そこに野望があるからⅡ
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「そういえば、前に菜々が言っていた全国制覇したらしたいことって、何だったんだ?」
赤木くんが突如思い出して言った。
私は、少ししまったと思って、言葉に詰まる。
「やっぱり教えられんか」
『‥‥‥うん、ごめん』
教えたい。伝えたい。”全国制覇”を成し遂げて、本当は何をしたいのかを。
でも、それは私の中で決めたルールに反する。
私は赤木くんと同じ場所に立ちたい。赤木くんと同じ目線で話がしたいのだ。
だから私は、私が決めた自分ルールを破ることは出来ない。
でも、赤木くんに、少しは気付いてもらいたい。私の不純な気持ちに。私の恋心に。
『ねぇ、赤木くんに聞きたいことがあるんだ』
私は赤木くんの目を覗き込む。少し戸惑いの色が見える。けれど、そんなのは関係ない。
少しは私のことを意識してほしい。
「何だ?」
『一年生の県大会の時、赤木くん、私に声をかけてくれたでしょう。どうして、声をかけたの? 無視することだって出来たのに』
「どうして、か。昔の話だからな‥‥‥」
赤木くんは「どうしてだったか‥‥‥」と呟きながら、真剣に過去を思い出している。
悔しいけれど、私との出会いの思い出なんて、そんな記憶に残るものではないのだろう。
それでも、一生懸命に思い出してくれている姿を見れるだけで嬉しかった。
赤木くんが私の為に悩んでいる時間は、少し心地が良かった。
「‥‥‥似てる、と思ったからだな」
今度は赤木くんが真剣な目で私を見る。
『似てる?』
「あぁ」
そう言って、赤木くんは私に背を向けて、ゴールのリングに向かってバスケットボールを放った。