水面の月でキミワラウ
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海歌side
新しい制服に腕を通し、鏡を見ながら髪を整え赤いリボンでツインテールに結っていく。
雄英に通う初日、昨日とは違い緊張と少しばかりの恐怖で震えてしまうい何度も心の中で大丈夫と言い聞かせる。
少し恐怖に思ってしまうのは中学の3年間と右手首に出来た傷のせい。
その傷を見えないように付けているリストバンドに手を伸ばす。
ピロン!っとタイミング良くなるスマホに手を伸ばし画面を確認してみると、そこには母からのメッセージ。
〈今日から雄英やね。海歌なら大丈夫!今日を楽しむんよ)
さすが母。なんとタイミングのいい
「大丈夫。大丈夫。へいき、へっちゃら」
心の中で何度も唱え深呼吸をすると少し落ち着いたような気がした。
最後に前髪チェックをしたら準備万端。
部屋から出ると朝食を食べている出久と朝食の準備をしている出久ママの姿。
雄英に通う事が決まりさすがに一人暮らしをすることに反対した父を見兼ねて昔馴染みの出久ママへと連絡を入れた母、二つ返事で受け入れてもらい昨日からこの家でお世話になることになった。
「おはよう海歌ちゃん、昨日は寝れた?結構遅くまで物音してたけど」
「出久ママおはよう!ごめんね!うるさかった?」
「うみ朝方も出てなかった?」
「うん。いつも癖でランニング時間に起きちゃってそのまま走って来ちゃった」
「ちゃんと寝ないとダメよ?」
「うん!ありがとう」
用意してもらった朝食を食べたらいざ雄英。
出久ママに見送られ出久と共に電車に乗り雄英の最寄り駅で降りればもうすぐ
「うぅ〜やっぱり緊張してきた…」
「大丈夫だよ。海歌ならすぐに馴染めるよ」
並んで学校へ向かっていると後ろから声が聞こえてくる。
「デクくーん!水月さーん!」
振り返るとボブヘアの子とメガネ男子
確か雄英体育祭で見た麗日お茶子ちゃんと飯田天哉くん。
「2人一緒やったんや!おはよう!」
「おはよう2人とも!」
「おはよう!」
2人も揃い教室へと向かう。
そこで何かを思い出したように麗日さんが声を出した。
「あっ!ちゃんと挨拶してなかったね!私、麗日お茶子です!」
「僕は飯田天哉だ。1-Aの委員長をしている!」
「お茶子ちゃんと飯田くんよろしくね!体育祭見てたよ、2人ともって言うかA組凄かったね」
「ありがとう!水月さんは雄英来る前どっか高校通とったん?」
「えっ!?」
「いや編入って事はどっか行ってたんかなと思って」
「あっえ、っと入学前にその…入院してまして…」
「えっ!!?入院!!?」
「う、うん。実は階段から落ちちゃって…思ったより打ちどころとか悪くて…」
咄嗟のことに動揺し、我ながらしどろもどろに答えてしまった。
けれどどうしても言いたくない、知られたくない。
どこか心の中から信用しきれない、そういう目でしか周りをみれなくなってしまつている自分が嫌になる。
「そうだったんだ…」
「もう大丈夫なのかい?」
「あっでも心配しないで怪我はもう治ってるから」
心配そうに見つめてくる3人に本当のことが言えない申し訳なさを感じながらも別の話に逸らしながら残りの道を進んで行った――
「今回の期末テストだが、残念だが赤点が出た。従って…」
相澤先生が教壇に立って話す。
そう言われたらみんな期末が赤点がとか林間合宿とか言ってたなぁ…
周りを見ると数名が真っ白な顔で相澤先生のセリフの続きを待っていた…
しかしそんな生徒たちを他所にケロッとした面持ちで
「林間合宿は全員で行きます!」
「「「「どんでん返しだぁあぁぁあ!!!!」」」」
待ってましたと言わんばかりに凄い勢いで騒ぎ出す4人に若干引いてしまう…
昨日も思ったけどこのクラス元気がいいなぁ…
───────────────────
チャイムと共に今日の最後の授業が終わりを告げる。
放課後、全員で林間合宿に行くことが決まり朝の雰囲気とは打って変わって明るい話題で持ち切りだった。
配られた林間合宿のしおりを見ると準備するものなど参考リストが記載されている。
1週間ともなればやはり量が多いなぁ…
「じゃあさ!明日休みだし、テスト明けだしって事で、A組皆で買い物に行こうよ!」
葉隠さんの提案にテンションが上がりノリノリなメンバーが大半だったが爆発やろーはその提案を蹴っていた。
出久が紅白頭の子にも話していたが用事があるようだ。
「水月さんは?明日一緒に行ける?」
お茶子ちゃんとカエルの子が話しかけてくれたが、明日か…どうしても抜けられない用事がある。
空気を壊してしまうかもしれないが仕方がない。
「ごめんね。明日午前中少し用事があって…」
「それじゃあもし海歌ちゃんが迷惑でなければ用事が終わった後に合流するのはどうかしら?」
「じゃあそうしよっかな!えっと…」
「私は蛙吹梅雨。梅雨ちゃんと呼んで?」
「うん!よろしくね梅雨ちゃん!」
─────────────────────
次の日
翌日私は精神科医に来ていた。
・ ・ ・ ・
あの事件から不眠症になっているので薬と経過観察で通院をすることになっていた、こっちに来て今日が初めての診察の日だった。
会計の待ちで名前を呼ばれるのを待ちながら家族のグループメッセージを送る。
(診察終わったよ!今会計待ち〉
(やっぱり寝れないから薬処方して貰ったよ〉
「水月さーん」
名前を呼ばれ会計を済まし1回帰路に着こうと出口に向かっていると
「水月?」
名前を呼ばれた方を勢いよく振り返るとそこには紅白頭くんが立っていた
「お前こんなところで何してんだ?」
「あっえっとこれは…」
近づいてき紅白頭くんにびっくりして手に持っていた薬を落としてしまった。
「これって…」
「これは違くて!」
散らばった薬を見られた事に慌てて拾い集める。
「…場所変えるか。」
そう言って連れてこられたのは病院近くの公園
その公園のベンチに少し距離を開けて紅白頭くんもとい轟くんの横に座る。
「轟くんはどうしてあそこに?」
「あぁ。母の見舞いに来てたんだ」
「そうだったんだ…」
「それでお前は?」
「あのね…このことは出久達には言わないで欲しいの」
「緑谷達も知らねぇのか?」
「うん。」
「…理由を聞いていいのか?」
本当は誰にも話すつもりなんてなかった。
まだ向き合えてるようで向き合えてない過去の話。
でもその吸い込まれるようなオッドアイの瞳になぜだか轟くんになら話してもいいかなと思った。
一息ついてゆっくりと話し始めた。
「少し長くなるかもだけど聞いてくれる?」
不甲斐ない私の話。
To Be Continued…
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