うしろの正面
空欄の場合はつゆになります
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いつかつゆが言った。
幽かに雨が降っていて、濡れたまま庭に立ったつゆは白いツツジの花の前にいた。
「食べる?」
ひとかさを銀時の手のひらに乗せてくれながら声を放した。
つゆは爪の先までやわくひっそりと静かだった。
「此処に咲いた花が一番甘いんだよ」
どういう訳か花の山の一番右上に咲く花かさを甘いと認めて渡してくれた。
また今年も咲いた白い花を集める銀時は堪らない想いを束ねた。
部屋で髪を櫛削るつゆの耳にノックがきこえた。
時計を見ると朝の八時だった。
櫛を置いて部屋の扉を開けると狐が立っていた。
「よお。これ全部右上の花な」
束になった白いツツジの甘いにおいは零れ、つゆの顔の前にあとからあとから千切れていった。
「つゆ愛してる」
つゆはいつか言った。
それなら兄弟というのはどうですか、と。
兄弟なんかで妥協出来る訳が無い。
「血よりも濃く結ばれた兄弟なんざ御免こうむるぜ。つゆ。俺の女になれよ」
銀時は何かに燃え立つように紅い目をしていた。
花の山を受け取るつゆの顔には微笑が灯っていた。
「いいよ」
狐面の向こうにある銀時の目を見つめてそう言っていた。
「俺しか見ないで」
銀時の声はひたむきだった。
つゆは仄かに笑っていう。
「見れてないよ」
と。
狐面を静かに外した銀時はつゆの額に額を寄せて目を合わせた。
銀時と目を合わせられるようになってからも、他人の目に乱れた。
同僚と立ち話するのもどきどきする。
「あなたの恋人って変わってるのね」
「変わってる?」
「というより、あなたを見る目が普通じゃない」
そう言い切って同僚は不審がっていた。
銀時は確かに普通じゃない程ベタベタに甘かった。
つゆと何でも共にしたがるのだ。
ただし他の人の話をするとあからさまに機嫌が悪くなりその果てにはごく穏やかに笑って「俺だけ見て」という。
仕事中にも他人と話していると後ろから目隠しされ、銀時が間に入って仕事の内容を聞き入れるか雑談なら話を割ってしまう。
ひとつ分かったのは、つゆの言う愛してると銀時がいうそれとは同じにならない。
愛してると、まるでその言葉の他知らないみたいに何度もいう時の銀時の目は凝視と呼ぶには生ぬるい愛情がこもっていた。
恋人が出来たと高杉に報告したらなんというだろう。
時々想像する。
そしてしただけで笑みの零れるつゆはたちまち実行したくなる。
幽かに雨が降っていて、濡れたまま庭に立ったつゆは白いツツジの花の前にいた。
「食べる?」
ひとかさを銀時の手のひらに乗せてくれながら声を放した。
つゆは爪の先までやわくひっそりと静かだった。
「此処に咲いた花が一番甘いんだよ」
どういう訳か花の山の一番右上に咲く花かさを甘いと認めて渡してくれた。
また今年も咲いた白い花を集める銀時は堪らない想いを束ねた。
部屋で髪を櫛削るつゆの耳にノックがきこえた。
時計を見ると朝の八時だった。
櫛を置いて部屋の扉を開けると狐が立っていた。
「よお。これ全部右上の花な」
束になった白いツツジの甘いにおいは零れ、つゆの顔の前にあとからあとから千切れていった。
「つゆ愛してる」
つゆはいつか言った。
それなら兄弟というのはどうですか、と。
兄弟なんかで妥協出来る訳が無い。
「血よりも濃く結ばれた兄弟なんざ御免こうむるぜ。つゆ。俺の女になれよ」
銀時は何かに燃え立つように紅い目をしていた。
花の山を受け取るつゆの顔には微笑が灯っていた。
「いいよ」
狐面の向こうにある銀時の目を見つめてそう言っていた。
「俺しか見ないで」
銀時の声はひたむきだった。
つゆは仄かに笑っていう。
「見れてないよ」
と。
狐面を静かに外した銀時はつゆの額に額を寄せて目を合わせた。
銀時と目を合わせられるようになってからも、他人の目に乱れた。
同僚と立ち話するのもどきどきする。
「あなたの恋人って変わってるのね」
「変わってる?」
「というより、あなたを見る目が普通じゃない」
そう言い切って同僚は不審がっていた。
銀時は確かに普通じゃない程ベタベタに甘かった。
つゆと何でも共にしたがるのだ。
ただし他の人の話をするとあからさまに機嫌が悪くなりその果てにはごく穏やかに笑って「俺だけ見て」という。
仕事中にも他人と話していると後ろから目隠しされ、銀時が間に入って仕事の内容を聞き入れるか雑談なら話を割ってしまう。
ひとつ分かったのは、つゆの言う愛してると銀時がいうそれとは同じにならない。
愛してると、まるでその言葉の他知らないみたいに何度もいう時の銀時の目は凝視と呼ぶには生ぬるい愛情がこもっていた。
恋人が出来たと高杉に報告したらなんというだろう。
時々想像する。
そしてしただけで笑みの零れるつゆはたちまち実行したくなる。