うしろの正面
空欄の場合はつゆになります
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私は極度の恥ずかしがり屋だ。
人と話したり目が合ったりすると恥ずかしくてたまらない。
恥ずかしがりの自分が真っ赤になって恥ずかしがっている姿を見られるのが恥ずかしくて今まで人を避けてきた。
だから恋人はおろか友達もいない。
恥ずかしい。
これでは駄目だと自分を改めるため松平片栗粉の別荘のメイドをしている。
異性の人だと特に恥ずかしくなるが女の子しかいない。
いるのは月に一回やって来る万事屋の男くらいだ。
この男の仕事は遅く、三日で終わる作業が三週間かかる。
「よお」
真後ろから声がかかりつゆはびくりと反応する。
微かに振り向いて肩ごしに見ると銀時がお茶を飲みきったグラスを手にしている。
「ごちそーさん。旨かったぜ」
素直に会釈をしてグラスを受け取るとキッチンへ向かう。
足音が二つあった。
話しかけられたくない。
つゆは緊張しながら流しにグラスを置くと水を出した。
洗い物をそのままにして場所を移動するつゆのあとからあとから足音がする。
この人はどうしてついてくるんだろう?
そう思うと顔が熱くなる。
意味もなく二階へ行き、庭を抜けてキッチンへ戻る。
未だついてくる。
このあと松平とお客様が来るため、お菓子を準備しなくてはならない。
汗のかいた手で戸棚からお菓子の本を出すとうしろの正面から人の気を感じる。
「あの……銀時様。何か御用でしょうか」
戸棚の硝子に映る銀時の目がつゆを見ていた。
「お前今日は三時までなんだろ? さっきそこで聞いた。飯食いに行こうぜ」
一緒にご飯を食べる。想像しただけで顔を赤くしたつゆはまずいと思い
「帰って眠らないと。今日は寝不足で」
恥ずかしくなるなと思っても余計に意識して乱れて赤くなって震える。
友達なぞゆめのまたゆめ。
「昨日?」
不思議そうに銀時が言った。
つゆはお菓子の本を震える指でめくる。
「昨日は六時には部屋入って、八時には布団に入ってたんじゃねえの?」
何で知っているのだろう。
「カーテンしててもお前の部屋ってのはまる見えだよ。八時には電気消えてたぜ」
その通りだがつゆはよく分からない。
五時に仕事を終えた人が何故つゆの帰宅時間と就寝時間を知っているのか。
「つゆちゃん」
不意に同僚の声に割られ、驚いてつゆはお菓子の本を落とした。
「私作るからもうあがっていいよ」
慌てず慎重に拾い上げるとつゆは同僚へ振り向いて本を渡した。
「はい。ありがとう御座います」
その場を去るつゆの足取りは駆け足だった。
キッチンを出て縁側を抜けようと走っていた時だった。
「待った」
と銀時の声がし、するともう手を掴まれていた。
つゆは真っ赤を通り過ぎて放心する。
「つゆちゃん恋人いる? いねえよな。知ってる」
銀時の手は力強くつゆの手首を掴んでいる。
またじわりとつゆの汗が滲んだ。
「つゆちゃん俺と目が合う度頬を赤く染めてただろ。照れちゃって可愛いなァおい」
つゆは蒼くなり赤くなり気が気ではない。
不意に手を思い切り引かれ、つゆはうしろの正面に向かい合った。
「俺も。俺もつゆの事好きなんだよ」
顔は見なかったが、声が真摯だった。
何か変な勘違いをされている。
まずい赤くなる。
そう思えば思う程心臓は早鐘を打ち、つゆは見るまに赤くなった。
「ぁ……」
「ほらやっぱり。両想いだな」
つゆは真っ黒の影のようになって否定した。
「これは体質で。____ごめんなさい」
走り去るつゆの上空に春の雲が細く伸びていた。
「ああ」
また逃がしちまった。
銀時はひとりきりで呟いた。
人と話したり目が合ったりすると恥ずかしくてたまらない。
恥ずかしがりの自分が真っ赤になって恥ずかしがっている姿を見られるのが恥ずかしくて今まで人を避けてきた。
だから恋人はおろか友達もいない。
恥ずかしい。
これでは駄目だと自分を改めるため松平片栗粉の別荘のメイドをしている。
異性の人だと特に恥ずかしくなるが女の子しかいない。
いるのは月に一回やって来る万事屋の男くらいだ。
この男の仕事は遅く、三日で終わる作業が三週間かかる。
「よお」
真後ろから声がかかりつゆはびくりと反応する。
微かに振り向いて肩ごしに見ると銀時がお茶を飲みきったグラスを手にしている。
「ごちそーさん。旨かったぜ」
素直に会釈をしてグラスを受け取るとキッチンへ向かう。
足音が二つあった。
話しかけられたくない。
つゆは緊張しながら流しにグラスを置くと水を出した。
洗い物をそのままにして場所を移動するつゆのあとからあとから足音がする。
この人はどうしてついてくるんだろう?
そう思うと顔が熱くなる。
意味もなく二階へ行き、庭を抜けてキッチンへ戻る。
未だついてくる。
このあと松平とお客様が来るため、お菓子を準備しなくてはならない。
汗のかいた手で戸棚からお菓子の本を出すとうしろの正面から人の気を感じる。
「あの……銀時様。何か御用でしょうか」
戸棚の硝子に映る銀時の目がつゆを見ていた。
「お前今日は三時までなんだろ? さっきそこで聞いた。飯食いに行こうぜ」
一緒にご飯を食べる。想像しただけで顔を赤くしたつゆはまずいと思い
「帰って眠らないと。今日は寝不足で」
恥ずかしくなるなと思っても余計に意識して乱れて赤くなって震える。
友達なぞゆめのまたゆめ。
「昨日?」
不思議そうに銀時が言った。
つゆはお菓子の本を震える指でめくる。
「昨日は六時には部屋入って、八時には布団に入ってたんじゃねえの?」
何で知っているのだろう。
「カーテンしててもお前の部屋ってのはまる見えだよ。八時には電気消えてたぜ」
その通りだがつゆはよく分からない。
五時に仕事を終えた人が何故つゆの帰宅時間と就寝時間を知っているのか。
「つゆちゃん」
不意に同僚の声に割られ、驚いてつゆはお菓子の本を落とした。
「私作るからもうあがっていいよ」
慌てず慎重に拾い上げるとつゆは同僚へ振り向いて本を渡した。
「はい。ありがとう御座います」
その場を去るつゆの足取りは駆け足だった。
キッチンを出て縁側を抜けようと走っていた時だった。
「待った」
と銀時の声がし、するともう手を掴まれていた。
つゆは真っ赤を通り過ぎて放心する。
「つゆちゃん恋人いる? いねえよな。知ってる」
銀時の手は力強くつゆの手首を掴んでいる。
またじわりとつゆの汗が滲んだ。
「つゆちゃん俺と目が合う度頬を赤く染めてただろ。照れちゃって可愛いなァおい」
つゆは蒼くなり赤くなり気が気ではない。
不意に手を思い切り引かれ、つゆはうしろの正面に向かい合った。
「俺も。俺もつゆの事好きなんだよ」
顔は見なかったが、声が真摯だった。
何か変な勘違いをされている。
まずい赤くなる。
そう思えば思う程心臓は早鐘を打ち、つゆは見るまに赤くなった。
「ぁ……」
「ほらやっぱり。両想いだな」
つゆは真っ黒の影のようになって否定した。
「これは体質で。____ごめんなさい」
走り去るつゆの上空に春の雲が細く伸びていた。
「ああ」
また逃がしちまった。
銀時はひとりきりで呟いた。
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