RING

夢小説設定

本棚全体の夢小説設定
夢主の名前

『人間の運命は、その人自身の魂の中にある』
(ヘロドトス)


prologue


「来ちゃった・・・」

カポディキーノ国際空港に到着して、ルナは思わず呟いた。

南イタリア最大の都市、ネアポリス。

18歳の春、初めて母親の母国の土を踏んだ。

ーきっかけは、承太郎さん。

「汐華 初流乃・・・!?」

自分が口にした名前を聞いて顔色を変えたルナを、空条承太郎は訝しげに見た。

「知っているのか?」

「・・・子供の頃、近所に住んでいた男の子と同じ名前なの。よく遊んでて・・・。でもある日突然、引っ越していなくなってしまったわ。年齢も、合ってる。3つ下だったもの。」

「・・・」

「信じられない・・・あのハルくんが、DIOの、息子・・・?」

承太郎は、二人が知り合いかもしれないという事実に驚きつつも、一方でやはり、という感覚に襲われていた。

何という偶然ーーーいや、必然と言うべきか。

「承太郎さん、私に行かせて。」

迷いのない凛とした声が届いた。

「ママのこともあるし。自分で確かめたい。」

「ならば、康一くんにも手伝ってもらおう。彼は頼りになる男だ。一緒の方が何かと安心だ。」

「確かに康一はいい奴だけど、ベビーシッターが必要な歳じゃないわよ、私は。一人でも大丈夫。」

意外と心配性よね、とルナは笑いながら続けた。

それだけではない、と承太郎は思う。

自分が懸念していることは、彼女が考えているそれ以外にもある。

ルナが、圧倒的に美しいことだ。

ゆるやかに艶めく長い髪、きめ細やかな白い肌、すっと通った鼻筋、柔らかそうな唇。

そして、何より印象的な、長い睫毛に縁取られた、透き通った菫色の瞳・・・

長い付き合いの自分にとっては、もはや妹のような存在だが、イタリアーノの中に送り込めばどうなることか。

やっかいなのは、ルナにその自覚が無いことなのだ。自分の容姿について、無頓着。

すると、承太郎の沈黙を相変わらず取り違えたまま、ルナは言った。

「大丈夫よ。いざとなれば、これでも結構強いし、私。承太郎さんほどじゃないけど。」

自分にスター・プラチナがあるように、ルナもまた、スタンド使いだ。確かにその能力は、自分を含め多くの人間が認めている。

承太郎は溜め息をついた。

「やれやれだ・・・」

ーそして、運命は動き出す。





2/61ページ
スキ/拍手