うしろの正面
空欄の場合はつゆになります
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思い出したくないものをどうしてこうも覚えちまってるのか。
高杉がいればつゆも必ずそこにいる。
後ろに隠れるように、あるいは堂々と横につゆはいた。
つゆは孤立していて無口で寛容で静かだった。
そしてまるできりもなく降る雨のように真っ直ぐすっきりと笑う。
笑顔。
その意味も理由も知っていて面白くなかった。
つゆの印象は危ういな、だった。
あんな全身で高杉に寄りかかって。
高杉の何がそんなにいいのか何処にいても傍にいる、何処にいても高杉を見ている。
つゆの世界には高杉しかいないんじゃねえかってくらいに。
遠目に見るつゆをどうしてこうも遠慮なく見ちまうんだ。
つゆの行動や口の動きのいちいちが遠慮もなく心臓をずたぼろにしちまうっつーのに。
話しかけるのもままならず道は違え、未だ俺の心臓には風穴が空いたままだ。
それはつゆの形をしていてつゆでしかはまらない。
勝手な未来を想像していた。
出来ることならもう一度会いたかった。
「体質ってんなら俺が変えてやるよ」
つゆの部屋の前で追いついた銀時がそう言った。
落とした鍵を震える手で拾い鍵を開けるつゆの手が今銀時に掴まれた。
「困ってるんだろ? 顔に書いてあるぜ」
困っているのは事実だが今正に困っているのも事実だった。
「お放しください」
ドアノブを握るつゆの手首は銀時の手に強く握られている。
「つゆ 。俺ァ本気だぜ」
その力はかたくなでひたむきだった。
「放しなよ」
つゆは震えていた。
「嫌だね。分かったっつーまで離す気ねえよ」
困り果てたつゆは逃げ出したい衝動に駆られ、本当に逃げ出した。
銀時に掴まれたままの手をそのままに一階へ駆け降り、外へ出た。
鬼兵隊の舟は今江戸の町にない。
絶望したまま町の外れにある銭湯の前まで来ると銀時のつゆを掴む手が力を増した。
「策士だなァ。けど諦めようぜ。しつこい男だよ、俺ァ。特につゆ、おめぇにはな」
つゆも必死なので断固として前へ出るがそれを阻止する銀時の力の方が遥かに強かった。
汗でヌメるつゆの手をしかと掴んでいる。
つゆは恥ずかしくて言った。
「わかりました」
「おーし。んじゃァそうだな、一日一回俺を見ようぜ」
まずは今日の分と言って腕を引き寄せられてつゆはうしろの正面に向き合った。
つゆが見ないのでこちらを覗き込む銀時の目。
つゆは他所を向き、銀時の目を見事に何度も避ける。
「おーし。わァったぜ」
つゆの顔が掴まれ、つゆは反射的に目を瞑った。
「目え開けろよ」
更に深く目を閉ざすつゆに銀時は言った。
「開けねえとキスすんぞ」
その声にたちまち真っ赤でも真っ青でもなく放心したつゆはその場に卒倒した。
驚いたが反射的に支えた銀時は
「おい。大丈夫かよ」
一瞬目を開けたつゆは心配そうにこちらを覗き込む銀時が見えた。
そのあとでまた思い切り目を閉ざしたつゆは彼の手を遠ざけて自分の力でその場に座り込んだ。
帯留めにぶら下がる鈴がリンと鳴り、傍にある柳の群れと共につゆの長い髪がゆらりと横へ流れた。
「つゆ」
生真面目な声だった。
そして顔を片手で覆った銀時がため息をついた。
「俺ァお前が好きなんだぜ」
一切ぶれない、そういう話し方だった。
「無理させて悪かったな。何か考えておく」
高杉がいればつゆも必ずそこにいる。
後ろに隠れるように、あるいは堂々と横につゆはいた。
つゆは孤立していて無口で寛容で静かだった。
そしてまるできりもなく降る雨のように真っ直ぐすっきりと笑う。
笑顔。
その意味も理由も知っていて面白くなかった。
つゆの印象は危ういな、だった。
あんな全身で高杉に寄りかかって。
高杉の何がそんなにいいのか何処にいても傍にいる、何処にいても高杉を見ている。
つゆの世界には高杉しかいないんじゃねえかってくらいに。
遠目に見るつゆをどうしてこうも遠慮なく見ちまうんだ。
つゆの行動や口の動きのいちいちが遠慮もなく心臓をずたぼろにしちまうっつーのに。
話しかけるのもままならず道は違え、未だ俺の心臓には風穴が空いたままだ。
それはつゆの形をしていてつゆでしかはまらない。
勝手な未来を想像していた。
出来ることならもう一度会いたかった。
「体質ってんなら俺が変えてやるよ」
つゆの部屋の前で追いついた銀時がそう言った。
落とした鍵を震える手で拾い鍵を開けるつゆの手が今銀時に掴まれた。
「困ってるんだろ? 顔に書いてあるぜ」
困っているのは事実だが今正に困っているのも事実だった。
「お放しください」
ドアノブを握るつゆの手首は銀時の手に強く握られている。
「つゆ 。俺ァ本気だぜ」
その力はかたくなでひたむきだった。
「放しなよ」
つゆは震えていた。
「嫌だね。分かったっつーまで離す気ねえよ」
困り果てたつゆは逃げ出したい衝動に駆られ、本当に逃げ出した。
銀時に掴まれたままの手をそのままに一階へ駆け降り、外へ出た。
鬼兵隊の舟は今江戸の町にない。
絶望したまま町の外れにある銭湯の前まで来ると銀時のつゆを掴む手が力を増した。
「策士だなァ。けど諦めようぜ。しつこい男だよ、俺ァ。特につゆ、おめぇにはな」
つゆも必死なので断固として前へ出るがそれを阻止する銀時の力の方が遥かに強かった。
汗でヌメるつゆの手をしかと掴んでいる。
つゆは恥ずかしくて言った。
「わかりました」
「おーし。んじゃァそうだな、一日一回俺を見ようぜ」
まずは今日の分と言って腕を引き寄せられてつゆはうしろの正面に向き合った。
つゆが見ないのでこちらを覗き込む銀時の目。
つゆは他所を向き、銀時の目を見事に何度も避ける。
「おーし。わァったぜ」
つゆの顔が掴まれ、つゆは反射的に目を瞑った。
「目え開けろよ」
更に深く目を閉ざすつゆに銀時は言った。
「開けねえとキスすんぞ」
その声にたちまち真っ赤でも真っ青でもなく放心したつゆはその場に卒倒した。
驚いたが反射的に支えた銀時は
「おい。大丈夫かよ」
一瞬目を開けたつゆは心配そうにこちらを覗き込む銀時が見えた。
そのあとでまた思い切り目を閉ざしたつゆは彼の手を遠ざけて自分の力でその場に座り込んだ。
帯留めにぶら下がる鈴がリンと鳴り、傍にある柳の群れと共につゆの長い髪がゆらりと横へ流れた。
「つゆ」
生真面目な声だった。
そして顔を片手で覆った銀時がため息をついた。
「俺ァお前が好きなんだぜ」
一切ぶれない、そういう話し方だった。
「無理させて悪かったな。何か考えておく」