例の新聞の妄想
「授業の一環で6日間雄英を離れる」と言って引率を兼ねて見送りに行った空港で別れて5日。
毎日連絡は来るけれど、忙しいようで「〜が綺麗だった」や「〜がよかった」といつもより短め。全寮制になってこんなに離れたのは初めて。明日の九州沖縄で最後、明後日には帰ってくる。
いち、に、さんと指折り数えた夜の数は枕は濡らさない程度には寂しくて心細くて。あの心まであたためてくれる腕のなかが、お腹まで響く低い声が、恋しい。
「早く帰ってこないかなあ」
さっき届いた綺麗な景色の写真と「ここもよかった」の一言を見つめ、唯一繋がる携帯を抱いて今日も眠る。
きゅうと切ない夜に、両腕にたくさんのお土産を抱えて「ただいま」と帰ってきた今までに見た事もないおもしろい姿の彼を笑って迎えるとは、誰が想像できただろうか。
「久々会うというのに、散々笑ってくれたな」といじわるな顔と、あまいあまい「ただいま」はセットでお願いします。
write 2024/4/8