最後のピース
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2人が辿り着いたのは杯戸小学校。おなまーえは入るのに躊躇したが、安室は全く迷わずに進み職員室にたどり着いた。
「いきなり胸ぐらを掴まれたんだよ!!」
男性の怒鳴る声が中から聞こえる。安室はナイスと言わんばかりのタイミングで会話に入っていった。
「仕方ありませんよ。彼女にストーカー被害の依頼を受けていたんですから。遅くなりました。探偵の安室です。」
「呼んだのかね?」
「彼女の携帯の通話履歴に彼の番号もありましたからね。」
「そちらの女性は?」
目暮警部が不審げにおなまーえの方を見た。
「彼女は僕のフィアンセです」
おいおいおい、恋人からフィアンセに格上げされてるんだけど、適当なこと言ってていいの?とおなまーえは内心気が気で仕方ない。
「デート中に呼ばれたもので、お邪魔はさせませんから」
「端で静かにしてます」
おなまーえはぺこりとお辞儀をした。安室は警察官とは違う出で立ちの、外国人の2人を見て問いかける。
「そちらの2人は、英語の先生ですか?」
「あ、いえ。この2人はFBIの方達で、訳あって捜査協力を。」
「ホォー、FBIですか」
「アメリカ合衆国連邦捜査局ってやつですね。よく映画やテレビドラマでお見かけします。かっこいいですよねー。」
おなまーえは隣から痛い視線を感じた。安室はキッと彼らを睨みつける。
「……手柄欲しさに事件現場に出張ってきて、ドヤ顔で捜査を引っ掻き回し地元警察に煙たがれて、視聴者をイラつかせる捜査官ですよね。」
「なに!?」
「あ、別にあなた方のことを言ってるわけではないですよ!僕がみたのがたまたま。」
男のFBI捜査官は食ってかかろうとしていたが、女性の方がそれを止めた。安室が事件の詳細を警察に聞きに行ったので、おなまーえはFBIの2人に近づいた。
「すみません、うちのが……」
「いえ……」
「今日プロポーズしてくれようとしてたみたいで、邪魔されて苛立ってるんです。ごめんなさい」
「ジョディ先生!」
女性の方がコナンに呼ばれた。彼女は警戒しろという視線を男性に向けると、コナンの方へ歩いて行った。
「日本にはお仕事で?」
「いえ、観光ですが…」
「そうですか……。あの、お名前を伺ってもいいですか?私はおなまーえといいます。」
「キャメルです」
おなまーえはキャメルに近づき、安室から見えないようにスーツの裾を掴んだ。そして彼にだけ聞こえるように小声で質問する。
「………その、キャメルさん、お願いがありまして。」
「なんでしょうか。」
「私、彼にDVを受けてて……」
「えぇ!?」
「探偵という仕事柄、国内のどこに逃げても見つかってしまうので、海外に逃げたいって思ってて……」
「………」
「きっとFBIの方なら彼に見つからないように逃げるルート、ありますよね!?」
「まぁ、あることにはありますが……」
「お願い、助けてください……!」
うるうるした破壊力抜群の目はベルモットから教えてもらった。おなまーえはスーツを掴む手に力を入れる。
「でも……」
「本当につらくて、わたし……このままだと………」
「わ、わかりましたから!後日お話を伺います。これ、僕が日本にいる間でしか通じませんが、連絡先です。」
「!……ありがとう……っ!」
こいつはダメだ。すぐ口を割ってしまうだろう。
(赤井さんも、ドジな部下を持つと大変ね)
心の中でほくそ笑み、彼女は部屋の隅っこで大人しくしていた。