とある一日のお話
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「こんにちは。皆さん帰りですか?」
蘭でも園子でもない、男性の声が響いた。ハッとして顔を上げると夕日をバックに我らが上司が立っていた。
「安室さん!」
園子が明るい声で呼びかける。そして彼女と蘭は目配せをした。
「えっと、私はこれから夕飯作ろうと思ってて….」
「私もそれを手伝うんです」
「え?」
ポアロでお茶をするのではなかったのだろうか。驚いて2人を見ると、園子がウィンクを返した。
「なら帰るのはおなまーえだけですね。送っていきますよ。」
「え?」
「そうしてやって!この子自分の容姿に自覚ないみたいだから!」
「えっと」
「はい、園子さんもおかえりの時は気をつけてくださいね」
「私は車呼ぶから大丈夫よ」
「それなら安心です」
「じゃあおなまーえさんまたね」
「え、あ…」
あれよあれよという間に話が進んでいってしまった。楽しかったとか、また誘ってだとか、色々と言いたかったのにと少ししょんぼりする。
「大丈夫ですよ。彼女たちならまた誘ってくれますって。」
おなまーえの思考を読んだかのように安室が口を開いた。なぜわかるんだ、と視線を上げる。
「知ってました?蘭さんたちや少年探偵団と一緒にいるおなまーえさんは本当に素敵な顔をしてるんですよ。」
彼は優しい笑みで告げた。赤くなった顔は夕焼けのオレンジ色でごまかせていると信じたい。
「さぁ、ご自宅まで送ります」
「え、いや、申し訳ないですって」
「僕の車は無事でしたから、それくらいはさせてください」
「………はい」
安室が歩き出したのでおなまーえもそれに続く。
「あ、そうそう」
思い出したかのように彼はこちらを向いた。
「おなまーえさんの車、流石に同じものは無理ですが多少の補助が経費から降ります。」
「え、本当ですか!」
パッと顔が明るくなった。
「えぇ。元の車の4割程度ですが、お見舞金という形で。」
元の車の4割となると280万程度は補助が出る。自身の貯金は100万と少し。
(つまり、アレなら買える………)
いっそ中古の軽で妥協しようかと思っていたが、思わぬ高待遇におなまーえは頬の緩みが止まらなかった。あからさまにテンションの上がった彼女に安室は苦笑した。
「次買う車、目星つけてるんですか?」
「はい!えっと、トヨタの86です!」
「本当にスポーツタイプが好きなんですね」
「えへへ」
彼女の笑顔はおもちゃを買ってあげると言われた小学生のようで、安室はこの笑顔を守りたいと心から願った。
今日も一日が終わる。