睫毛に蝶
空欄の場合はつゆになります
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「俺の、握り飯を一つ食い逃げしたことがあったろ。その分は返して貰おう」
久しく町中で会った桂はそう言ってつゆに笑った。
懐かしい笑顔。
昼間の甘味処は天気の良いせいか混んでいた。
「高杉も銀時もぴんぴんしてる」
「そう」
あまり町へ出歩くことがないつゆだが、桂と高杉の噂は聞いている。
銀時もまた。
「会いたいか?」
それはもう瞬きする間にも。
しかしそれと同時につゆは自身の問題が横切るのだった。
一緒には居られないが、それでも知らせを聞いただけで嬉しかった。
「もう行かなきゃ」
つゆが勘定をテーブルに置くと桂がわらって言った。
「つゆ。冗談だ。俺が払う」
「いいの。代わりに約束して。わたしが江戸にいること、言わないで。例えば」
つゆはある男をありありと思い出して切実にいう。
「銀には」
桂は黙って聞いていた。
「元気だって。それだけ伝えて。もし」
不意に桂の表情が固くなり、つゆの後ろを凝視している。
つゆは言いながら振り向いた。
「もし会ったら____」
するとそこに上背の高い男が立っている。
紅い目でこちらを見つめてニヤリと今笑った。
「感動した? 俺が生きてて」
「銀____」
つゆはかろうじて声をあげた。
「俺ァ嬉しいぜ。つゆが元気そうで」
盛況の甘味処に席はなく、銀時は桂を帰して席に座った。
「食おうぜ。俺ァ飯の恨みはねえからよ。暇ありゃ薬草と目え合わせながら誰彼の飯でエネルギー補給してたおめえがいようとな」
そこから聞いていたんだという思いと共につゆは蒼い顔をして直ぐに注文した。
「お団子10本ください」
話を聞かれた手前気まずかった。
団子が来ると銀時が食べはじめ、つゆは黙ってそれを大人しく見ていた。
彼が五本目の団子を手にした時だった。
「さっきの。あれァどういう意味だ?」
何年ぶりかの再会。
相変わらず甘いものが好きらしい。
もう半分もない。
「理由は別にあるんじゃねえの? 俺に知られちゃまずい事って何だよ。俺ァつゆと顔合わせちゃいけねえの?」
胸が痛かった。
「そんな訳ないよ」
心から強く思うつゆの顔は真剣だった。
そんな訳ない。
もう一度言い切ったつゆの顔には微笑が灯っていた。
「わたし薬の勉強をしてるの。けど、刀の音がきこえたり血のにおいがすると手元が狂ってしまって上手くいかなくなるから」
攘夷戦争での事がフラッシュバックしてしまう。
「今やっと生活に慣れてきたところなの」
「へえ。新しい生活に?」
「うん」
「俺ァおめえが好きなんだぜ」
さらりと銀時はいう。
「わたしも好きだよ」
事実だった。
「何かあってもなくても俺ァ近くにいるから」
名刺を渡してくれながら銀時は一心に言った。
「いつでもいるから」
と念まで押して。
久しく町中で会った桂はそう言ってつゆに笑った。
懐かしい笑顔。
昼間の甘味処は天気の良いせいか混んでいた。
「高杉も銀時もぴんぴんしてる」
「そう」
あまり町へ出歩くことがないつゆだが、桂と高杉の噂は聞いている。
銀時もまた。
「会いたいか?」
それはもう瞬きする間にも。
しかしそれと同時につゆは自身の問題が横切るのだった。
一緒には居られないが、それでも知らせを聞いただけで嬉しかった。
「もう行かなきゃ」
つゆが勘定をテーブルに置くと桂がわらって言った。
「つゆ。冗談だ。俺が払う」
「いいの。代わりに約束して。わたしが江戸にいること、言わないで。例えば」
つゆはある男をありありと思い出して切実にいう。
「銀には」
桂は黙って聞いていた。
「元気だって。それだけ伝えて。もし」
不意に桂の表情が固くなり、つゆの後ろを凝視している。
つゆは言いながら振り向いた。
「もし会ったら____」
するとそこに上背の高い男が立っている。
紅い目でこちらを見つめてニヤリと今笑った。
「感動した? 俺が生きてて」
「銀____」
つゆはかろうじて声をあげた。
「俺ァ嬉しいぜ。つゆが元気そうで」
盛況の甘味処に席はなく、銀時は桂を帰して席に座った。
「食おうぜ。俺ァ飯の恨みはねえからよ。暇ありゃ薬草と目え合わせながら誰彼の飯でエネルギー補給してたおめえがいようとな」
そこから聞いていたんだという思いと共につゆは蒼い顔をして直ぐに注文した。
「お団子10本ください」
話を聞かれた手前気まずかった。
団子が来ると銀時が食べはじめ、つゆは黙ってそれを大人しく見ていた。
彼が五本目の団子を手にした時だった。
「さっきの。あれァどういう意味だ?」
何年ぶりかの再会。
相変わらず甘いものが好きらしい。
もう半分もない。
「理由は別にあるんじゃねえの? 俺に知られちゃまずい事って何だよ。俺ァつゆと顔合わせちゃいけねえの?」
胸が痛かった。
「そんな訳ないよ」
心から強く思うつゆの顔は真剣だった。
そんな訳ない。
もう一度言い切ったつゆの顔には微笑が灯っていた。
「わたし薬の勉強をしてるの。けど、刀の音がきこえたり血のにおいがすると手元が狂ってしまって上手くいかなくなるから」
攘夷戦争での事がフラッシュバックしてしまう。
「今やっと生活に慣れてきたところなの」
「へえ。新しい生活に?」
「うん」
「俺ァおめえが好きなんだぜ」
さらりと銀時はいう。
「わたしも好きだよ」
事実だった。
「何かあってもなくても俺ァ近くにいるから」
名刺を渡してくれながら銀時は一心に言った。
「いつでもいるから」
と念まで押して。
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