ジャーファルと使用人のお話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「お疲れ様です!お先失礼しますね!」
「おお、今日もありがとな、おなまーえ。」
「お褒めの言葉ありがとうございます」
シンドバットはニコニコしながら、部屋を出て行こうとするおなまーえを引き止めた。
「にしてもあれから1ヶ月か。結局纏まった休みもとってないみたいじゃないか。大丈夫なのか?」
「その節は本当にご迷惑をおかけしました。お仕事楽しいので大丈夫ですよ。」
「まぁ見るからに最近調子良さそうだしな。ジャーファルとはうまくいってるのか?」
おなまーえは一瞬眉がピクリと動いた。持っていた掃除用具がカランと鳴る。
「はい。ジャーファル様にはよく気にかけて頂いております。それでは失礼しますね。」
「おう、呼び止めて悪かったな。」
パタンと部屋を出た。
「…………気づかれたかと思った」
コツコツとヒールを鳴らして城の廊下を歩く。すれ違う同僚、上官。一人一人に丁寧に挨拶をしていく。
(あぁ……、なんて……)
掃除用具を倉庫に入れる。ガシャンと大きな音がした。
(なんて、間抜けな人たちなのだろうか)
彼らは気づいていない。おなまーえはニィッと笑った。
(ここに叛逆者がいると言うのに。)
****
「もう何度も話し合ってはいるが、やはり足も掴めないか……」
八人将が揃う会議室。そこには重々しい空気が立ち込めていた。
「最初に"レジスタンス"が声明を発表したのが3週間前。そこから右肩上がりに被害額は増えております。具体的には重要貿易国との通信の傍受。貿易船の乗っ取り、沈没などなど。」
「本当に面目ありません。私がもっと注意していれば……」
「いや、スパルトスは悪くないよ。警備を強化しても奴ら先手を打って仕掛けてくるんだもん。」
"レジスタンス"を名乗るテロリストは外交が命のこのシンドリアの交易船から攻撃していった。
「にしてもこいつら、シンドリアの特色をよくわかってやってるじゃねぇか」
「そうですね。加えて上層部しか知らない交易船も的確に把握しているとなると……」
「あぁ。考えたくはないが、俺たちの近くにスパイが潜り込んでいる可能性がある。」
ヒナホホ、スパルトス、シンドバットが各々発言する。
「実行犯は何名か捕らえましたが、皆一様に『彼女がそう望んだから』と繰り返して自害しています。」
シャルルカンが背伸びをする。意味深げにヤムライハに視線を送った。
「黒幕は女ってことだよなぁ。」
「なによ。何で私を見るのよ。」
「いやー、べっつにー」
「む……あんただって酔った勢いで女の子に機密情報漏らしたりしてないでしょうね」
「そこまで馬鹿じゃねーっつーの!」
「2人とも、今は会議中だ。味方同士で疑ってどうする。」
叱られたシャルルカンとヤムライハは気まずそうに互いを見た。
「でもまぁ、そろそろ本腰入れなきゃっすよね。」
「ええ。それでいくつか作戦を練りましたのでこちらを。わかってはいると思いますがこのことは他言無用。今配ったものも回収してこの場で破棄します。」
「えらい念の入れようだな。」
「当たり前です。他国からも苦情が来ているんですから……」