14. 光の喜び、星の影り
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「そろそろ汝らも出てきたらどうじゃ?」
アリスに続いてバタンと書庫の扉が開き入って来たのはこの家の主人、ルーファス=バルマ。
彼はなんて事のない顔で3人を見渡した。
おなまーえは当然顔面蒼白である。
「なんじゃ、つまらん。汝は変装をしておらんのか。せっかく汝に似合いの制服を用意しておいたというのに。」
「ええ、生憎私にはあなたの掌の上で踊らされれるシュミはありませんので。」
「ふむ、やはり汝には気づかれていたか。」
「貴方がおなまーえさんの行動に気づかず、かつ屋敷へ侵入するのを許すはずはありませんし。それに、レイムさん。あの仕事バカがうっかり手帳の中身を見られるようなヘマするはずがありませんから。」
即ち、初めからおなまーえはルーファスの読み通りの動きだったのだ。
(……まぁ、結果的に問題なかったから、お咎めなし…かな?)
おなまーえはチラッと主人を盗み見た。
「……あやつも信用されたもんじゃのう」
「オズ君だって気づいてはいましたヨ?ただ彼はちゃんと踊らされることを選んだだけデス。」
「ふむ、それはそれで可愛くないのう」
どうやら兄もオズもお見通しだったらしい。少し悔しい。
ルーファスはちらりとこちらを見ると彼女の名を呼んだ。
「おなまーえ、汝には相応の罰を与える」
「あー、やっぱりですか」
「なんじゃ?お咎めなしかと期待していたか?いつものように……なぁに大したことではない。そう怖い顔をするな、帽子屋よ。」
ルーファスの言葉で振り向くと、ブレイクが彼を睨みつけていた。
誤解を解かなければ。
「だ、大丈夫です。ルーファス様はなんだかんだお優しい方ですので、酷いことはされませんから。」
「これ。我の威厳を損なうでない。」
「すみません…えっと、その…本当に大丈夫ですから!」
「ところで…よいのか、黒うさぎよ?汝の契約者の元へ行かなんで。」
鳩にかぶりついているアリスを見て、ルーファスが問いかけた。
彼女は無垢な目で答える。
「私はピエロとおなまーえが妙なことをしないように見張ってるんだ!」
その言葉におなまーえは頭を抱えた。
まさしく妙なことをしていた。
「…行って上げなさい、アリス君。多分今はオズ君のピンチですヨ。」
その言葉を聞くや否や、アリスは顔色を変えた。
メイド服の裾を掴んで部屋を飛び出した。
オズのピンチ……あぁ思い出した。
そうだった、忘れてた。
「まぁそう酷い目には合わされんだろうよ。」
「そうですねぇ…」
アリスが飛び出ていった際に散らばった本を片しながらおなまーえはげんなりと相槌を打つ。
ブレイクは不思議そうにこちらを見た。
「オズ様が不憫でなりません」
「不憫…?」
「はい」
「何しろあの男は、熱烈なジャック=ベザリウスのファンじゃからの」
「は?」
彼を知らないブレイクは拍子抜けした顔をした。
****
おなまーえは応接室に入ることはしなかったが、そこで何があったのかは聞くことができた。
オズの素晴らしい演技とルーファスのアシストのおかげで、ユラ邸で社交界が開かれることとなったのだ。
しかもオズの記念すべき社交界デビューだと言うのだから、当然四大公爵は招待される。
ギルやブレイク、そしてレイムやおなまーえも忍び込むことができるということだ。
end