flower bud
1つ
そいつの第一印象は──
「金蝉。ちょっと付き合え」
「は?」
その肩書きとは無縁な自分の叔母…に当たる五大菩薩の一人。慈悲と慈愛を司る仏こと観世音菩薩が現れたかと思えば、急な呼び出しに悪態を着きながらその後ろをついて行く。たんまり歩かされ辿り着いた場所は、天界でも一際高い塔がある場所。見上げ続けると首が痛くなりそうだ。
「──おい、ここって…」
「ああ。天界の守り人がいる場所だ。」
天界の守り人
この地に住まう者で知らない者はいない。
天界を守護し救済する者。
なぜそんな人物が住まう場所に連れて来られたのか、社会科見学のつもりかと理解が出来ず反論しようといつもの如く噛み付いて見たが黙って着いてこいとでも言うかのような圧に押し黙る。
塔の長い階段を息を切らせながら登り終えれば1つの扉が現れた。観世音がノックをし返事が帰って来る前に扉を開ける。
「来てやったぞ。秋霖(しゅうりん)。」
入って行く観世音の背から中を覗けば、塔の大きな窓辺に紫の長い煌びやかな髪に翡翠の瞳を持つ一人の少女が座っていた。
しかし、そんな少女に対して幼い金蝉童子が抱いた第一印象は──
「この世の全てに興味がないとでも言う様な無表情な女。」
「どうしたんです?藪から棒に」
目の前に座るあの時の少女は時が経ち、女性へと成長した。急に呟かれた台詞になんだこいつ失敬な、とでも言うかのよう顔を浮かべる。
「いや、昔の事を思い出しただけだ。」
「あー分かりました!当ててあげましょうか?初めて会った時の事でしょ?失礼だけど、本当のことだから許してあげます」
あの時見せた無表情が嘘かのように今では花開く様にクスクスと笑って見せる秋霖。
昔馴染みからもらった茶菓子を手に会いに来てみれば、嬉しそうに出迎えそのままお茶をすることに。
楽しそうにニコニコしながらお茶を入れる姿を見れば第一印象と比べるのも仕方がないことだろう。
出されたお茶を飲んでいれば、秋霖は茶菓子を口にし幸せそうな表情を浮かべてみせる。
本当に表情豊かになったものだ。
「これ!凄い美味しいです!」
「それはよかった。」
長い付き合いの中で知った事は、一体その細い体のどこに入っていくのやら秋霖はよく食べる方である。なので昔馴染みから茶菓子を貰えばいつもここに持ってきて一緒に食べることが習慣になっている。
美味しそうに茶菓子を口にする秋霖の後ろに目を向けると、あの大きな窓辺に1輪の花が花瓶に入れられていた。この塔から出ることを許されない秋霖が花を摘むことなど出来ない。
「…また置かれてたのか?」
「ん?ああ、そうそう…誰だか分かりませんけどこんな所まで来て花を置いていくなんてもの好き、ですよね。」
天界の守り人……などと体のいいことを言われているが蓋を開ければ、不浄な者にもなれない半端者を処理できずこんな塔に閉じ込めているだけの話。
この天界において、秋霖の産まれはあまりにも許されるものではないからだ。
そんな不浄な者にもなれない半端者にわざわざ近づき、しかもこの高い塔を登り1輪の花だけを扉の前に置いて行くのだ。
「…1度でいいから会ってみたいなぁ」
どこか寂しそうに呟いていた先日の秋霖を思い出しながら、目の前に茶菓子を片手に飄々と部屋に現れた昔馴染みをウザそうに見つめる。
「……またか」
「失礼ですね。折角お土産持ってきてあげたのに」
「いい加減自分で持って行ったらどうなんだ。扉の前に花だけ置くのも飽きただろ。」
「さぁなんのことでしょう?」
そう言うと机の上に置かれた茶菓子に目を向ければ、前に秋霖が好きだと言っていた事を思い出し呆れてため息が零れる。
「好みまで把握してる割には自分で持っていかないのは何なんだ。毎回行く俺の身にもなれ」
「どこへ持って行っているか知りませんけど、あれだけの階段を登ればいい運動になるんじゃないですか?」
ああ言えばこう言う減らず口にイラつきを覚えながら目の前の男、天蓬を睨むが全く相手にしていない態度である。
「あぁ。そう言えば近々西方軍に配属になるんですよ僕」
タバコをふかしながら聞いてもいない話を始めたがこの男、一応元帥と言う立場であるはずだが…
「西方軍だと…?わざわざ最前線に出るのか」
「えぇ。なのでそうなれば、今よりか手土産を持ってくる事も少なくなるでしょうね…」
どこか寂しそうに天井へ向けて紫煙を吐く天蓬の姿を見た後、手元の資料への目を向ける。
「おっと、じゃあ僕行きますね。軍の異動手続きなんかでしばらく忙しいので」
「さっさと行け」
「お菓子、食べてくださいね」
「はいはい」
しっしと手を振りながら天蓬を見送る。
これから色んなことが大きく動き出すことなどまだ誰しも知るよしはなかった──
──────────────────────
どれくらいこの塔に閉じ込められていたのかなんて分からない……。気がついた時にはもうここにいて、誰も近づかないひとりぼっちの場所。
自分の産まれた理由も、それがこの世界から望まれて産まれた訳でもないことも、知っている。
でも1番産まれ落ちることを望んでいなかったのは自分。
塔の窓から見える世界はあまりにも遠く感じた。
人々が笑い、季節が巡り、花が咲く。
その景色はまるで、自分だけが取り残されていることを突きつけてくるようだった。
そこへ入ることは許されない。
そこに自分の居場所はない。
そう言われ続けている気がした。
だから世界は憎たらしいほど綺麗だった。
手の届かないものほど美しく見えるのなら、いっそ興味など持ちたくなかった。
「よぉ、お前が天界の守り人か?」
突然この塔にひとつしかない扉が乱暴に開いたかと思えば、ズカズカと入ってくる人物に目を向ける。白い薄手の布と言うよりも透明に近い布を纏い隠れてるんだか隠れてないんだかよく分からない服装。
確かこう言うのは呼び方があったはず、
「露出、狂…?」
「誰が露出狂だ」
ズカズカと入ってきた人物は窓辺の近くに設置されている椅子にドカッと足を組み座る。
こう言うのは馴れ馴れしいと言うことを知っている。
「俺は観世音菩薩ってんだ。お前は?」
「天界の守りび「違うね。それは肩書きだ。」…名前は、ない。」
名前など呼ぶ者もそれを与えてくれる者など誰もいなかった。時々配給で来る者は皆、守り人としか呼ばない。
「ない、か……じゃあ俺が付けてやるよ。この観世音菩薩様がわざわざ付けてやるんだ。ありがたく思えよ。そうだな………秋霖なんてどうだ?」
「……秋霖?」
「下界じゃあ秋の長雨って意味だ。雨は空からのめぐみものなんて言うらしい」
下界。この天界とは違いここよりも遥か下にある世界。そこは人間と妖怪が共存している場所だと知っている。しかしそんなことよりも自分に名を与えてくる者が現れた事に驚く。
「なんだお前。無表情かと思えばそんな顔も出来るのか。いつもはこの世の全てに興味がないとでも言う様な無表情浮かべてるくせに。」
「……」
言い当てられ顔を逸らす。
ズカズカと勝手に入ってきたかと思えばこういうのを図々しいと言うのか。
それからと言うもの何度もこの場に来ては色んな話をしたり、観世音菩薩のお目付け役である二郎神が入れてくれた茶でお茶会をしたりと共にする事が多くなった。二郎神からお茶の入れ方、字の読み書きなどを教えてもらっていた。
「どうした?」
「いや、昔の事思い出してました。あの時の観世音ったらめちゃくちゃ図々しくて馴れ馴れしくて、それが羨ましくも思ったりして」
淹れたてのお茶に口をつける観世音を前に、金蝉が昔のことを思い出したりするから感化されたのだと思い自分もお茶を口にした。
「いいじゃねぇか図々しく馴れ馴れしくなってみれば」
「……なれませんよ。」
「それは天界の守り人としてか?」
天界の守り人……観世音達と関わるようになり色々な感情を学ぶことができて思ったことは、その呼ばれ方は凄く言い表せないほどに嫌いな呼び名だと言う感情を知った。
「守り人なんて言って、こんな所に閉じ込めるためのただの肩書きです。変わらない、無駄な時間だけがどんどんすぎて行く退屈な毎日。……こんなのは死んでるのと一緒です。誰しもが平等であるべきです!」
机の下で握った手に力が入る。その様子に
「ならそう唱えるのであれば、お前の好きなように行動してみろよ。秋霖。」
「!!……好きなようにしてもいいの?」
「お前の思う通りにやってみりゃいいじゃねぇか」
好きなように、思う通りに。
そんな事言われたことも考えた事もなかった。
ただそこにあり続けることを強いられ受け入れていただけだったから。
でもそれをしてもいいのなら…
「じゃあ!!やりたいこと見つけたいです!」
「そうと決まればまず一歩踏み出してみせるんだな。」
そう言うと部屋から出て行く観世音を座ったまま見ていると「どうした?来ないのか?」とでも挑発するようにこちらを見てくる。
意を決して扉の前に立ち、向こう側へと恐る恐る足を伸ばす。向こう側へと片足をつけてみるとそこからはもうスムーズに部屋から抜け出す。
長い長い階段を降りると今まで見下ろしていた遠い世界は凄く近くにあって、初めて感じる芝生の感触も桜舞い散る景色もどれも新鮮で綺麗だと感じた。
「それで?これからどうすんだ?」
「そんなの決まってます!まずは…」
見上げていた桜から観世音に振り返り何かを企むんでいる顔をしてある場所へと向かった。
そいつの第一印象は──
「金蝉。ちょっと付き合え」
「は?」
その肩書きとは無縁な自分の叔母…に当たる五大菩薩の一人。慈悲と慈愛を司る仏こと観世音菩薩が現れたかと思えば、急な呼び出しに悪態を着きながらその後ろをついて行く。たんまり歩かされ辿り着いた場所は、天界でも一際高い塔がある場所。見上げ続けると首が痛くなりそうだ。
「──おい、ここって…」
「ああ。天界の守り人がいる場所だ。」
天界の守り人
この地に住まう者で知らない者はいない。
天界を守護し救済する者。
なぜそんな人物が住まう場所に連れて来られたのか、社会科見学のつもりかと理解が出来ず反論しようといつもの如く噛み付いて見たが黙って着いてこいとでも言うかのような圧に押し黙る。
塔の長い階段を息を切らせながら登り終えれば1つの扉が現れた。観世音がノックをし返事が帰って来る前に扉を開ける。
「来てやったぞ。秋霖(しゅうりん)。」
入って行く観世音の背から中を覗けば、塔の大きな窓辺に紫の長い煌びやかな髪に翡翠の瞳を持つ一人の少女が座っていた。
しかし、そんな少女に対して幼い金蝉童子が抱いた第一印象は──
「この世の全てに興味がないとでも言う様な無表情な女。」
「どうしたんです?藪から棒に」
目の前に座るあの時の少女は時が経ち、女性へと成長した。急に呟かれた台詞になんだこいつ失敬な、とでも言うかのよう顔を浮かべる。
「いや、昔の事を思い出しただけだ。」
「あー分かりました!当ててあげましょうか?初めて会った時の事でしょ?失礼だけど、本当のことだから許してあげます」
あの時見せた無表情が嘘かのように今では花開く様にクスクスと笑って見せる秋霖。
昔馴染みからもらった茶菓子を手に会いに来てみれば、嬉しそうに出迎えそのままお茶をすることに。
楽しそうにニコニコしながらお茶を入れる姿を見れば第一印象と比べるのも仕方がないことだろう。
出されたお茶を飲んでいれば、秋霖は茶菓子を口にし幸せそうな表情を浮かべてみせる。
本当に表情豊かになったものだ。
「これ!凄い美味しいです!」
「それはよかった。」
長い付き合いの中で知った事は、一体その細い体のどこに入っていくのやら秋霖はよく食べる方である。なので昔馴染みから茶菓子を貰えばいつもここに持ってきて一緒に食べることが習慣になっている。
美味しそうに茶菓子を口にする秋霖の後ろに目を向けると、あの大きな窓辺に1輪の花が花瓶に入れられていた。この塔から出ることを許されない秋霖が花を摘むことなど出来ない。
「…また置かれてたのか?」
「ん?ああ、そうそう…誰だか分かりませんけどこんな所まで来て花を置いていくなんてもの好き、ですよね。」
天界の守り人……などと体のいいことを言われているが蓋を開ければ、不浄な者にもなれない半端者を処理できずこんな塔に閉じ込めているだけの話。
この天界において、秋霖の産まれはあまりにも許されるものではないからだ。
そんな不浄な者にもなれない半端者にわざわざ近づき、しかもこの高い塔を登り1輪の花だけを扉の前に置いて行くのだ。
「…1度でいいから会ってみたいなぁ」
どこか寂しそうに呟いていた先日の秋霖を思い出しながら、目の前に茶菓子を片手に飄々と部屋に現れた昔馴染みをウザそうに見つめる。
「……またか」
「失礼ですね。折角お土産持ってきてあげたのに」
「いい加減自分で持って行ったらどうなんだ。扉の前に花だけ置くのも飽きただろ。」
「さぁなんのことでしょう?」
そう言うと机の上に置かれた茶菓子に目を向ければ、前に秋霖が好きだと言っていた事を思い出し呆れてため息が零れる。
「好みまで把握してる割には自分で持っていかないのは何なんだ。毎回行く俺の身にもなれ」
「どこへ持って行っているか知りませんけど、あれだけの階段を登ればいい運動になるんじゃないですか?」
ああ言えばこう言う減らず口にイラつきを覚えながら目の前の男、天蓬を睨むが全く相手にしていない態度である。
「あぁ。そう言えば近々西方軍に配属になるんですよ僕」
タバコをふかしながら聞いてもいない話を始めたがこの男、一応元帥と言う立場であるはずだが…
「西方軍だと…?わざわざ最前線に出るのか」
「えぇ。なのでそうなれば、今よりか手土産を持ってくる事も少なくなるでしょうね…」
どこか寂しそうに天井へ向けて紫煙を吐く天蓬の姿を見た後、手元の資料への目を向ける。
「おっと、じゃあ僕行きますね。軍の異動手続きなんかでしばらく忙しいので」
「さっさと行け」
「お菓子、食べてくださいね」
「はいはい」
しっしと手を振りながら天蓬を見送る。
これから色んなことが大きく動き出すことなどまだ誰しも知るよしはなかった──
──────────────────────
どれくらいこの塔に閉じ込められていたのかなんて分からない……。気がついた時にはもうここにいて、誰も近づかないひとりぼっちの場所。
自分の産まれた理由も、それがこの世界から望まれて産まれた訳でもないことも、知っている。
でも1番産まれ落ちることを望んでいなかったのは自分。
塔の窓から見える世界はあまりにも遠く感じた。
人々が笑い、季節が巡り、花が咲く。
その景色はまるで、自分だけが取り残されていることを突きつけてくるようだった。
そこへ入ることは許されない。
そこに自分の居場所はない。
そう言われ続けている気がした。
だから世界は憎たらしいほど綺麗だった。
手の届かないものほど美しく見えるのなら、いっそ興味など持ちたくなかった。
「よぉ、お前が天界の守り人か?」
突然この塔にひとつしかない扉が乱暴に開いたかと思えば、ズカズカと入ってくる人物に目を向ける。白い薄手の布と言うよりも透明に近い布を纏い隠れてるんだか隠れてないんだかよく分からない服装。
確かこう言うのは呼び方があったはず、
「露出、狂…?」
「誰が露出狂だ」
ズカズカと入ってきた人物は窓辺の近くに設置されている椅子にドカッと足を組み座る。
こう言うのは馴れ馴れしいと言うことを知っている。
「俺は観世音菩薩ってんだ。お前は?」
「天界の守りび「違うね。それは肩書きだ。」…名前は、ない。」
名前など呼ぶ者もそれを与えてくれる者など誰もいなかった。時々配給で来る者は皆、守り人としか呼ばない。
「ない、か……じゃあ俺が付けてやるよ。この観世音菩薩様がわざわざ付けてやるんだ。ありがたく思えよ。そうだな………秋霖なんてどうだ?」
「……秋霖?」
「下界じゃあ秋の長雨って意味だ。雨は空からのめぐみものなんて言うらしい」
下界。この天界とは違いここよりも遥か下にある世界。そこは人間と妖怪が共存している場所だと知っている。しかしそんなことよりも自分に名を与えてくる者が現れた事に驚く。
「なんだお前。無表情かと思えばそんな顔も出来るのか。いつもはこの世の全てに興味がないとでも言う様な無表情浮かべてるくせに。」
「……」
言い当てられ顔を逸らす。
ズカズカと勝手に入ってきたかと思えばこういうのを図々しいと言うのか。
それからと言うもの何度もこの場に来ては色んな話をしたり、観世音菩薩のお目付け役である二郎神が入れてくれた茶でお茶会をしたりと共にする事が多くなった。二郎神からお茶の入れ方、字の読み書きなどを教えてもらっていた。
「どうした?」
「いや、昔の事思い出してました。あの時の観世音ったらめちゃくちゃ図々しくて馴れ馴れしくて、それが羨ましくも思ったりして」
淹れたてのお茶に口をつける観世音を前に、金蝉が昔のことを思い出したりするから感化されたのだと思い自分もお茶を口にした。
「いいじゃねぇか図々しく馴れ馴れしくなってみれば」
「……なれませんよ。」
「それは天界の守り人としてか?」
天界の守り人……観世音達と関わるようになり色々な感情を学ぶことができて思ったことは、その呼ばれ方は凄く言い表せないほどに嫌いな呼び名だと言う感情を知った。
「守り人なんて言って、こんな所に閉じ込めるためのただの肩書きです。変わらない、無駄な時間だけがどんどんすぎて行く退屈な毎日。……こんなのは死んでるのと一緒です。誰しもが平等であるべきです!」
机の下で握った手に力が入る。その様子に
「ならそう唱えるのであれば、お前の好きなように行動してみろよ。秋霖。」
「!!……好きなようにしてもいいの?」
「お前の思う通りにやってみりゃいいじゃねぇか」
好きなように、思う通りに。
そんな事言われたことも考えた事もなかった。
ただそこにあり続けることを強いられ受け入れていただけだったから。
でもそれをしてもいいのなら…
「じゃあ!!やりたいこと見つけたいです!」
「そうと決まればまず一歩踏み出してみせるんだな。」
そう言うと部屋から出て行く観世音を座ったまま見ていると「どうした?来ないのか?」とでも挑発するようにこちらを見てくる。
意を決して扉の前に立ち、向こう側へと恐る恐る足を伸ばす。向こう側へと片足をつけてみるとそこからはもうスムーズに部屋から抜け出す。
長い長い階段を降りると今まで見下ろしていた遠い世界は凄く近くにあって、初めて感じる芝生の感触も桜舞い散る景色もどれも新鮮で綺麗だと感じた。
「それで?これからどうすんだ?」
「そんなの決まってます!まずは…」
見上げていた桜から観世音に振り返り何かを企むんでいる顔をしてある場所へと向かった。
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