバッキオ・・・?」
「・・・ジョルノ・ジョバァーナ。クレイジーな野郎だな。証明するためにか・・・どうかしてんじゃあねえのか!!」
ブチャラティの声に、ルナは、他の皆と同じく後ろを振り返る。
すると、ちょうど船室の屋根の辺りに座っていたはずのナランチャが、いなかった。
「ナランチャ!?何やってんだおまえ!」
一番近くにいたミスタが駆け寄る。
が、彼は屋根によじ登るとすぐ、目を見張ってこっちを見た。
「おいっ、おまえら、ちょっと来てくれ!」
ナランチャが座っていたのは、船室の屋根にある、雨水や海水を流すハッチのような四角いくぼみだった。
でも・・・
「靴が、片方だけ・・・」
言って、ジョルノが、ハッチに残されたナランチャの靴を取った。
「寄こせ!ジョルノ!」
アバッキオが靴を奪う。
フーゴが周囲を見回しながら言った。
「状況がよくわからないんですけどー、ナランチャの奴、あいついったいどこ行ったんです!?」
「おまえたち、見えなかったのか・・・?」
ブチャラティは顔を上げて言った。
「ナランチャがー、このボックスの中に引きずり込まれたように、俺には見えたんだ。」
さっきは、みんなが、ブローノに注目していた。つまり、彼だけが、後ろにいたナランチャが見えていたということ・・・
「んなわけねーだろ!!あいつ、まさか、海の中にドボンしたんじゃあねえだろうな!?」
言って、ミスタは浮き輪を掴むと、
「おいナランチャ!!ふざけて隠れてんならー、よっ!!さっさと返事しろ!」
デッキに飛び降りた。
他のみんなも、声を出してナランチャを探し始めた時、ルナは、あることに気づいた。
「ミスタの声が、聞こえなくなった・・・」
いやな予感がする。
「ミスタ?何やってんですか?どこですか、ミスタ!?」
フーゴがデッキに降りた。
「待って!フーゴ!」
「ちょっとミスタ!あんたまでふざけたことやってー」
ルナが叫ぶのと、船室の扉を開け、その陰に入ったフーゴの声が不自然に途切れるのが、同時だった。
「フーゴ!」
「ルナ!」
デッキへ飛び降りたルナを、ブチャラティが追う。
「これは・・・!?」
船室の扉近くの壁、その片側が無残に壊れていた。そして、フーゴの姿は消えている。
「ーアバッキオ!ジョルノ!お互い離れるな!攻撃されているっ!」
ブチャラティが、片腕をルナのウエストに回して船室の前から引き離しながら叫んだ。
「この船のどこかに、何者かが潜んでいる!スタンド攻撃だ!」
船を包む空気が一変する。
ザンッ、と、大きな波が船体に打ちつける音が響いた。
「しかし、なんで突然・・・」
「金だ。」
アバッキオの呟きに、ブチャラティは即答した。
「俺が、隠し金の在り処を知っていることがバレていて、それをブン取るつもりなんだ。つまり、組織の誰かだ。」
アバッキオは舌打ちした。
「そいつは陸からずっとどこかに潜んで、俺たちを尾けていたってことか!」
「らしいな。俺がなかなか金の場所を言わねえもんだから、しびれを切らしたんだろう。俺以外全員を始末して、俺に吐かせるつもりだ。海の上ならどこにも逃がさず、じっくりやれるからな。」
「ナランチャたちは死んだと?」
「そうは言ってない。だが100億の為だ、同じ組織の人間だろうが、平気で殺しをやるだろう。」
「ーいえ。ナランチャたちは生きています。」
と、それまで黙っていたジョルノが、きっぱりと言った。
「この船のどこかにいます。人質として利用しようとしているのか知りませんが、とにかく生きています。」
「ジョルノ・ジョバァーナ・・・」
アバッキオが苛立たしげに言った。
「なんでおまえさんによ、はっきりとそんなことがわかる!?」
すると、ジョルノは船室の方を指差した。
「僕のスタンドで、ナランチャの靴をハエに変えました。ハエは、主人であるナランチャの所に戻ろうとしています。ナランチャが死んでいれば、ああいうふうに探すように飛び回らない。」
「彼を探せるの!?」
「生きてはいます。ルナ、生きてはいるんですが・・・ハエは、船室に降りて行くでも、ロッカーの中でもない。なかなか止まらないんです。ハエは、さっきからずっとあの辺りをー、ナランチャを探して飛んでいるんです。」
「何だ、こいつの能力はー・・・!?」
「いいから黙って聞け!アバッキオ。」
「ナランチャは、あの船室の入り口辺りにいます。それは確かです。しかしなぜか、ハエは見つけられないで、方向を見失っているんです。」
言って、ジョルノはルナの方を見た。
「ルナ、船室のあの辺りに、あなたのスタンドを使ったとしたら、どうなりますか?」
「・・・私の能力のネックは、本体である私が認識していなければ、支配できないこと。今のあなたの話でいけば、おそらくナランチャのいる所が敵のいる所。つまり、敵は、そこらへんの物陰にただ隠れているってわけじゃあない。今、あの辺りにスタンドを使っても、意味がないと思う。」
「なるほど・・・」
ブチャラティが頷いて言った。
「敵の能力の謎を見極めない限り、うかつに近づいたらやられるってことか。」
「しかし、隠れて襲う能力ということは、逆にそれが短所。謎さえわかれば、奴を倒せるということです。」
「・・・」
ブチャラティは考えるような表情で、ちらりとアバッキオを見た。
「おまえのスタンドなら、ああいう奴は、倒せるかもな・・・」
「えっ?」
ルナは、アバッキオのスタンドをまだ見たことがなかった。
「倒せる?あなたの能力で、謎が解けるんですか?」
ジョルノが尋ねると、アバッキオは彼の方を見ないまま呟く。
「さあな・・・」
無表情に近いアバッキオの横顔は、何を考えているかわからない。
「おい、アバッキオ!おまえこんな時に、つまらないことにこだわってるんじゃあねえだろうな!?」
「つまらねえこと?いや、俺の安全に関わることだ。俺は、こんな信用できない奴の前で、自分のスタンド能力を簡単に見せるわけにはいかない。ブチャラティ、おまえはこいつのどこを信用してるのか知らねえが、俺はこいつと仲間になんかなったつもりはねえぜ。」
「アバッキオ・・・」
「ルナ、言っとくが俺は、おまえのことまで信用してないわけじゃあねえ。だがいくらそのおまえとこいつが、ガキの頃から知り合いだろうと、それは俺には関係のねえ話だ。」
ルナは、以前、ブチャラティから聞いたことがあった。
アバッキオは元警官で、警戒心が強く、なかなか人を信じないと。
「敵の謎を解かなくては、俺たちは皆殺しだぞ!」
「だからそれは、この信用できないガキが言ってるだけの推測だぜ、ブチャラティ!臆病な想像だけで、見たわけでもないのにな。」
「アバッキオ!」
「敵は、あの下の船室のどこかにただ隠れているだけさ。今、見つけ出して、俺がブチのめしてやるさ!」
「謎を解かなければ、近づいただけで確実にやられます。」
「やかましいぞ!!」
アバッキオがジョルノに詰め寄った。
「この、ガキが・・・!」
「・・・」
ジョルノは、アバッキオの方を見た。
罵られたことに対する恐怖や怒りはなく、ただ、落ち着いた光のある瞳で。
そして、左手の手のひらを胸にあてた。
「このジョルノ・ジョバァーナには、夢がある・・・!」
何かやる!と、ルナは直観的に思った。
「なに言ってんだおまえ。」
アバッキオが冷たく突っ込んだその時、ジョルノは、船室の方へ走り出した。
「謎、解けるんですね!?お願いしますよ!」
「ハルくん!!」
あなたいったい何をーー!?
ーーザクッ!!
「!!!?」
突然、船室の手前のデッキの隙間から腕のようなモノが伸び、ジョルノを捕らえたと思うと、次の瞬間、彼の背中あたりに短剣のようなものが突き刺さった。
「ジョルノ!!」
そして、ブチャラティが助けに行こうとした、その時だった。
ダン!!と、ブチャラティの前に立ちはだかった、長身の背中ーーー・・・
「アバッキオ・・・?」
「・・・ジョルノ・ジョバァーナ。クレイジーな野郎だな。証明するためにか・・・どうかしてんじゃあねえのか!!」