傷に結う
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「銀。此処噛んで」
今仄かに首をかしげたつゆは自分の首筋を指す。
「恋人になるには此処を噛むって聞いた」
つゆの瞳は水を張った溜まりのように目の前の闇を映す。
頬に陰る睫毛の先まで仄かに明るんでいた。
「銀。此処噛んで」
今一度首をかしげたままつゆが瞬いた時銀時の目に光がうねった。
砂利を踏んで歩いて来た銀時の上背と静かすぎる呼気につゆは一瞬たじろいだ。
腕を引き寄せられ、するともう銀時の歯がつゆの頸動脈に食い込んでいた。
「痛っ……っ」
食い破られる。
そう感じて銀時の腕に爪を立てるが銀時は噛むのを止めない。
「痛……っぃ……っ」
噛みながらきつく吸い付いた銀時の唇にもつゆの頸動脈が震えるのがわかった。
「銀っ……」
舌の根を震わせて言うつゆの首筋から今恐ろしく静かに銀時の唇が離れた。
つゆは肩で息をし、自分の首筋をさわる。
噛まれて熱く脈を打つそこから離した指を見ると、血はついていない。
そちらを見ると、銀時の顔は前髪でよく見えなかった。
「甘噛みかと思ったのに」
つゆの声は雨夜の波紋のような静かさで銀時へ広がった。
「ただの優しい奴になる気は毛頭ねえ」
前髪の隙間から銀時の紅い目が見えた。
何かに燃え立つように紅い。
「ようやくそれを言わせた俺が、そんな甘い真似出来ると思う?」
つゆを見るその目が物語っていた。
初めて感じる甘い代物ではないそれにつゆは怯んだ。
「こんなに痛いならやっぱりいい」
銀時の手を振り払い、寺に駆け戻ったつゆの心臓は狂ったように早鐘を打っていた。
脳裏には狂った密度で笑う銀時の顔が焼き付いている。
襖をひらいたつゆの目の前に刀の手入れをする高杉がいた。
つゆは急いで襖を閉めきると座敷の隅に座り込んだ。
「どうした? 鬼でも見たような面ァして」
廊下の奥からはつゆを呼ぶ銀時の声がきこえる。
平静な銀時の呼ぶ声にきこえるが、先程の顔つきが頭から離れない。
不気味だった。
不意に顎を掴まれ、顔をあげたつゆの目に高杉の顔が映る。
「どうした?」
声が真摯だった。
高杉の真剣な、でも相手を安心させる目。
行灯の灯りがその目にちらちらと光って息づいている。
息をひきつらせてつゆは強く思う。
「銀を此処に入れないで」
明らかに逃げてきたつゆを認めると、高杉は静かに立ち上がった。
「此処に逃げてきたって事は斬っていいんだな。何でもは引き受けなかったあいつを」
そう言う高杉が気が付かない訳がなかった。
つゆの首筋にある紅い痕を。
今仄かに首をかしげたつゆは自分の首筋を指す。
「恋人になるには此処を噛むって聞いた」
つゆの瞳は水を張った溜まりのように目の前の闇を映す。
頬に陰る睫毛の先まで仄かに明るんでいた。
「銀。此処噛んで」
今一度首をかしげたままつゆが瞬いた時銀時の目に光がうねった。
砂利を踏んで歩いて来た銀時の上背と静かすぎる呼気につゆは一瞬たじろいだ。
腕を引き寄せられ、するともう銀時の歯がつゆの頸動脈に食い込んでいた。
「痛っ……っ」
食い破られる。
そう感じて銀時の腕に爪を立てるが銀時は噛むのを止めない。
「痛……っぃ……っ」
噛みながらきつく吸い付いた銀時の唇にもつゆの頸動脈が震えるのがわかった。
「銀っ……」
舌の根を震わせて言うつゆの首筋から今恐ろしく静かに銀時の唇が離れた。
つゆは肩で息をし、自分の首筋をさわる。
噛まれて熱く脈を打つそこから離した指を見ると、血はついていない。
そちらを見ると、銀時の顔は前髪でよく見えなかった。
「甘噛みかと思ったのに」
つゆの声は雨夜の波紋のような静かさで銀時へ広がった。
「ただの優しい奴になる気は毛頭ねえ」
前髪の隙間から銀時の紅い目が見えた。
何かに燃え立つように紅い。
「ようやくそれを言わせた俺が、そんな甘い真似出来ると思う?」
つゆを見るその目が物語っていた。
初めて感じる甘い代物ではないそれにつゆは怯んだ。
「こんなに痛いならやっぱりいい」
銀時の手を振り払い、寺に駆け戻ったつゆの心臓は狂ったように早鐘を打っていた。
脳裏には狂った密度で笑う銀時の顔が焼き付いている。
襖をひらいたつゆの目の前に刀の手入れをする高杉がいた。
つゆは急いで襖を閉めきると座敷の隅に座り込んだ。
「どうした? 鬼でも見たような面ァして」
廊下の奥からはつゆを呼ぶ銀時の声がきこえる。
平静な銀時の呼ぶ声にきこえるが、先程の顔つきが頭から離れない。
不気味だった。
不意に顎を掴まれ、顔をあげたつゆの目に高杉の顔が映る。
「どうした?」
声が真摯だった。
高杉の真剣な、でも相手を安心させる目。
行灯の灯りがその目にちらちらと光って息づいている。
息をひきつらせてつゆは強く思う。
「銀を此処に入れないで」
明らかに逃げてきたつゆを認めると、高杉は静かに立ち上がった。
「此処に逃げてきたって事は斬っていいんだな。何でもは引き受けなかったあいつを」
そう言う高杉が気が付かない訳がなかった。
つゆの首筋にある紅い痕を。