そこに野望があるから
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「ふん。全国制覇は、我が柔道部が先だ!」
青田くんの顔には不安など一切感じない。余程自信があるのだろう。
去年も同じことを言っていたけれど。
ここで、うんうんと話を聞いているだけじゃ、赤木くんとの仲を深めることは出来ない。
私は少しムキになって、青田くんに言い返す。
『何言ってるの。全国制覇は私たち女子テニス部が先なんだから!』
私は女子テニス部に所属している。これでも一年の頃からシングルスのレギュラーなのだ。
三年生の今年は全国制覇を目指せる最後の年だ。
全国制覇を目指している人は、”全国制覇”という言葉に敏感だと思う。青田くん然り、私然り。
私の場合、赤木くんや青田くんの目指している全国制覇とは訳が違うけれど。
だけど、赤木くんは私や青田くんとは同じようで違う気がする。
私と青田くんは猪突猛進という感じだけれど、赤木くんは虎視眈々という感じがするのだ。
「三人は、いつもこの話題になると譲らないよな」
赤木くんの横に立っていた小暮くんが楽しそうに笑った。
小暮くんは赤木くんの親友のような人だ。私の恋の相談にも乗ってくれる。いい人だ。
小暮くんの話だと、赤木くんと青田くんは昔から張り合っている。
私がその張り合いに参加し始めたのは、一年生の県大会終了後からだ。
『そんなことないよ。青田くんがいるから熱くなっちゃうんだよ』
そうは言ったが、全国制覇に燃えているのは青田くんだけではない。
私だって全国制覇に燃えている。
それが、赤木くんに近づく唯一の術だからだ。