うしろの正面
空欄の場合はつゆになります
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たちまちつゆは全てを思い出す。
ある雨の日の事だった。
その日はずっと細かい雨が降っていて、つゆの座る縁側の向こうで打ち合いをしている高杉の姿は濡れていた。
何をするともなくそれを見ていたつゆの前にそれは忽然と現れた。
顔の前に影が降りてきて、気がつくと目の前に誰かの顔があった。
それは異様に近く、ぁ、という間もなくその人の唇がつゆの唇を塞いだ。
何をされたのか分かったのはその途中で、彼の胸を押した。
するとその腕は簡単に取られた。
その人の唇がつゆの唇から離れた後、つゆは混乱のまま彼を見た。
それが銀時だった。
何かに燃え立つように紅い紅い目をしていた。
手を払い除けて走り出したつゆは雨の下で休んでいた高杉の背中に抱きついた。
「よお。どうした」
心臓が狂ったように乱れ打っている。
混乱のまま息をするつゆに振り向いた高杉はつゆの顔に顔を寄せ怪訝に眉を寄せた。
高杉には何も言わなかった。
言えなかったのだ。
ショックだった。
打ちのめされたようなこの気持ちを抱いたまま身を縮めて生きてきた。
「あなたのせいだよ」
銀時の狐面を恐ろしく静かに動く指で取り去ったつゆが声を放つ。
「あなたのせいで人を見るとこうなるの」
覚えているのか、聞くまでもなかった。
たまらないと銀時は思った。
肌によみがえるとたちまち鳥肌が立ち、心臓がのたうち回るように乱れ打つ。
「つゆ」
あの時野蛮なまでにつゆを好きだった銀時の目は今つゆを深く囲い、腕を引き寄せ抱擁した。
「好きだ。愛してる」
特大の不意打ちを与えたかったのだ。
高杉を見るつゆの世界に。
「つゆ。こっち見て」
声が真摯だった。
真っ赤なつゆの顔を覗き込む銀時の目はひたむきだった。
「兄貴からは離れたんだろ。俺を見て」
そう言って狐面を掛けた銀時の目が仄かに笑った。
「言ったろ。つゆがこっち見てくれんなら化けてでも出るってよ」
そのひたむきさにつゆは仄かに笑った。
「可笑しなひと」
と。
言うと、きりもなく笑った。
そうして赤みはほんの僅かずつ引いていった。
ある雨の日の事だった。
その日はずっと細かい雨が降っていて、つゆの座る縁側の向こうで打ち合いをしている高杉の姿は濡れていた。
何をするともなくそれを見ていたつゆの前にそれは忽然と現れた。
顔の前に影が降りてきて、気がつくと目の前に誰かの顔があった。
それは異様に近く、ぁ、という間もなくその人の唇がつゆの唇を塞いだ。
何をされたのか分かったのはその途中で、彼の胸を押した。
するとその腕は簡単に取られた。
その人の唇がつゆの唇から離れた後、つゆは混乱のまま彼を見た。
それが銀時だった。
何かに燃え立つように紅い紅い目をしていた。
手を払い除けて走り出したつゆは雨の下で休んでいた高杉の背中に抱きついた。
「よお。どうした」
心臓が狂ったように乱れ打っている。
混乱のまま息をするつゆに振り向いた高杉はつゆの顔に顔を寄せ怪訝に眉を寄せた。
高杉には何も言わなかった。
言えなかったのだ。
ショックだった。
打ちのめされたようなこの気持ちを抱いたまま身を縮めて生きてきた。
「あなたのせいだよ」
銀時の狐面を恐ろしく静かに動く指で取り去ったつゆが声を放つ。
「あなたのせいで人を見るとこうなるの」
覚えているのか、聞くまでもなかった。
たまらないと銀時は思った。
肌によみがえるとたちまち鳥肌が立ち、心臓がのたうち回るように乱れ打つ。
「つゆ」
あの時野蛮なまでにつゆを好きだった銀時の目は今つゆを深く囲い、腕を引き寄せ抱擁した。
「好きだ。愛してる」
特大の不意打ちを与えたかったのだ。
高杉を見るつゆの世界に。
「つゆ。こっち見て」
声が真摯だった。
真っ赤なつゆの顔を覗き込む銀時の目はひたむきだった。
「兄貴からは離れたんだろ。俺を見て」
そう言って狐面を掛けた銀時の目が仄かに笑った。
「言ったろ。つゆがこっち見てくれんなら化けてでも出るってよ」
そのひたむきさにつゆは仄かに笑った。
「可笑しなひと」
と。
言うと、きりもなく笑った。
そうして赤みはほんの僅かずつ引いていった。