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13
「歯を折られた!?」
ジョルノと別れ、ルナはブチャラティと一緒に、フニコラーレの駅に戻った。下りの電車を待つ間、ブチャラティが水飲み場で口をすすぎながら、教えてくれたのだ。
「ああ。」
ブチャラティは苦笑して続けた。
「あいつのゴールド・エクスペリエンスは二度と食らいたくないな。特に生身には。あれは効いた。」
そういえば、ブローノのビューティフォーなお顔に殴られた跡が・・・ハルくん〜!!
「この程度ですんで運が良かったのさ。お互い必死だったんだ。俺も散々痛めつけたからな、お互いさまだ。」
「二人とも、死ななくて良かったわ・・・歯医者行ってね。」
私のスタンドは、さすがに歯は生えません。
「ところで、ルナ、その背中はどうした。」
「背中?」
「汚れてる。」
「あー・・・転んだの。」
「いったいどういう転び方をすれば、背中が汚れるんだ?」
言って、ブチャラティはジロリとルナを見た。
「言ってなかったが、俺は、相手の顔を見れば、嘘を言っているかどうかがわかるんだ。」
「なっ!?なにその都合のいい特技!!」
「意外と使える。さあルナ、俺が見たところ、君は<クロ>だ。本当のことを言ってもらおうか。」
「・・・」
ルナは、観念した。
見知らぬ人相悪い3人組に拉致されそうになった話をすると、どんどんブチャラティの表情が険しくなる。
あ、やっぱり。怒ってるわあ・・・
ブチャラティは、ルナに現場まで案内するように言った。彼はしばらく路地を眺めていたが、おもむろに壁際にしゃがみ、何かを拾う。
「それなあに?」
「バッジだ。なるほどな・・・」
言って、ブチャラティはルナを向き直った。
「俺と一緒にいる限り、これからも君は狙われるだろう・・・怖いか?」
「まさか!」
ルナはにっこりと笑って続けた。
「まあ、あれよ。もれなく付いてくるおまけみたいなものでしょ、こういうのって。」
ブチャラティは真剣な目でルナを見つめた。
「ルナ、俺は、君に謝らない。」
ーーえ?
「なぜなら、俺のせいでルナに危険が迫ろうとも、俺は、君にそばにいて欲しいからだ。君をあきらめて、遠くから君の幸せを願うようなーー、そんな中途半端な愛し方はもう、出来ない。だから俺は、俺自身の為に、君を守ると誓った。」
「・・・」
「勝手な奴だろう、俺は。」
「まあね・・・」
ルナは、くすりと笑った。
私の気持ちはおかまいなしで。
全部、自分ひとりで背負うつもりで。
なんて強くてーー、なんて、優しい。
「私も言っておくけれど。私は、自分は何もしないで、ひたすら男に守られるタイプの可愛らしい女じゃないわよ。私は、私のやりたいようにやるの。いい?ブローノ。私をそばにおいておきたいなら、女に守られてプライドが傷つくような、ちっちゃい男じゃあだめよ?」
そう言ってウインクしたルナを見て、ブチャラティは、何か眩しいものを見るかのように目を細めた。
そして、困ったような笑みを浮かべると、ルナを両腕の中に抱きしめた。
「俺の運命の女神は、じゃじゃ馬だな。」
「あら。今頃気がついたの?」
ルナの唇を、ブチャラティのそれがふさぐ。
ーー愛してる。
甘やかで熱いささやきを耳に注がれながら、ルナは、少し血の味がするなあ、と、ぼんやりと思っていた。
13.5
ルナをホテルに送った後、ブチャラティは携帯電話を取り出した。
ブチャラティ本人は気づいていないが、顔馴染みのタバッキの売り子が、彼の表情を見て挨拶するのをやめる。
相手は2コールで出た。
「ー俺だ。アバッキオ、全員集めろ。」
♢
ーー深夜。
ブチャラティは、倉庫を改造したような一軒の家の前に着いた。
中はまだ明かりがついており、時折、騒ぎ声が聞こえる。
「中には10人程いるようです。出入り口は正面と裏口の2カ所。ボスはこの男です。」
言いながら、フーゴが写真を見せる。
それをブチャラティは冷たい目で一瞥すると、
「フーゴ、おまえは裏口に回れ。」
「逃げて来る奴がいたら?」
「ボス以外なら、殺せ。」
言って、玄関に向かって歩き出した。
ーー愚問だったな。と、フーゴは裏口に向かいながら思った。
あの人のあの様子じゃあ、生き残りなんているわけがない。
組織と言えるほどでもない、20人程度の、ギャング気取りのチンピラの集団。少し前から、ブチャラティの縄張りに色気を出しているのは情報として掴んでいた。
奴らは、チームの周辺をハイエナのように嗅ぎ回り、そして、安易でゲスな手段に出た。
けっして傷つけてはならない者に対してーーーー。
怒声や銃声、そして悲鳴が収まり、静けさが戻ると、フーゴは家の中に入った。
むせかえるような血と硝煙の臭いの中、死体がいくつも転がっている。
ブチャラティの足元には、頭と胴体をジッパーで切断された男がいた。
「ばっ、化け物ー」
グシャッ、と、骨が砕ける鈍い音が響く。
「きさまに口はもう必要ない。きさまに出来るのはもうーー、祈ることだけだ。」
言って、ブチャラティは男の顎を潰した足をどけた。
「アバッキオから連絡が。不法移民を使っていた売春宿の方は、潰したそうです。」
「ミスタは?」
「そっちも終わりました。裏カジノを仕切っていたこいつらの仲間を一人、生け捕りにして、金庫の番号を吐かせたと。もう始末するように言いますか?」
ブチャラティが頷くと、フーゴは電話をかけ、その通りに伝えた。
「この男の始末は?」
「両手両足の指を切り落とせ。ここからは幸い港が近い。頭と胴体はそこがいい。」
フーゴは何も言わず、ただ肩をすくめた。
♢
ーー翌日。
ルナは、ホテルのテラスで遅い朝食を終えて部屋に戻った。
何気なくテレビを点けると、ニュースが流れている。どうやら、昨夜、一つの犯罪グループが壊滅したらしい。
「ん〜と、グループのボスの男は指だけが見つかって、何らかの見せしめに殺された可能性も・・・?恐いわね〜、ネアポリスって。」
「歯を折られた!?」
ジョルノと別れ、ルナはブチャラティと一緒に、フニコラーレの駅に戻った。下りの電車を待つ間、ブチャラティが水飲み場で口をすすぎながら、教えてくれたのだ。
「ああ。」
ブチャラティは苦笑して続けた。
「あいつのゴールド・エクスペリエンスは二度と食らいたくないな。特に生身には。あれは効いた。」
そういえば、ブローノのビューティフォーなお顔に殴られた跡が・・・ハルくん〜!!
「この程度ですんで運が良かったのさ。お互い必死だったんだ。俺も散々痛めつけたからな、お互いさまだ。」
「二人とも、死ななくて良かったわ・・・歯医者行ってね。」
私のスタンドは、さすがに歯は生えません。
「ところで、ルナ、その背中はどうした。」
「背中?」
「汚れてる。」
「あー・・・転んだの。」
「いったいどういう転び方をすれば、背中が汚れるんだ?」
言って、ブチャラティはジロリとルナを見た。
「言ってなかったが、俺は、相手の顔を見れば、嘘を言っているかどうかがわかるんだ。」
「なっ!?なにその都合のいい特技!!」
「意外と使える。さあルナ、俺が見たところ、君は<クロ>だ。本当のことを言ってもらおうか。」
「・・・」
ルナは、観念した。
見知らぬ人相悪い3人組に拉致されそうになった話をすると、どんどんブチャラティの表情が険しくなる。
あ、やっぱり。怒ってるわあ・・・
ブチャラティは、ルナに現場まで案内するように言った。彼はしばらく路地を眺めていたが、おもむろに壁際にしゃがみ、何かを拾う。
「それなあに?」
「バッジだ。なるほどな・・・」
言って、ブチャラティはルナを向き直った。
「俺と一緒にいる限り、これからも君は狙われるだろう・・・怖いか?」
「まさか!」
ルナはにっこりと笑って続けた。
「まあ、あれよ。もれなく付いてくるおまけみたいなものでしょ、こういうのって。」
ブチャラティは真剣な目でルナを見つめた。
「ルナ、俺は、君に謝らない。」
ーーえ?
「なぜなら、俺のせいでルナに危険が迫ろうとも、俺は、君にそばにいて欲しいからだ。君をあきらめて、遠くから君の幸せを願うようなーー、そんな中途半端な愛し方はもう、出来ない。だから俺は、俺自身の為に、君を守ると誓った。」
「・・・」
「勝手な奴だろう、俺は。」
「まあね・・・」
ルナは、くすりと笑った。
私の気持ちはおかまいなしで。
全部、自分ひとりで背負うつもりで。
なんて強くてーー、なんて、優しい。
「私も言っておくけれど。私は、自分は何もしないで、ひたすら男に守られるタイプの可愛らしい女じゃないわよ。私は、私のやりたいようにやるの。いい?ブローノ。私をそばにおいておきたいなら、女に守られてプライドが傷つくような、ちっちゃい男じゃあだめよ?」
そう言ってウインクしたルナを見て、ブチャラティは、何か眩しいものを見るかのように目を細めた。
そして、困ったような笑みを浮かべると、ルナを両腕の中に抱きしめた。
「俺の運命の女神は、じゃじゃ馬だな。」
「あら。今頃気がついたの?」
ルナの唇を、ブチャラティのそれがふさぐ。
ーー愛してる。
甘やかで熱いささやきを耳に注がれながら、ルナは、少し血の味がするなあ、と、ぼんやりと思っていた。
13.5
ルナをホテルに送った後、ブチャラティは携帯電話を取り出した。
ブチャラティ本人は気づいていないが、顔馴染みのタバッキの売り子が、彼の表情を見て挨拶するのをやめる。
相手は2コールで出た。
「ー俺だ。アバッキオ、全員集めろ。」
♢
ーー深夜。
ブチャラティは、倉庫を改造したような一軒の家の前に着いた。
中はまだ明かりがついており、時折、騒ぎ声が聞こえる。
「中には10人程いるようです。出入り口は正面と裏口の2カ所。ボスはこの男です。」
言いながら、フーゴが写真を見せる。
それをブチャラティは冷たい目で一瞥すると、
「フーゴ、おまえは裏口に回れ。」
「逃げて来る奴がいたら?」
「ボス以外なら、殺せ。」
言って、玄関に向かって歩き出した。
ーー愚問だったな。と、フーゴは裏口に向かいながら思った。
あの人のあの様子じゃあ、生き残りなんているわけがない。
組織と言えるほどでもない、20人程度の、ギャング気取りのチンピラの集団。少し前から、ブチャラティの縄張りに色気を出しているのは情報として掴んでいた。
奴らは、チームの周辺をハイエナのように嗅ぎ回り、そして、安易でゲスな手段に出た。
けっして傷つけてはならない者に対してーーーー。
怒声や銃声、そして悲鳴が収まり、静けさが戻ると、フーゴは家の中に入った。
むせかえるような血と硝煙の臭いの中、死体がいくつも転がっている。
ブチャラティの足元には、頭と胴体をジッパーで切断された男がいた。
「ばっ、化け物ー」
グシャッ、と、骨が砕ける鈍い音が響く。
「きさまに口はもう必要ない。きさまに出来るのはもうーー、祈ることだけだ。」
言って、ブチャラティは男の顎を潰した足をどけた。
「アバッキオから連絡が。不法移民を使っていた売春宿の方は、潰したそうです。」
「ミスタは?」
「そっちも終わりました。裏カジノを仕切っていたこいつらの仲間を一人、生け捕りにして、金庫の番号を吐かせたと。もう始末するように言いますか?」
ブチャラティが頷くと、フーゴは電話をかけ、その通りに伝えた。
「この男の始末は?」
「両手両足の指を切り落とせ。ここからは幸い港が近い。頭と胴体はそこがいい。」
フーゴは何も言わず、ただ肩をすくめた。
♢
ーー翌日。
ルナは、ホテルのテラスで遅い朝食を終えて部屋に戻った。
何気なくテレビを点けると、ニュースが流れている。どうやら、昨夜、一つの犯罪グループが壊滅したらしい。
「ん〜と、グループのボスの男は指だけが見つかって、何らかの見せしめに殺された可能性も・・・?恐いわね〜、ネアポリスって。」