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恋の色は(TOS ほのぼの ロイコレ要素あり)

ーーふと目についた、1人の女性。
人々の賑やかな声が響き渡り、立派な建物が並び立つこのメルトキオ内で、その女性は異様な雰囲気をまとっていた。
頭からつま先まで、全てをピンクで染め上げた女性は、建物の角を曲がると姿を消してしまった。
名残惜しくその曲がり角を見続けていた彼の耳に、凛とした声が聞こえる。
ゆっくりと振り返ると、銀色の髪をした美しい女性が不思議そうに彼を見つめていた。

「リフィル先生…」

「ロイド。そんな趣味があったのねぇ…意外だわ」

リフィルと呼ばれた銀髪の女性は、呆れたように目の前の彼に言い放つ。

「あなた、ゼロスに影響され過ぎではなくて?」

「ち、違うって!俺はそんな事しねぇよ!」

疑うように視線を向けてくるリフィルに、彼は必死に弁解する。
そうこうしている内にも、後から来た仲間達までもが加わり口々に彼を責め立てた。

「ロイド…アンタねぇ!」

「…き、きっと綺麗な人だったんだねぇ」

「え、ロイドが!?ゼロス、変なこと教えないでよ!」

「ロイドさん……」

「そうかそうか!ハニーにも女性のミリキが分かってきたんだな〜」

「だから、違うって!ちょっと気になっただけで…」

慌てながら反論するロイドは、女性が着ていた服の色に気を取られただけだと話した。
全身ピンク色の服を着た女性。
ワンポイントならともかく、確かにそんな服装ならば誰でも気をとられてしまうだろう。

「だからって。女性をそんなにジロジロ見るものではないわよ」

「気になっちゃったんだから仕方ないだろ〜?なんであんな服装してるのかなぁ…ってさ」

ロイドは思い出す、女性の服装を。
ピンク色は確かに可愛い。だがそれは他の色合いと合わせてこそじゃないか、と思った彼は首を傾げるのだった。
あれでは可愛い、というよりも…

「目が痛くなるっていうか、目に毒?なんだよな」

「ロイド、それ使い方違うから……」

だが、言いたい事は伝わったのだろう。
納得した仲間達をみて、ロイドは隣にいる少女に視線を向けた。
金色の髪に、首には赤いエクスフィア。
パチパチと開閉を繰り返す瞼の奥には、透き通った青色の瞳がみてとれる。
視線に気がつくと首を傾げ、そのガラスの様な瞳でロイドを見上げた。
この少女ならあの服装でも似合うだろうか。
そんな考えが浮かんだが、すぐさま頭をふり思い直す。
ーーやはりこの少女には白が似合う。
可愛らしいピンクが似合わない、とは言わないが。
純粋な彼女には穢れの無い白が似合うだろう、と感じた。

「ピンクの服を着る人ってのは、誰かと恋をしたいんだって聞いたことあるぜ〜?」

「じゃあアンタもそうなんだねぇ。どおりで女と見たら声かける訳だよ、こんのアホ神子!!」

会話の後、聞こえた打撃音に少しばかり呆れながら騒がしい仲間2人へと視線を戻すのだった。
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