素直になれたら……(Re)
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「出会ったときは敵だったから、俺はお前の親父を殺した。でも、今は仲間だろ?」
呉に来てから初めての会話で、その言葉をアイツの口から聞いたとき、俺は本気で殴りたかった。
(でも、今は違うってね……)
「おい、凌統!」
「なんだい?」
「今度の戦、一緒の部隊だぜ。よろしくな」
「ふーん。……アンタには死んできてほしいっての」
「ぁん!?」
実はもう、コイツのことを憎いと思ってない。だけど、本人目の前で素直にそんなこと言えないっての。……絶対、バカにされるだろうし。
「聞こえてたのかい?」
「てめぇ……」
「大丈夫だっての。アンタくらい丈夫なやつは、死んでも生き返りそうだ」
「無理だろ!」
態度と口は悪いけど、腕は立つからねえ……。
(呉に居ないと困る存在、か)
……嫌いじゃないね、なんて口に出して言えないっつうの!
「行くか。……ご丁寧に敵さんのお出ましだ」
「おう!行くぜ、野郎共!俺らについて来いよ!」
自分でもよく覚えてない。何故、甘寧を憎く思わなくなったのか。……俺、変わったのかもな。
「鈴の甘寧、行くぜー!」
「やれやれ。俺も自己紹介しておきますかね……凌公積、俺はアンタらを先に行かせないからな」
今までの俺だったら、いつもは小言を言っていた。
「突っ込む猪の尻拭いは骨が折れるっつうの。少しは考えて動け単細胞」
だけど、どうしてだ?
「甘寧、ほどほどにしたらどうだい?配下の気も考えてあげなよ」
「?……おう、ありがとさん」
口から出るのは皮肉ではなく、考慮だ。俺の周りにいる兵士たちもかなり驚いてるっての。
それからしばらくして、俺たちが奮戦したおかげで戦は勝った。それぞれ城へ戻っていく。周りに兵士たちがいなくなり、俺は甘寧と2人になった。
「なぁ、甘寧……」
「んだよ」
「今まで…ごめんな」
俺の言葉に驚いて一瞬、言葉を失う甘寧。俺は至って真面目に言ったつもりだ。
「お前、今日熱あんじゃ―――」
「ないっての。俺は前々からアンタに言おうと思ってたんだっつうの!」
思わず、視線を反らす。この野郎……恥ずかしいこと言わせるなっての。でも、もしかしたら、本当に熱があるのかもな。
「凌統!意外と面白いな、お前って奴はよ!」
「離せっての!」
甘寧にニヤニヤされながら肩を強引に組まれる。身体つきはコイツのほうがデカいから力づくが通用しないので仕方ないが抵抗を諦めた。
「嫌だからな。よし、今日は祝い酒だ!」
恥ずかしいと思ったのがバカだったな。単細胞な奴……。
「アンタ、本気味わうかい?」
「遠慮しとくぜ。ほら凌統、帰るぜ!」
「はいはい……わかったよ」
父上、俺は貴方を殺した相手とまだしばらくいます。だから、向こう側で待っていて下さい。俺たちが、貴方達先代の方々が命をかけて作り上げた国を必ず天下を取ってみせます。そして、見守っていてください……いつかまたご報告いたしますので楽しみにしていてくださいね?
end.
呉に来てから初めての会話で、その言葉をアイツの口から聞いたとき、俺は本気で殴りたかった。
(でも、今は違うってね……)
「おい、凌統!」
「なんだい?」
「今度の戦、一緒の部隊だぜ。よろしくな」
「ふーん。……アンタには死んできてほしいっての」
「ぁん!?」
実はもう、コイツのことを憎いと思ってない。だけど、本人目の前で素直にそんなこと言えないっての。……絶対、バカにされるだろうし。
「聞こえてたのかい?」
「てめぇ……」
「大丈夫だっての。アンタくらい丈夫なやつは、死んでも生き返りそうだ」
「無理だろ!」
態度と口は悪いけど、腕は立つからねえ……。
(呉に居ないと困る存在、か)
……嫌いじゃないね、なんて口に出して言えないっつうの!
「行くか。……ご丁寧に敵さんのお出ましだ」
「おう!行くぜ、野郎共!俺らについて来いよ!」
自分でもよく覚えてない。何故、甘寧を憎く思わなくなったのか。……俺、変わったのかもな。
「鈴の甘寧、行くぜー!」
「やれやれ。俺も自己紹介しておきますかね……凌公積、俺はアンタらを先に行かせないからな」
今までの俺だったら、いつもは小言を言っていた。
「突っ込む猪の尻拭いは骨が折れるっつうの。少しは考えて動け単細胞」
だけど、どうしてだ?
「甘寧、ほどほどにしたらどうだい?配下の気も考えてあげなよ」
「?……おう、ありがとさん」
口から出るのは皮肉ではなく、考慮だ。俺の周りにいる兵士たちもかなり驚いてるっての。
それからしばらくして、俺たちが奮戦したおかげで戦は勝った。それぞれ城へ戻っていく。周りに兵士たちがいなくなり、俺は甘寧と2人になった。
「なぁ、甘寧……」
「んだよ」
「今まで…ごめんな」
俺の言葉に驚いて一瞬、言葉を失う甘寧。俺は至って真面目に言ったつもりだ。
「お前、今日熱あんじゃ―――」
「ないっての。俺は前々からアンタに言おうと思ってたんだっつうの!」
思わず、視線を反らす。この野郎……恥ずかしいこと言わせるなっての。でも、もしかしたら、本当に熱があるのかもな。
「凌統!意外と面白いな、お前って奴はよ!」
「離せっての!」
甘寧にニヤニヤされながら肩を強引に組まれる。身体つきはコイツのほうがデカいから力づくが通用しないので仕方ないが抵抗を諦めた。
「嫌だからな。よし、今日は祝い酒だ!」
恥ずかしいと思ったのがバカだったな。単細胞な奴……。
「アンタ、本気味わうかい?」
「遠慮しとくぜ。ほら凌統、帰るぜ!」
「はいはい……わかったよ」
父上、俺は貴方を殺した相手とまだしばらくいます。だから、向こう側で待っていて下さい。俺たちが、貴方達先代の方々が命をかけて作り上げた国を必ず天下を取ってみせます。そして、見守っていてください……いつかまたご報告いたしますので楽しみにしていてくださいね?
end.