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18
ポルポから渡された、パッショーネの金のバッジ。
ジョルノがそれを見せると、ブチャラティはひとこと、一緒に来い、と言って歩き出した。
そして歩きながら、組織についてジョルノに説明した。
イタリア全土、ヨーロッパまで支配圏があるギャング組織、<パッショーネ>。
その頂点に君臨するのが、名前も年齢も容姿もーーー、すべてを秘密にするボス。
ボスの正体を探っていることがバレれば、即、殺されてしまうほどに用心深い。
「信頼を得なくてはボスは倒せない。その為に俺たちは、まず力を付ける。」
「信頼?」
「そうだ。まず上に信頼され、ボスの正体に近い地位、<幹部>までのし上がる必要がある。その為には、俺たちと同格である、複数の<チーム>を出し抜く必要がある。ーそして、」
そこで言葉を切ると、ブチャラティは振り向いた。
「そして何より、信頼できる仲間が必要だ。信頼できるチーム。ボスを倒すには、これが必要になる。」
ーー彼の中では、すでに覚悟が決まっている。
そう思わせるような、迷いのない声だった。
ジョルノは、ブチャラティの目を見て言った。
「わかりました。」
ブチャラティは小さく頷くと、また歩き始めた。
街の中心部に近づくにつれ、ブチャラティには老若男女を問わずたくさんの声がかけられた。それに対して、彼は一つ一つ返事をしていく。
ーーやっぱり、僕の目は間違っていなかった。
ジョルノは確信を覚えた。
ブチャラティは一般の人たちにも慕われている。ギャングという職業ではなく、彼の人柄が大きいのだろう。そして、強いリーダーシップを発揮するタイプだ。頭の回転も速い。彼を仲間として選んだのは、正しい選択だった。
「Ciao、ブチャラティ!ねえ、いつになったら食事に誘ってくれるの?」
「悪いな、仕事があるんだ。」
「もう!いつもそれなんだから。」
ブチャラティが、何人目かの女の誘いをあっさり断った後、ジョルノは、その姿勢のいい背中に向かって言った。
「綺麗な人でしたけど。女性にモテますね。」
「・・・いつだったか、同じようなセリフを言われた気がするな。ああいうのが好みか?」
「いいえ。たぶん僕の好みの女性のタイプは、あなたと同じです。」
「・・・」
ブチャラティは足を止めて振り返った。
そして、ゆっくり腕を組むと、
「何が言いたい?ジョルノ・ジョバァーナ。」
「単刀直入に言います。ルナを僕にください。」
「断る。」
ブチャラティは深いブルーの瞳を凛と光らせて即答した。
「そもそもルナはモノじゃあないが・・・どこの世界に、惚れた女を、はいどうぞと他の奴に渡す男がいる?ありえねえぜ。」
「僕は、あなたに知っておいて欲しかっただけです。ブチャラティ、あなたがルナに出会うずっと前から、僕は、彼女を想ってきました。まさか今、このタイミングで、再会するとは思っていませんでしたし、お互いスタンド能力者であることには驚きましたがーー、ルナが、僕にとって、一番大事な人であることには変わりない。」
「宣戦布告というわけか?」
「僕は、あなたのチームの一員になります。それは僕の夢の為に、僕自身が望んでいることです。でも、<それとこれとは>、話は別だと、最初に言っておきたかったんです。」
ーーずっと、心の中にいた。
でもそれは、日本で暮らしていた頃の大切な思い出だからで、憧れのような感情だったかもしれない。
誰かに優しくしてもらったのは初めてだったから、家族的な親愛の気持ちを異性に対する恋情と混同しているんじゃあ、と思うこともあった。
でも、あの時。
『ハルくん、会いたかった。』
久しぶりに耳にした、自分の本名。
その柔らかく澄んだ声。
透き通るように美しい笑顔。
自分が、どれほど会いたかったかーーー。
心が震えるというのがどういうことなのか、初めてわかった。
ルナが好きだ。
<ギャング・スター>になるという夢と同じくらい、この気持ちは譲れない。
「なるほど。言いたいことはわかった。」
ブチャラティは落ち着いた声で言うと、
「選ぶのはルナだ。彼女が選んだ相手が誰であろうと、それは彼女の自由だ。ー俺からもひとつだけ言わせてもらうぞ、ジョルノ。」
ジョルノを見すえて続けた。
「男なら、好きな女を追い詰めるような愛し方はするな。」
「っーー!!」
『あなたにとって、僕よりもブチャラティの方が大切な存在ですか?』
『そんなーー・・・』
あの時、ルナは、泣きそうな顔をしていた。
卑怯な問いかけだと、ジョルノは承知していた。ルナの性格なら、答えられるはずがないと、わかっていたのだから。
わかっていたけれど、あえて、口にした。
自分のことを、ルナを想うひとりの<男>として、意識して欲しかったからだ。
だがブチャラティは、自分のことではなく、まずルナの気持ちを優先している。
屈辱感と、自分に対する怒りに打ちのめされながら、ぎり、と、ジョルノは拳を握りしめた。
自分とブチャラティの差を、痛いほど感じた。
そんなジョルノを見て、ブチャラティは意外そうに片方の眉を少し持ち上げた。
そして、すっと踵を返しながら言った。
「行くぞ。俺のチームに会わせる。全員、スタンド使いだ。」
ポルポから渡された、パッショーネの金のバッジ。
ジョルノがそれを見せると、ブチャラティはひとこと、一緒に来い、と言って歩き出した。
そして歩きながら、組織についてジョルノに説明した。
イタリア全土、ヨーロッパまで支配圏があるギャング組織、<パッショーネ>。
その頂点に君臨するのが、名前も年齢も容姿もーーー、すべてを秘密にするボス。
ボスの正体を探っていることがバレれば、即、殺されてしまうほどに用心深い。
「信頼を得なくてはボスは倒せない。その為に俺たちは、まず力を付ける。」
「信頼?」
「そうだ。まず上に信頼され、ボスの正体に近い地位、<幹部>までのし上がる必要がある。その為には、俺たちと同格である、複数の<チーム>を出し抜く必要がある。ーそして、」
そこで言葉を切ると、ブチャラティは振り向いた。
「そして何より、信頼できる仲間が必要だ。信頼できるチーム。ボスを倒すには、これが必要になる。」
ーー彼の中では、すでに覚悟が決まっている。
そう思わせるような、迷いのない声だった。
ジョルノは、ブチャラティの目を見て言った。
「わかりました。」
ブチャラティは小さく頷くと、また歩き始めた。
街の中心部に近づくにつれ、ブチャラティには老若男女を問わずたくさんの声がかけられた。それに対して、彼は一つ一つ返事をしていく。
ーーやっぱり、僕の目は間違っていなかった。
ジョルノは確信を覚えた。
ブチャラティは一般の人たちにも慕われている。ギャングという職業ではなく、彼の人柄が大きいのだろう。そして、強いリーダーシップを発揮するタイプだ。頭の回転も速い。彼を仲間として選んだのは、正しい選択だった。
「Ciao、ブチャラティ!ねえ、いつになったら食事に誘ってくれるの?」
「悪いな、仕事があるんだ。」
「もう!いつもそれなんだから。」
ブチャラティが、何人目かの女の誘いをあっさり断った後、ジョルノは、その姿勢のいい背中に向かって言った。
「綺麗な人でしたけど。女性にモテますね。」
「・・・いつだったか、同じようなセリフを言われた気がするな。ああいうのが好みか?」
「いいえ。たぶん僕の好みの女性のタイプは、あなたと同じです。」
「・・・」
ブチャラティは足を止めて振り返った。
そして、ゆっくり腕を組むと、
「何が言いたい?ジョルノ・ジョバァーナ。」
「単刀直入に言います。ルナを僕にください。」
「断る。」
ブチャラティは深いブルーの瞳を凛と光らせて即答した。
「そもそもルナはモノじゃあないが・・・どこの世界に、惚れた女を、はいどうぞと他の奴に渡す男がいる?ありえねえぜ。」
「僕は、あなたに知っておいて欲しかっただけです。ブチャラティ、あなたがルナに出会うずっと前から、僕は、彼女を想ってきました。まさか今、このタイミングで、再会するとは思っていませんでしたし、お互いスタンド能力者であることには驚きましたがーー、ルナが、僕にとって、一番大事な人であることには変わりない。」
「宣戦布告というわけか?」
「僕は、あなたのチームの一員になります。それは僕の夢の為に、僕自身が望んでいることです。でも、<それとこれとは>、話は別だと、最初に言っておきたかったんです。」
ーーずっと、心の中にいた。
でもそれは、日本で暮らしていた頃の大切な思い出だからで、憧れのような感情だったかもしれない。
誰かに優しくしてもらったのは初めてだったから、家族的な親愛の気持ちを異性に対する恋情と混同しているんじゃあ、と思うこともあった。
でも、あの時。
『ハルくん、会いたかった。』
久しぶりに耳にした、自分の本名。
その柔らかく澄んだ声。
透き通るように美しい笑顔。
自分が、どれほど会いたかったかーーー。
心が震えるというのがどういうことなのか、初めてわかった。
ルナが好きだ。
<ギャング・スター>になるという夢と同じくらい、この気持ちは譲れない。
「なるほど。言いたいことはわかった。」
ブチャラティは落ち着いた声で言うと、
「選ぶのはルナだ。彼女が選んだ相手が誰であろうと、それは彼女の自由だ。ー俺からもひとつだけ言わせてもらうぞ、ジョルノ。」
ジョルノを見すえて続けた。
「男なら、好きな女を追い詰めるような愛し方はするな。」
「っーー!!」
『あなたにとって、僕よりもブチャラティの方が大切な存在ですか?』
『そんなーー・・・』
あの時、ルナは、泣きそうな顔をしていた。
卑怯な問いかけだと、ジョルノは承知していた。ルナの性格なら、答えられるはずがないと、わかっていたのだから。
わかっていたけれど、あえて、口にした。
自分のことを、ルナを想うひとりの<男>として、意識して欲しかったからだ。
だがブチャラティは、自分のことではなく、まずルナの気持ちを優先している。
屈辱感と、自分に対する怒りに打ちのめされながら、ぎり、と、ジョルノは拳を握りしめた。
自分とブチャラティの差を、痛いほど感じた。
そんなジョルノを見て、ブチャラティは意外そうに片方の眉を少し持ち上げた。
そして、すっと踵を返しながら言った。
「行くぞ。俺のチームに会わせる。全員、スタンド使いだ。」