1

 言葉で説明するにはあまりに支離滅裂すぎる、そんなぼやけた悪夢から逃れるように目を薄く開く。脳に届く光景が記憶のプレビューから空間のリアルに変化する瞬間、混沌とした霧が晴れて明瞭な五感を取り戻す感覚は好ましいものである。
「すぅ、すぅ……♪」
――真っ先に網膜に焼きつく色が、明けの金星に対峙する朝焼け色でなければ。
「むにゃ……キラキラ満点~……☆」
 どんな内容の夢から飛び出したか見当もつかない寝言を呟きながら、この間抜けな寝坊助は寝返りをうって体勢を反転させた。ちょうど向かい合う形になり、視線の先では無駄に整然と生え揃った睫毛が揺れる。
「んむ……キラキラに包まれてるぅ……☆」
 間違いなく明瞭なリアルを取り戻したはずの朝は、今日も未だに混沌としたプレビューのように俺の頭を痛めていた。
1/5ページ
スキ