ギスギスしたお茶会
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「あ、そうだ」
話題を切り替えるように、安室はコナンに話題を振った。
「コナンくんは前にもここにきたことがあるって看護師さん達が言ってたけど、知ってるかな?楠田陸道って男。」
楠田陸道。キール捜索の際に組織がこの病院にはなった刺客だ。その時の資料には目を通してあるので、おなまーえは脳内で検索をかけた。
それにしても、おなまーえをこの病院に入れたのはこれが理由か、と彼女は苦笑する。
「……誰、それ?知らないよ?」
「実はその男にお金貸してて返して欲しいんだけど、ホントに知らないかい?」
「うん!」
「すごいね、君は」
(やっちゃったね、少年)
おなまーえは哀れみの視線を向けた。人を探しているかと聞かれればどんな人物かを聞くのが普通である。それをこの少年は真っ向から否定した。つまり彼は楠田陸道を知っている。
「大抵の人は自分の記憶に絶対的な自信はないんです。君はすごいよ!名前だけで知らない人だと確信できるんだから。」
「………」
コナンは何か見定めるかのようにおなまーえと安室を見る。
「ガキの言うことを間に受けるなよ。会ったことがあっても名前知らない奴はざらにいるし、あだ名とかで知らねぇやつもいるからよ。」
小五郎の言うことも最もだ。現に目の前の高校生探偵も自分の好きな推理小説から名前を拝借しているのだから。
「3!2!1!ゼロー!」
「「!」」
「どうかしたか?」
立ち話をしていた彼らの横で、男の子がカウントダウンをした。ただエレベーターが来るのを待つ間、数えていただけ。でもおなまーえと安室は大きく反応してしまった。
「あ、いえ、僕の昔のあだ名もゼロだったので呼ばれたのかと……」
「何でゼロ?確か名前透だったよな。」
「透けてるってことは何もないってこと。だからゼロ。子供があだ名をつける法則なんて、そんなもんですよ。」
おなまーえは自身の不甲斐なさを強く感じた。ゼロという単語に反応したところを、バッチリ江戸川コナン、もとい工藤新一に見られてしまったのだ。これではその身がバレるのも時間の問題だろう。
「きゃああああああ」
病院内に不穏な悲鳴が響き渡る。
「なんだ?」
「何かあったんでしょうか。おなまーえは病室に戻っててください。僕は様子を見てきますから。」
「はい……」
少し落ち込んだ様子の彼女に、安室は優しく笑いかけた。
「また今度デートに行きましょう。今度はドライブでも。」
「うん、ありがとう、透。」
彼がおなまーえを遠ざけるということは、関わる必要がないという意味。ドライブデートとは、すぐに次の仕事があるという意味。おなまーえはこくりと頷いて自身の病室に戻った。