睫毛に蝶
空欄の場合はつゆになります
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目が覚めるとつゆは自室のベッドの上に横たわっていた。
未だ手足が動かない。
ぼんやりとする頭で先程の注射針が思い出される。
そしてそれを刺した銀時の顔がこちらを覗き込んでいるのが見えた。
「顔色悪いな。未だどっか痛い?」
「何処____……も。それより、____……」
何で注射器なんか持ってるの____。
そう聞きたくて口を開けるがぼんやりとして頭が働かない。
「喉渇いた? んじゃ、淹れ直して来るか。ちょいと待ってろよ」
目で追うと、部屋を出て行った銀時が扉を閉めるのが見えた。
扉を隔てた向こうで足音が遠のく音がする。
鍵をかけていたのに、何故銀時は部屋に入れたのだろう。
つゆは思い至り、やっとの思いで手を動かし袖にある鍵を掴んだ。
ある。確かに。
しかし鍵はひとつきりだ。
外は雨が降っており、時間がすべり落ちていた。
つゆのまわりを。
冷蔵庫の血痕は、本当に見間違い、幻覚だろうか。
胸がザワザワする。
この屋敷には鍵のみつからない部屋がある。
そこにもうひとつ鍵があったのだろうか。
その部屋の鍵を銀時は見つけたのだろうか。
それなら腑に落ちる。
何事にも気になったら行動せずにいられないつゆは銀時に聞こうとベッドを下りた。
それは殆ど落ちたようになったが手足は痺れるくらいで動かせる。
壁を伝って歩くと廊下の窓は夜に光って雨が滝のように降りていた。
それを割いて渡り、ふとエレベーターに目が止まった。
壊れているのを知っていたが、使いたい気持ちがつゆをそうさせた。
エレベーターはつゆのいる三階で止まっており、開くを押すと軋みながらひらいた。
中で人が倒れている。
よく見ると二人、雨と血に濡れて倒れている。
一人は昼間の警備員だった。
突然のことに驚いてつゆは尻もちをついた。
倒れている。死んでいる?
扉が閉まる前に手足を動かして中に入ると脈を確認した。
手はつめたく、息もしていない。
「町田さん。町田さん?」
警備員の名を呼びながら揺り動かすが、返事は無い。
事切れている。
「つゆ?」
密室から声がした。
スピーカーから聞こえたような気がした。
見ると、非常ボタンの隣にスピーカーがある。
「銀……どうしよう____」
「駄目だろ? ぶっ壊れてるエレベーターなんざ乗っちゃァ。何処行ったのかと思ったぜ。未だふらついてんのによ」
「辻斬りが……っだから、逃げなきゃはやく……っ」
つゆは気が気でないというのに銀時は至極落ち着いていた。
「そこにいんのが辻斬り」
「____え?」
「今からそっちィ行くから、ちょいと待ってろよ?」
その声を最後に音は切れた。
振り向いたそこに事切れた男が二人。
ひとりは顔に傷のある男。背中を斬られている。
もうひとりは警備員。こちらも背中を斬られている。
重い心を縮こまらせて待っていると、銀時は直ぐに来た。
「お待たせ。もう立てんの?」
その言葉に注射器の事を思い出しながらつゆは銀時の手を取った。
今はそれどころではない。
「にしても酷い雨だよなァ」
歩くのがやっとのつゆの手を引いてくれながら言う銀時の声が廊下に響いた。
「雨の中、今お前の生きるこの場所を踏む人間、ひとりずつ俺がたたっ斬るってのはどう?」
遠くで稲光がした。
それは窓に細かく反射し、つゆの目のなかを走った。
「まあ、もういねえんだけどよ」
足を止めたつゆに引きづられて銀時の足も止まる。
「銀が……____?」
「そう」
信じられない。そんな訳がない。
一瞬疑いが過ぎったつゆは無理矢理振り払った。
「信じないよ」
信じない。今度はつゆが銀時の手を引いて歩いた。
未だ手足が動かない。
ぼんやりとする頭で先程の注射針が思い出される。
そしてそれを刺した銀時の顔がこちらを覗き込んでいるのが見えた。
「顔色悪いな。未だどっか痛い?」
「何処____……も。それより、____……」
何で注射器なんか持ってるの____。
そう聞きたくて口を開けるがぼんやりとして頭が働かない。
「喉渇いた? んじゃ、淹れ直して来るか。ちょいと待ってろよ」
目で追うと、部屋を出て行った銀時が扉を閉めるのが見えた。
扉を隔てた向こうで足音が遠のく音がする。
鍵をかけていたのに、何故銀時は部屋に入れたのだろう。
つゆは思い至り、やっとの思いで手を動かし袖にある鍵を掴んだ。
ある。確かに。
しかし鍵はひとつきりだ。
外は雨が降っており、時間がすべり落ちていた。
つゆのまわりを。
冷蔵庫の血痕は、本当に見間違い、幻覚だろうか。
胸がザワザワする。
この屋敷には鍵のみつからない部屋がある。
そこにもうひとつ鍵があったのだろうか。
その部屋の鍵を銀時は見つけたのだろうか。
それなら腑に落ちる。
何事にも気になったら行動せずにいられないつゆは銀時に聞こうとベッドを下りた。
それは殆ど落ちたようになったが手足は痺れるくらいで動かせる。
壁を伝って歩くと廊下の窓は夜に光って雨が滝のように降りていた。
それを割いて渡り、ふとエレベーターに目が止まった。
壊れているのを知っていたが、使いたい気持ちがつゆをそうさせた。
エレベーターはつゆのいる三階で止まっており、開くを押すと軋みながらひらいた。
中で人が倒れている。
よく見ると二人、雨と血に濡れて倒れている。
一人は昼間の警備員だった。
突然のことに驚いてつゆは尻もちをついた。
倒れている。死んでいる?
扉が閉まる前に手足を動かして中に入ると脈を確認した。
手はつめたく、息もしていない。
「町田さん。町田さん?」
警備員の名を呼びながら揺り動かすが、返事は無い。
事切れている。
「つゆ?」
密室から声がした。
スピーカーから聞こえたような気がした。
見ると、非常ボタンの隣にスピーカーがある。
「銀……どうしよう____」
「駄目だろ? ぶっ壊れてるエレベーターなんざ乗っちゃァ。何処行ったのかと思ったぜ。未だふらついてんのによ」
「辻斬りが……っだから、逃げなきゃはやく……っ」
つゆは気が気でないというのに銀時は至極落ち着いていた。
「そこにいんのが辻斬り」
「____え?」
「今からそっちィ行くから、ちょいと待ってろよ?」
その声を最後に音は切れた。
振り向いたそこに事切れた男が二人。
ひとりは顔に傷のある男。背中を斬られている。
もうひとりは警備員。こちらも背中を斬られている。
重い心を縮こまらせて待っていると、銀時は直ぐに来た。
「お待たせ。もう立てんの?」
その言葉に注射器の事を思い出しながらつゆは銀時の手を取った。
今はそれどころではない。
「にしても酷い雨だよなァ」
歩くのがやっとのつゆの手を引いてくれながら言う銀時の声が廊下に響いた。
「雨の中、今お前の生きるこの場所を踏む人間、ひとりずつ俺がたたっ斬るってのはどう?」
遠くで稲光がした。
それは窓に細かく反射し、つゆの目のなかを走った。
「まあ、もういねえんだけどよ」
足を止めたつゆに引きづられて銀時の足も止まる。
「銀が……____?」
「そう」
信じられない。そんな訳がない。
一瞬疑いが過ぎったつゆは無理矢理振り払った。
「信じないよ」
信じない。今度はつゆが銀時の手を引いて歩いた。