— RELOAD —
バシャバシャと川で顔を洗う悟空の後ろから八戒が声をかける。
「おはようございます 悟空」
「んーーはよ」
「ふぁ〜〜〜…お、ずい分早起きじゃねーの めずらしーー」
「~~~あのなぁッ 俺はてめェに蹴られて起きたんだぞ!?」
「ジープでか?あー悪ィ悪ィどっかの小猿と違って足長ぇからさぁ」
「~~~どっかの小猿ってどこの小猿だよ!?」
「この森 他にも猿がいるってか?」
朝から元気に口喧嘩を始めだした2人。
まだ眠さが残る目を擦りながら起きてきた双葉とクロガネ。
「ふぁぁぁおはよー……朝から元気だねぇ…」
「わふぅ…」
「おはようございます 双葉、クロガネ。──双葉寝癖ついてますよ?」
珍しく寝癖なんかを付けている双葉に微笑む八戒。
双葉はまだ寝ぼけているようでふわふわした喋り方のまま
「……えぇー…どこぉ?」
「顔洗ったらこっちこい。髪結んでやっから」
「……はぁーい」
そのままふわふわ状態で返事を返して川の方へととぼとぼ歩いていく双葉の背を見送る悟浄と八戒。
「寝起きは本当、ふわふわしてんな」
「えぇ。可愛いでしょ?」
「あーはいはい。ごちそうさん」
「──あ 三蔵おはようございます。」
「………………あ?」
八戒が三蔵にそう声をかけるも血圧の彼らしい数テンポ遅れた返事を返す
「おはようございます」
「──もういいのか」
「ええすっかり、昨夜はゆっくり休めましたから。もっとも、あの街を出たのが夕方だったので やむを得ず野宿になっちゃいましたけどね」
「………慣れたもんだろ」
「あはは お陰様で。」
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「なんちゅーかこォ……ムナシーーー。」
「文句があるなら食うな」
静かな森に悟浄の声が響き、それを鬱陶しそうに三蔵がバッサリと切り捨てる。
「だってコレ少ねぇんだもん!!」
「そっちかよ」
「まあまあ 缶詰だけでも買っておいて助かったじゃありませんか…双葉 クロガネとジープにあげないで自分で食べてください」
「ぐっ!?バ、バレた…」
「お前、マジでちゃんと食わねぇと死ぬぞ…」
「食べてるよ!」
隠れて1つの缶詰の半分を2匹に与えていた双葉
悟空が溜め息を吐く
「やっぱ昨日ちゃんと焼きソバ10皿…買えてたら……」
そう言葉を発すると共に昨日の出来事を思い出してしまう。それに気がついた悟浄が足で悟空の頭を蹴る。
「辛気臭え面すんなっつの」
「ぶ ~~~なにすんだよッ!!?」
「──悟空」
その行為に立ち上がった悟空に三蔵は「忘れろ。気にするだけ無駄な事だ」と話す。
悟空はその言葉に残っていた缶詰の中身を一気に口の中へ入れていく。
「悟空 ちゃんも噛まないと喉詰めるよ?」
「~~~八戒!コレおかわり!!」
「えーと 差し上げたいのは山々なんですけど しばらくおあずけみたいですよ?」
八戒の言葉と共に妖気を感じ目線を向ければ崖の上には妖怪の集団。
「ひゃははァ見つけたぞ おたずね者の三蔵一行ォ!!」
「経文も貴様らの命も貰い受けるぜ!!」
面倒くさそうに立ち上がり崖を見上げる
「…ったく 朝っぱらからよォ…ムサくるしい顔見せんなっつの」
「ほんっと毎度毎度飽きないよね」
「朝メシちゃんと食わねぇとなァ…イライラするって知ってっか!?」
キレた悟空の蹴った空き缶が崖の上の妖怪の顔に見事ヒット。それを合図に妖怪達が一斉こちらへと向かってくる。
「かかれえぇ!!」
襲ってくる妖怪達を相手にしながら倒していく。
しかし今回は結構大人数のようで倒しても湧いてくる感覚まである。
「まだまだァ!!奴らの体力が尽きるまで総がかりだァ!!」
「人海戦術で攻めてきましたよ」
「バカもバカなりに頭を使って来たってことだね」
「……フン。早朝出勤ご苦労なこった」
三蔵が銃弾を放とうとしたその瞬間、重い銃声と共に三蔵の目の前だけでなく皆が相手していた妖怪が倒れていく。
「!!? 」
「!?え…?」
「…こない朝まっから、賑やかいお人らやねぇ。お早うさんどす ええ天気やねえ」
「はぁ…おはようございます」
「……」
挨拶をしながら現れたのは青い眼を持つ男 ヘイゼルだった。その笑顔はとても戦場にはアンバランスである。挨拶を返す八戒の隣で眉を寄せる双葉。
「~~~~あれ?あんた“オバン”の人!!」
「何でここに」
「そこいらのお話はひとまず……後にした方がエエんちゃいます?」
ヘイゼルの言葉に悟空と悟浄が後ろから攻めてきた妖怪を
「──そんなの言われなくてもわァってるっつーの!!」
「ははっ ええなぁ仲良うて──ガト行きなはれ」
そう指示し自らは戦わず、ガトが妖怪を倒していく。
「~~~やっぱマジ強えや アイツ!!」
「ですやろ?せやから後はうちらに任しといてや」
「…はァ!?アイツら『全部』俺達の敵だぜ?手助けなんざ必要ないっつーの」
悟浄の台詞にヘイゼルが振り返り悪びれもない様子で
「何やあんさん方…手間取ってたみたいやから」
にこやか言われ三蔵を除く、4人の纏う空気がピシッと凍り付く。
「──三蔵、三蔵ちょっと」
「…何だよ」
悟空と悟浄が三蔵を手招きして呼ぶと
「「魔戒天浄かましたれ。」」
「~~~ガキかてめえら!?」
「だってさぁッ!?」
「あそこまで言われて黙ってられっかよ!!」
三蔵に却下されるも食い下がる二人
「勝手に片付けてくれるってんなら任せときゃいいだろうが」
「いーじゃんかよ!減るもんじゃないし!」
「ああ、ホンマ無理は禁物どすえ三蔵はん 怪我でもしはったら事やろ?その4人さんの後ろ隠れとき。」
ヘイゼルが火に油を注いだせいでブチッと『何か』がキレる音がし、三蔵は目の前にいた悟浄を腹いせとばかりに無言で蹴り倒すと……
「てめッ何すん……」
「──オン マニ ハツ メイ ウン!!──魔戒天浄!!」
「あーあ ホントにやりましたね」
「…ほんっと負けず嫌いだよね」
「~~~どっちがガキだよどっちが!?」
魔戒天浄のおかげで残りの妖怪を一掃。
その様子にあははっと笑う八戒と呆れる双葉。
「…いやあ…ビックリしたわホンマ!!“魔の闇を破く光の力”……これやわ うちが欲しかったんは」
「……」
三蔵の方へ一歩近寄りながら呟くヘイゼルの言葉に疑問を抱く双葉。言われた三蔵もまた怪訝な顔を見せるも興味なさそうに視線を逸らす。
「……さてと。この森降りた所に町があるんやけど、御一緒にお昼ご飯でもどないです?うちが奢りますさかい」
「おいおい、なァんでアンタらに飯奢ってもらわなきゃなんねえの」
前日のこともあり悟浄はヘイゼルからの提案に不満げな態度を取るもまたもや悪びれた素振りもないように
「せやかて こないなモンばっかり食べてはったら…」
そう返すヘイゼルの目線の先には空き缶の山……
「身体壊しますえ?」
「いつも缶詰食ってるワケじゃねーーーよッ」
「本当に失礼な奴ね…」
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「……とか言うた割には、よう食べはりますなぁ」
悪びれはなくとも嫌味な言い方をするヘイゼル。
「そりゃあ他人の金だからな」
「これもう一皿追加ーー!!」
「…自分で払った事ねえだろーが」
悟浄も悟空も好き勝手食事をしている。
目の前に置かれた食事に一切手をつけずヘイゼルとガトに対して警戒を怠らない双葉は眉間にはシワを寄せたまま。
「ところでお宅ら西から来たんだろ?何でまた西こっちに引き返して来たんだよ」
「言いましたやろ?うちらの目的は妖怪退治やて」
体のいい事を言っているが要は一行と一緒にいれば妖怪と遭遇出来る確率が高くなるというだけの話…
余計に信用出来ないと思う双葉の隣で八戒が口を開く。
「なるほど……いえ。実は僕らの方も貴方にお聞きしたい事があったんですよ。例えば 貴方の力で生き返った方々についてなんですが……蘇生した事による副作用のようなものはないんでしょうか」
「…何ぞ気になる事でもありましたん?」
「いいえ ただ皆さん総じて瞳が黄色くなられてますよね、それ以外 特に生前と変わりなく死者を蘇らせる事が可能なのかと思いまして」
八戒は和やかに微笑みながら、ヘイゼルと腹の探り合いをするかのように会話を続ける。
「……さあ 副作用は特にないんと違います?うちの力で蘇ったんは皆、妖怪に命を奪われたお人らばっかりや――せやから、妖怪に対する憎しみの感情までも蘇らせてまう。それを拭い去る事ができひんのは……うちの力のいたらんところやね」
「……自分の力なのに特にないんと違います?って疑問形なんだ…」
揚げ足を取る訳ではないが誰にも聞こえないぐらいの声でそう呟いた双葉。
嘘をついている――そんな確信はない。
それでも、ヘイゼルの言葉には拭えない違和感が残った。
「蘇らせた死者を服従させる事も可能なのか?」
八戒の次に疑問を投げかけたのは三蔵。
「……ガトは元からうちの同行者なんや。確かにこの男はすでに命を落としてます。あないな戦い方しよるから魂いくつあっても足りひんくらいやけどな。それでもうちの為に身体張ってくれとる、大事な相方や」
「腕が立つ不死身のボディーガードってか」
「そうやねえ。うちと一緒におる限りはな…ところであんさん達は何の目的で旅してはるん?」
「あ?ああ まァなんちゅーかヤボ用でよ」
「お坊はんとそのお弟子さんら…には ちと見えへんのやけど」
「弟子じゃねぇよ下僕だ。」
そう答えた三蔵に対して
『やっぱ言った』
『また言った』
『久々に言った』
『言うと思った』
三蔵の横暴さには理解があるので4人の心中では息ぴったりなぐらいツッコミを入れていた。
「ははッ、それなら納得や 三蔵はんのあの技ほんまドえらいモンやからなあ。そないな経文持ってはるなら 妖怪に狙われるんも当然やねえ」
「…あんたのそのペンダントだって特殊な物だろう」
「ああ、気ィ付いてはりましたか」
ヘイゼルはそう言うと、胸元のペンダントに触れる。
円に六芒星を描いたペンダントを媒体に魂を回収し、ペンダントにある空洞の数だけ魂をストックすることができるという。
「へぇーッ」
「てっきりお洒落さんなのかと思いました」
なんて呑気や事を言う悟空と八戒に対してヘイゼルはどこか小バカにしたような笑い方を見せる。
「おもろいわぁ。それを言うんやったらアンタはん――その耳のカフスの方がよっぽどお洒落なんと違います?」
「……それはどうも」
「…チッ」
両者とも、貼り付けたような笑みを浮かべているがカフスの意味を知った上で口にしているように聞こえ、思わず舌打ちが漏れる。
「……あのー。お食事中の処、申し訳ありません。ひょっとして貴方がたは、あの有名な――ヘイゼル司教様の御一行でいらっしゃいますか」
「あっそのパターンなんだ…」
突然声を掛けられたのでいつも通り三蔵一行で言われると思っていたが思わぬ方向に悟空は額をテーブルに打ち、三蔵は呆気にとられ、悟浄はひっくり返る。八戒は笑っており、双葉は驚きのあまり目が点になっていた。
「お願いがございます司教様!! 我々を……この町をお救い下さい!!」
両手を合わせて祈り縋るような町の住民に対して
「そのお話、聞かしてもらいまひょ」
──天使は慈悲をかける。
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「ちょっ……たんまたんま!!」
「ほんまに便利やねぇ。馬車よりうんと速いわ。なぁガト?」
「……ああ」
「高ぇーッ! 面白えー!!」
ジープに男6人でギュウギュウに乗りながらある場所へと向かっていた。双葉はと言うとそんなジープに乗ることもせず大狼になったクロに跨りながら移動する。悟空はガトに肩車をしてもらい、悟浄はヘイゼルの後ろの辛うじて空いているスペースに半分はみ出して座っている状態。
「〜〜ちったぁ黙って座ってらんねえのかお前らは!!」
いつも以上に喧しい後方にブチ切れる三蔵。
まぁ分からなくもない…。
「…まぁ何と言いますか…」
「~~じゃあ席替われっつーの 三蔵サマ!!」
「賑やかでええやないですか三蔵はん」
「三蔵ッこれサイコーー!!」
「……ありえねえ…」
「流石にちょっと無理がありますよねぇ」
「ちょっと所ではない気がする……」
見るからにギュウギュウで大の大人が5人…悟空に限っては肩車中で見るからに暑苦しい状態だった。
「…すみませんジープ あとしばらくの辛抱ですからね」
「きゅーーー」
「…おい そこのデッカイの!!もっとそっち詰めて座れって」
「……すまん」
「なんだよ。悟浄ジャンケン負けたんだからしょーがねェじゃん」
「お前降りろ。少しは軽くなる」
「ブッ殺すぞクソ坊主ッ!!」
「まぁまぁ 仲良うせんとあきまへんよ?」
「ああ そうでっか!?えろすんまへんなッ!!」
「あ、皆さん気をつけて下さいね 段差が」
なんて八戒が言ったのもつかの間ドサリという音と共にジープから転げ落ちる悟浄……
「あ 悟浄落ちた。」
「あーぁ…クロごめん、悟浄も乗せてあげてね」
「ばふっ!!」
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「『町を救え』って…一体 何がありましたん?」
「ええ 実は……」
それは町から7キロ先の森の中に妖怪が住み着いている事。その妖怪達は町を襲いはしないものの、その森を抜けようとする人達が犠牲になり男は殺され、女は行方知れずになっているという話だった。
「痛ましい話やね……」
「お願いですヘイゼル司教様!!貴方様のお力で あの妖怪達をすべて倒して下さい!!どうか……!!」
「ああ…そない拝まんといて下さい、残念ながらうちは神様と違いますのや」
「ヘイゼル様……」
「神さんは なぁんもしてくらはりまへん拝むだけ損やからね。せやから…あんたらの祈り、このうちが引き受けまひょ もう何も心配せんでええよ」
「ヘイゼル様…!!」
まるで神に祈るかなのように縋る町の住民達のその様子は絵画にありそうな構図だった。
「なんか…怖えな」
「だね…」
「ええ……でも不思議なものですよね。まったく似ていないようでいて……」
「……何が言いたい」
八戒が言いかけた言葉は双葉にも理解が出来た。
似てないけど、どことなく似ている。
──三蔵に……
「そうとなったら善は急げ、や その妖怪の根城はどっちの方角に?」
「ここから西南に行った森の、小さな祠のある辺りのようです 少し遠いのですが……」
早速行動を移そうとするヘイゼルに対して町の人が場所の説明をした刹那……
「ああ、それは気にせんといてぇな うちらにはごっつう速い乗り物があるさかい、な?」
「~~~はあ!?」
「……絶対嫌なんだけど」
もちろんそんな事を三蔵が快諾する筈もなく……
「貴様が受けた依頼だろうが!俺達には何の関わりもねえ」
「冷たい事言わんといてぇな、ついでやないですか。三蔵はん達も西へ向こうてはるんやろ?」
「それはそうですが…」
「……強引すぎない?」
「乗せてってくれるだけでええんよ。手ェ借りたりはせぇへんから、それにやね…」
反対した三蔵にヘイゼルは……
「うち 車にいっぺん乗ってみたかったんやわぁ」
「……観光バスじゃねえんだっつの…」
「本当の理由ってそれじゃないの?」
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森の中、祠の近くに止めたジープの運転席に座る三蔵と助手席に座るヘイゼル。妖怪をおびき寄せるため2人を目立つところに置き他は茂みに隠れて待機状態。
「双葉ちゃん」
「何?だッ!!?」
悟浄に名前を呼ばれ振り返れば眉間に向かってベシッとデコピンを一発…。
「いったー……急に何!?」
「お前ずっと眉間に皺寄ってんぞ。そんな顔してっとどっかの生臭坊主みたいになっちまうぞ」
「…む〜」
「どうしたんです双葉?」
悟浄にデコピンされた所を涙目で抑えながら納得のいっていない双葉の様子に八戒が声をかける。
「……あんまりこういう事言いたくないけど……私、あのヘイゼルって人嫌い」
「珍しいな双葉ちゃんがそんなこと言うなんて」
目線をそらしながら呟いた内容にすこし驚く悟浄と八戒。
「だって 妖怪だの人間だの括り作ってさ何様よ!そりゃ今までだってそういう場面はあったけどさ…あの人3人のこと特に敵視してるって言うかなんて言うか…」
「…まぁあの人からしたら妖怪の僕らとは仲良くしたくないでしょうからね」
「それが気に食わないの!何も知らないくせに…あからさまに隠すつもりもないなんて失礼よ」
「えへへ」
「……何で笑うんですか悟空さん」
特に気にした素振りをしていない2人に対して気に食わないとむすっとした顔の双葉。
それまでずっと黙って話を聞いていた悟空はその光景を見て嬉しそうに笑っていた。
「だってさ、双葉俺らのことめっちゃ好きじゃん!俺らはそれだで十分だよ」
「そーそ、妖怪って言われたって俺ら半端者だしな。今更なんて言われようが気にしねぇけど双葉ちゃんがそう思ってくれてたらいいよ」
「ですね。そんなに感情を出してくれるようになったことの方が喜ばしいぐらいですしね」
「さ、さいですか…」
「「「さいなんです。」」」
「う、う〜」
「あー照れてる照れてる!」
顔を赤くして手で隠す双葉をつんつん突きながらからかう悟空。
「…よォよォ坊さんが こんな所で何やってんだァ?」
「自分の為の経でもあげに来たってか!!」
声が聞こえて来て視線を動かせば囮役の三蔵達に向かって襲いかかってくる妖怪達。
ヘイゼルがガトの名前を呼ぶと空から降りて来る。
怯む妖怪達に向かって「行きなはれ」の言葉と共に次々と撃ち殺して行く
「…なんか アッサリおとりにひっかかったなー」
「あんなわっかりやすい罠に引っかかることある?」
「何やってんだか俺ら…」
「ええ…しかしまだ全て片付いた訳じゃないと思いますよ」
双葉達も草むらから出てきてみればほぼ終息していた。
「ヒィ……!!」
「止めや。」
最後の一人となった妖怪にに銃口を向けるガトはヘイゼルの一言に従うようにピタリと止まる。
「はは 運がええなぁアンタ……ほな早速アジトまで案内してもらいまひょか?」
「ひとつお尋ねしたいんですけど、貴方がたはこの森で攫った女の人達を捕虜にしているのですか?」
「…それが何だよ」
「そーかそーか ま、せいぜい頑張って助けてやんな」
その返答に対して踵を返す悟浄にヘイゼルが「ホンマに手ェ貸してくれはらへんのでっか?」と声をかけてくる。
「ハッ、その手の挑発にゃもう乗らねぇぞ。大体、アンタらが勝手に引き受けた話じゃねぇか。なぁ三蔵?」
「ご覧の通り団体行動向いてないしね」
「付き合ってやるよ」
「……は?」
さすがに悟浄と同じ意見でこれ以上ヘイゼルたちと関わりたくない双葉しても三蔵の言葉には声が漏れた。
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乱暴に扉をノックするれば、中から「合言葉は?」と尋ねられ悟浄が「威風堂々」と返せば簡単に扉が寸前
「「お邪魔しまーーす。」」
悟浄がドアを足で蹴破り中へと入る。
「なんや お行儀悪やねぇ」
「っせーな どうしようと勝手だろーが」
「ちゃんと挨拶はしたぞ?」
中にいる妖怪達が警戒する中、気が抜けそうなほど警戒心の無い会話をする3人を他所にどんどん周りに集まってくる。
「侵入者だ やっちまえェ!!」
その合図に妖怪達が襲いかかってくるも次々叩きのめして行く。
「ま…まさか貴様があの有名なヘイゼル司教いっこ…「それはもうエエっちゅーーの」
不本意な呼び方をしてくる妖怪を腹いせと言わんばかりにげしげしと踏む悟浄。
「…あのな司教サマ、アンタらに手ェ貸すつもりはねぇぞ 俺らのやり方で片付けてやるよ」
「ほぉ そら頼もしいわあ」
「~吠え面かくなよ司教サマ!?」
「元気なお人らやねえ。」
襲ってくる妖怪達を倒しながら、八戒が最上階に向かうように指示をし悟空が一番乗りと言わんばかりに走って行く。
「おーーよ!!体力勝負なら負けねぇかん……な。」
なんて言っているのもつかの間、その数十歩前をヘイゼルが走って行ってしまった。
「は…速ぇ!!?」
「いやウチはそない足には自信ないんやけど……コンパスの差と違います?」
「どういうマウントの取り方よ…」
「悟空 そいつブチ殺せェ!!」
「コンパスの差なら悟浄だって負けてないっての!」
いちいち気に障る言い方をしてくるヘイゼルに対してもはや不満しか湧いてこない双葉。
「邪魔すんなっつーの!!」
「曲芸師かアイツらは…」
走りながら次々と敵を倒していく姿を見て悟浄が呆れたように呟いた。
前をどんどん走って行く悟空とヘイゼルを見ながら八戒が疑問を三蔵へと投げかける。
「三蔵 どういう風の吹きまわしですか?こういう事に首をつっ込むだなんて」
「………」
その問に対して何も話すことはなかった
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「あれ 行き止まりやね」
「こっちのドアから入れんじゃない?」
「避けろ!!」
先を行っていた悟空がドアを開けた瞬間、トラップの矢が飛んでいく。
それを予想していたかのように三蔵が声をあげ、双葉も悟空達の後ろの空間からクナイを飛ばし矢を弾く。
それと同時に入口の前へと向かい盾となり数本の矢を受けるガト。
「ガト!!…おい大丈夫か!?」
「…あぁ」
「言いましたやろ?うちと一緒におる限りガトは…死なへんのや」
「あ……そっか」
「ったく心臓に悪ィなオイ」
ヘイゼルは力を使いガトの傷を癒す姿に見つめる双葉と八戒。その隣で三蔵が呟く。
「あの力だ」
「え?」
「魂を自在に操る能力…奴がどんな聖人だか知らんが 人一人の手に負えるもんじゃねえよ」
「……あれはだめだよ…」
「双葉?」
いつもと様子が違い睨みつけるように見つめる双葉
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建物の最上階の部屋に入ってみれば妖怪の残党と行方不明になっていたと見られる女性たちの姿。
女性達に下着のような格好にさせ隣りに酒を飲んでいた妖怪達の姿を目撃して反吐が出る気分になる
「……ああ、しょーもな 色を好むんは英雄のみにあらず、やねえ」
そう話すヘイゼルの後ろでは
「あいででででッ!!」
「はさまってる はさまってるって!!」
「す…すまん」
ガトと悟空と悟浄が入口でなんでそうなった?と聞きたくなる挟まり方をしていた…
「~何やってんだバカどもが…」
「いやあ 向いてませんね団体行動」
「締まらないね…」
最上階への侵入者に対して妖怪達は衛兵達を呼ぼうと声を荒らげるも
「ああ、無駄ですよそれ 。一人残らずノンレム睡眠中でしょうから」
「何だと!?」
「貴様らだけでか!?…そんなバカな…!!」
「まぁ生きてればノンレム睡眠すやすやだろうけど…」
「えぇ。永眠の方もいらっしゃいますけどね」
にこやか返す八戒に妖怪達は信じられないと言う様な態度
「バカはどっちか試してみるか?度胸があればのハナシだけどな」
「くッ……!!」
「きゃ……!!?」
「どうせてめぇら この女達を取り戻しに来たんだろうが!!そこ退かねぇと女の命はねえぞ!!」
「いやあああ!!」
この状況に対して追い詰められた妖怪は手近にいる女たちをそれぞれ乱暴に引き寄せ盾にする
「チッ…ほんっと下衆どもが」
「双葉、言葉遣いだめですよ?」
「…ま~~~た このパターンかよ」
「仕方ありませんよ。彼らなりに必死なんですから」
「──それが どないしはりましたん?構へんよ 娘はんらごといっぺん死んでもらいまひょ。」
思いもしないヘイゼルの言葉に息を呑む。
「な…!?」
「残念やけどなそない脅し ウチには通用せえへんのですわ」
「ちょ…待てよ まさか…」
「本気か!?」
悟空と悟浄もその発言に言葉を失う。
「心配せんでも娘はんらは ちゃあんと生き返らせますさかい」
「そういう問題じゃねェだろーーが!!」
悟浄が叫び、状況を理解したのか人質にされている女性からは絶望の顔が伺える。
「妖怪は三匹 人質は三人。魂みっつ回収して三人蘇らせても、プラマイ0や」
「いやァあああ!!」
女性の悲鳴が響いた……
しかし──
「…邪魔しはるんはルール違反やおまへんの?」
ガトの銃口を下げる悟空と八戒。
ガトとヘイゼルの空間の周りに1歩でも動けは刺さる距離に双葉のクナイが現れる。
「──言っただろ 俺達のやり方があるんだよ」
その言葉と共に悟浄の鎖鎌が妖怪を引き裂いた。
女性達はその骸を見て悲鳴をあげる。
「きゃあぁあ!!」
「はい、落ち着いて下さい。もう大丈夫ですからね」
女性達を落ち着かせるように優しく話す八戒を横目に双葉は先程のヘイゼルの言動に怒りを露わにする。
「……ヘイゼル アンタ本当に人質ごと殺すつもりだったのかよ……おかしいだろそんなの!?」
悟空も怒りをヘイゼルに向けるも本人は至って悪気が内容に話し出す。
「…いややわぁ、ハッタリに決まっとるやないどすか 何をそないに怒ってはりますのん?」
「ハッタリであんな事言えるってあんたの方がよっぽど悪魔の分類よ…!!あんたの声色からは少なからず本気だった!!」
「あははっ面白いこと言いますわ。本気かどうかなんてわからんやないですの」
「……俺は確かに外の世界を知らないが、それでも分かる事がある」
ガチャと弾を込め直す三蔵。
足元で辛うじて息のある妖怪が三蔵に助けを乞う。
「――命ってのは、ひとつふたつと数えるもんじゃねえよ」
ガウンと銃声が鳴り響く。
