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第1話 リヴァイの帰還

ドイツの冬は乾燥していて寒い。
防寒対策をこうじているが寒いものは寒い。
ステラは白い息を出して、身震いする。

リヴァイはチラ…と静かに見やり歩く。

「ひぇ〜寒い…リヴァイさん。日本どうでした?」

「奴等はやりにくい連中だ…。慣れるまで近づきやしねぇ。それに金にも仕事にも手を抜かねぇ。」

「そりゃあ…そうでしょうね。でも、帰国してきたってことは仕事一段落ついたってことですよね。
お疲れ様です!!!」

あ、そうだ。と、ステラは言い直し笑いかける。
無邪気な笑顔が日本で見た「たぬき」だ。と、
無表情でリヴァイは思った。

「あと、おかえりなさい!」

「あぁ…」

実は嬉しかったが、顔に出ないので静かに返事をする。ステラはたぬき丸出しに好奇心に任せて聞いてきた。

「リヴァイさん、日本で彼女できたんですか?」

イラッとしたリヴァイはステラの頭を軽くどつく。
蹴られたりするわけでもなくこれだけで済んでるので、ハンジに言わせたら「破格の待遇だよ!」ということだ。

彼女は彼を付き合いが長い兄のように思って接している。実際2人の付き合いは長く、ステラが3才の頃にリヴァイが日本人の女性と一件先の新築の戸建てに引っ越してきた。

だが、リヴァイの育ての女性は突然の事故で亡くなり、一人になった彼をステラとペトラの両親が
必死になって育ててくれた。
 
あの性格なので、ナイフは持ってるは銃は持ってるわ。マフィアに目をつけられるはでラル家は大変な目に遭いまくっている。

リヴァイは不機嫌そうに舌打ちをする。
彼は日本人の女性について、毒を吐く。(あくまで彼の偏見です。)

「奴等…見た目と年収にしか目がいってねぇ能無しのクソ共だ。…」

「そ、それ偏見過ぎません?」

「例外は居たには居たがな。」

「バリキャリの人達ですか?」

「あぁ…寝食忘れて仕事した上に、ついでに周りの男も食い散らかしてやがった。汚え事この上ねぇな…。」

肉食系女子の事か?
リヴァイの言い回しに彼女は通訳として
活躍している。ポンポン会話を返すから周囲が驚くのだ。

「あぁ…肉食系女子のことですね。」

リヴァイの仕事はデザイン関係だ。
webデザインを手がけ、プロジェクションマッピングも行っている。リヴァイが任されたのは日本の東グループと言う日本の大手デザイン商社との共同プロジェクトだった。

エンジニアとしても、重宝されていて器用にこなす。

ドイツ人代表で彼が選抜され、昨年リヴァイは突然
エルヴィンから一年赴任してくれと伝えられ、不満そうにしていたが、11 ヶ月で仕事を終えて帰ってきた。

ステラは空を見上げて半泣きだった。

(ああ〜終わった…平和な日常が今日で終わった。)

リヴァイと過ごして16年彼がいると気苦労が絶えない。誘拐されかけ、彼女を襲った誘拐犯を半殺しにしてトラウマを植え付けた小1の夏。

高1の入学式、ミカサに襲われてリヴァイに電話したら彼女と乱闘騒ぎになった。15才の春。
せっかく出来たと思った初めての彼氏が2日で行方不明となる高2の秋。

高3の冬…なぜかお笑い甲子園に出ることになるが、
ハイジャックされかけて偶然彼女らの引率に来ていたリヴァイさんがハイジャック犯を半殺しにして、
乗員乗客全員無事。

リヴァイは日本の警察なら表彰をもらう。
そして、警視総監からスカウトされてしまうが、
彼は断っている。

ふと我に帰るとリヴァイは彼女に話しかけてくる。

「お前はどうなんだ。」

「え?私ですか?…この1年平和そのものでしたけど、今日で終わりましたね。」

社長…任期もっと延ばせよ。と、
彼女は何も悪くないエルヴィンに恨み節をいいたくなる。皮肉を言うがびくともしない。

リヴァイは鼻をは鳴らしてからかう。
彼女は自分に向かって気は使う部分は伝わるが、
着飾って接してこないから楽だった。

そして、長い長い片思いをしてきた。
やっと思いを打ち明けようとすると
色々邪魔が入る。

(………………………長えな……チッ…………。)

色々彼なりに考えたり、エルヴィンに相談?してきたりして、アプローチしてきたが鈍感なのかステラは手強く全く靡いてこない。
靡くどころか、ペトラとオルオを送り込んで来たりと色々と交わしてきたりする所もあり、
手を焼いている。


実力行使に出ようと彼は立ち止まり、
ステラに鋭い眼光を突きつける。

「おぃ。」

「はぃ?」

間抜けな返事しやがって。と、間の抜けたたぬき顔を睨みつけて精一杯の挑発をする。

「日本で恋人はできなかったが、悪くねぇ女は居た。」

「えっ?!! 」

やはり驚いた。
リヴァイは苛立ちがすっと、引いていくことを覚える。彼女がちょっと寂しそうな表情を浮かべてきたからだ、だが、単刀直入に聞いてくる。

「日本人の女性ですか?」

「………」

めんどくさいから、無言。
肯定にとらえられて、ステラは嬉々として聞いてくる。リヴァイ、墓穴を掘った。
人類史上最も強い部類に入るが、人類史上最も女性関係は苦手。むしろ男にやけに好かれて日本でも苦労してきた。

「……12/25に帰国パーティーも兼ねて謝恩会をやるから、お前も来い。…ソイツを紹介してやる。」

「私は遠慮します。」

「あ?」

イラッと来たから横目で睨む。
彼女は不機嫌そうにつぶやく。

「大丈夫です。私、人が沢山いる場所苦手ですし。社員の皆さんで楽しんで下さい。」

「そのパーティーは高級レストランのシェフのワインやらスィーツやらローストビーフが食べ放題だが…それでも遠慮するのか。」

「え…えーっ…あぁ…そ、う。えーと…。」

色気より食い気なお年頃。
リヴァイは畳み掛ける。
そう、切り札があった。

「お前の大好きなアップルパイが食べ放題だ。」

「……行かせて下さい!!!」

頭を下げて来やがった。
と、リヴァイは無表情でこのたぬきをどうしてやろうか…と、満足気に考えはじめている。
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