休みのその前、そして朝
「ねえねえ、なんでそんなにしょおたさんかわいいの?」
明日から連休だからと久しぶりに家で酒を飲んでいた。そう飲んではいないはずだが、元々そんなに強くない彼女は家ということもあってかもう結構酔ってるみたいだ。
ねえねえ、ねえねえ、と頬を突いてくる。
こんな髭面のおっさんのどこが可愛いんだか。
「しょおたさん、かわいいねえ」
何度もそう言うので好奇心で、どこが?と聞いてしまった。
つらつらと彼女の口から出てくる言葉に思わず赤面すると「ほらあ、すぐあかくなるのもかわいい」と頬を撫でる。
「あったかくてきもちいねえ」
気づけば彼女は俺の膝に跨っていて、両手で頬を挟む。
「
〇〇相当酔ってるな」
「よってないよお、ふわふわするだけー」
それを酔ってると言うんだよ。
「ひげじゃまぁ、すべすべほっぺさわりたいー」
頬を摩りながら唇を尖らせ理不尽な文句を言う。
ぷうと膨れたまま俺の身体を触っている。
「…どこもかたい」
「すまんね」
逆に彼女の身体はどこも柔らかいなと太ももに手を置くと「いまわたしがさわってるのぉ!」と怒られた。
こいつ酔うとこんななるんだな、と彼女の新たな一面に可笑しくて笑ってしまう。
「あーしょおたさんわらった!かわいい!よしよししよーね」
わしわしと頭を撫でられ、髪はぐしゃぐしゃになり顔が隠れる。それを見て、しょおたさんかくれちゃった、としょんぼりする彼女。
「なんだ、今度は拗ねてんのか、忙しいな」
髪を掻き上げ、顔を出すと、「しょおたさんいたあ」と俺に倒れ込む。
はいはい、ここにいますよ、と背中をぽんぽんと撫でれば、彼女は子どものように眠ってしまった。安心したようにとろんと眠る彼女の額に唇を落とし、ベッドまで運ぶ。
片付けをして、温かい彼女を包み俺も眠った。
翌朝、ゆっくりめに起きてきた彼女が俺の髭がないことに驚き、なんでー?と聞いてくる辺り、昨夜の記憶はないようだ。
「
〇〇が髭邪魔と言ったんだろ」と返せば「うそ、全然覚えてない」と答える。
ほかになんか言ってた?やらかした?と慌てる彼女にニヤリとしながら「さて、それはどうかな」と言うと「えぇ…ごめんね?」と可愛らしく謝った。
「いいや、楽しい夜だったよ」
昨夜の彼女を思い出し、ふ、と笑うと、消太さんが楽しかったならいっかー、と抱きついてくる。
「今日何する?」
「どこか行く?」
「前に行きたいと言っていた所は?」
「え、ちょっと遠いよ?」
「こんな時だから行くんだろ。時間はたくさんあるしな」
「わーい、やったあ!」
朝食の準備を進めながら連休始まりの朝を楽しむ。
write 2023/5