-無印篇-
この日1人の少女がこの世を去った…
名は林崎 双葉
まだ16歳だった双葉は久しぶりの登校中、トラックに轢かれそうになっていた子犬を助け命を落とした。
そしてこの日を境に1人の少女と別世界のとある4人の運命という名の歯車は重なり大きく動き出した――
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光を感じた。
もう感じることがないと思った温かな光…
そう思い固く閉ざしていても感じる光に導かれるように瞼を開き、ゆっくりと上半身を起こす。
目の前に広がるのは見知らぬ王宮のような場所だった――
「…どこ、ここ」
「よぉ。お目覚めか」
自分以外の声に驚きそちらの方へ振り返ると服装が際どいと言うか布の意味をなしていない物を着た見た目は女性?らしき人物が足を組み自分を見下ろしていた
「露出、狂…?」
「誰が露出狂だ。お前は相変わらずだな…。俺は観世音菩薩様だ」
「観音…菩薩?…」
「起きたばかりで色々と混乱もあるだろうなが、あんまり時間が無くてな。…悪いが単刀直入に言うとお前は先程死んだ。」
「…」
「…その反応からして理解しているようだな」
先程意識が飛ぶ前、今までに感じたことのない痛みと少しずつ薄れて行く真っ赤に染った視界……
そして最後に感じた生暖かい感触、あれは紛れもない自分の血だった…
「話が早くて助かる。確かにお前は死んだ。しかし何の因果がお前は元から生まれてくる世界を間違えた。…いや正確には何者かによって邪魔されたという方が正しいだろう。」
「どういうことですか?生まれる場所を間違えたってこと…?」
「簡単に言えばな。…お前の存在はこちらも分かっていたが、どこを探しても見つからなかった。それが他の世界に生まれ落ち、ましてや今日死ぬとは誰も予想してない事だった。運命なんてある程度決まってるようなもんだが、こっちからするとお前は全てが規格外の様な状態でな。そのままお前に死なれてはこちらとしても困るんだよ。お前が居るべきはずだった世界にお前の役割が必要なもんでな…」
この目の前の露出狂は一体何を言っているんだという目で見つめるも本人は至って嘘をついて居ない様子に黙って聞くしかないと思った。
別にあのまま死ねるならばそれもそれと思っていた。生に縋る気力などもう“あの日"からないのだから……
「これからお前には生まれるはずだった世界、桃源郷であるもの達と西へ旅をしてもらうことになる。」
「…?それって…生き返るってことですか?」
「あぁそんなところだな。俺は慈愛と慈悲の神だからな。本来はこちらで生死をする運命だったんだ。…まっ物事は誰しもが平等であるべきだと思ってな。」
「そう、ですか…菩薩様がそう言うなら従います。」
そこから双葉はこれから行く桃源郷という世界の事を簡単に教えられた。人間と妖怪。牛魔王。化学と妖術の合成。それらの影響で起こっている「負の波動」。蘇生実験阻止。どれも今まで生きてきた世界で言う御伽噺のような内容ばかり。
「旅をするに当たってお前に渡すものがある」
そう言い投げ渡された見慣れたリュック。
登校時に使っていた物だ。
そして菩薩の掌で光りを放つものが2つ
「これはお前の力になってくれる。使いこなせよ」
そう言うと双葉の中へ温かい光が入っていった。
「…ありがとうございます。あの、旅をするという人達はどんな人達なんですか?」
「どんなヤツらかは俺が言うよりお前が見てこい。…まぁ強いて言うならぎゃあぎゃあ騒いでうるせぇ4人組の男達どもだ。その中に金髪頭の僧侶がいる。そいつにこれを渡せ。」
僧侶なのに金髪?と思いながら手渡された4つ折りの手紙を受け取る。
「必要な事は教えた。今からアイツらのところまで飛ばしてやるから後はお前の思うようにやれ。行ってこい双葉。」
そう言われると共に押されそのまま蓮の花が咲く池へ背中から倒れる。
池へと倒れる瞬間、光の中へと吸い込まれるように双葉は消えていった。
「行かれたのですね…観世音菩薩。」
その光景を隅の方で見ていた観音菩薩のお目付け役 二郎神が少し悲しそうな顔で話しかけて来た。
「あぁ…今度はやりたかったことやり遂げろよ。」
池の蓮の花を優しくすくい上げ先程の少女を思う。
「誰しもが平等であるべき、か…柄にもないことを言うとはな……今度は離れるんじゃねぇぞ…双葉。」
そう願うように優しく呟いた──
❉あとがき❉
プロローグとなる蕾を読んでいただきありがとうございます。
4年前から書いては放置してやり直して書いては放置してやり直してを繰り返していましたが、やっと話数ができてきたのであげていたものを消して新しくあげました。
一応、BLASTまで頑張るつもりです。
全体を通したイメージソングは『ヒカリ証明論』
蕾~砂漠まで『Brave Shine』を聴きながら書きました。
どうぞよろしくお願いいたします
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