「クリスマスイブだから」だって。
芸がなくてすまん。
そう言われて渡されたのは綺麗な箱。やっと乾いた洗濯物を畳んでしまっていた16時頃。
前に一度、一緒にお店へ寄った時、気に入った香りのハンドクリームを買ってもらってから度々買ってきてくれるボディケアブランドのものだった。
「え、かわいい! 私に? いいの?」
「ん」
「消太くん、ありがとう! ホリデーコフレ?」
「その、こふれとかいうのかはわからんが、色々入っててだな」
ラッピングされていないところが彼らしい。多分店員さんの「ご自宅用ですか?」に「はい」と答えたのだろう。確かに自宅にいる私宛てだし、それに自宅で使うのだから、まごうことなきご自宅用だ。そんなところが好き。
「うふふ。なんで、どうして? クリスマス?」
「いや、なんとなく。渡したくなって。クリスマスのは明日渡す」
一気にきた空気の乾燥注意報に私の肌もカサついているのを見られたのかもしれない。リップも塗っているし、忘れがちな水分だってこまめに補給しているのに唇だってカサカサだ。それは乾燥肌な彼もなのだけれど。
照れくさそうな彼を見上げつつ「開けてみてもいい?」と聞くと、「もちろん」と優しい声が降ってきた。無精髭がなんとも色っぽい口元が緩やかに弧を描く。けれどやっぱり少しカサついている。
「わあ、中身もかわいい」
ミニサイズのハンドクリームに、丸い缶に入ったリップバーム、どこにでも使える万能なオイル、コロンとした瓶に入った花びらの入浴剤。
「昨日、用事で近くを通ったから」
いつもここで芸がねえなと自分でも思いつつも、目に入るとどうしてもやっぱりな。
そんな可愛らしいことを言っちゃうカサついた唇に、ハチミツの香りがふんわりとするリップバームをひと塗り。指の上でとろけ残ったものを私の唇にも。彼はリップバームの感触を確かめるように唇を内側で噛んだ。そして同じことをした私に触れる。カサついていないから恥ずかしくなかった。
「えへへ、すっごく嬉しいよ。ありがと、消太くん。入浴剤、今日一緒に使う?」
「ん。風呂、洗ってくる」
「まだ早いよお、ケーキだって食べてないのに」
お鍋には一緒に作ったビーフシチューだってたっぷりとある。
けれど、準備はしていたっていいだろ、と張り切ってお風呂掃除に向かう彼は面白くて、終わったらこのハンドクリームをしっかり塗りこもうと私はひっそり笑った。
write 2024/12/24