第15夜 戦火の爪痕
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しばらくしてぞろぞろとエクソシスト一行が入ってくる。
先に行った神田に文句を言う者(婦長にこってり怒られたらしい)、おなまーえに退院祝いを述べる者、皆それぞれだった。
執務室に集められたのはエクソシストと、アレンのお付きのリンクと、そしてクロス以外の元帥。
おきまりの挨拶をすませると、早速コムイは本題に入った。
「リナリーは寄生型ではないことが分かった」
「え?」
一部で予想外という声が上がる。
「寄生型は人体とイノセンスが結合し、肉体を“対アクマ武器”に造り変える。つまりイノセンスによる人体改造が行われた者の事なんだ。発動していない時は人の身体と同じ形態でいるが、その中身は人体とは別物の細胞組織で出来ている。」
例えばアレンやクロウリーは体の内部、細胞にイノセンスが宿っている。
それは同じエクソシストと言えども、装備型とは大きく異なるのだ。
ソファに座っていたソカロがニヤニヤとしながら口を開く。
「まわりくどく言うな室長。要するに化物になるってことだろ。」
「貴様は言葉を選べんのか、ソカロ」
クラウドが嗜めた。
続いてリーバーが口を開く。
「でもリナリーの足は、検査したところそういった変化はみられませんでした。体内にイノセンスの反応はありません。ただこの足に残った“結晶”、これは元はリナリーの血液だったものですが、今では全く別の金属組織に変わっているんです。」
リナリーの足首に装着されている赤黒い輪。
アンクレットのようだが、継ぎ目も無く取り外しはできなさそうだ。
「ヘブラスカもイノセンスの反応は此処からすると言ってる」
「なるほど、“血”が適合者の身体の一部…」
ティエドールが興味深げにその結晶をまじまじと見つめる。
「これは装備型の進化型だね。適合者の血液と引き替えにそこからイノセンス自体が武器を生成するタイプ。」
「元来装備型はイノセンスの制御が難しく科学班による“武器化”で力を抑えなければなりませんが、このタイプは血が両者の媒介になってより強い力を制御できるものになったと思われます。おそらく武器が損傷した場合も、適合者の血液さえあれば修復も可能でしょう。」
理屈はわかった。
だがやはり皆思うことは同じなようで、どんよりとした空気がエクソシスト陣から醸し出される。
「血ねぇ…」
「グロいなぁ…」
「うーん…」
「そんな顔しないで、言ってるこっちも同じ気持ちなんだから!」
貧血になったりしないのか等思うところはたくさんあるが、とにかく話を続けないことには始まらない。
コムイはコホンと咳払いをした。
「一応ボクらでこれを“結晶型”と名付けた」
「結晶型…」
リナリーが小さく呟くと、その声に反応してコムイが隣に座る彼女を見下ろした。
だがバチっと目が合った瞬間、コムイはサッと目を逸らした。
「コムイ、その結晶型はリナリーだけにしかならないのか?」
神田のこの言葉に、コムイの表情が一瞬引きつった。
「いや……まだ断定はできないが、おそらく他の装備型適合者にも起こる可能性は高いだろう」
他の装備型適合者にも起こる可能性は高い。
それはつまり、神田にもおなまーえにも進化する可能性は秘められている。
「神様は僕らを強くしたいってことか」
先日の襲撃は、江戸からの帰還直後で隙があったとはいえ、元帥がいなければ本部は壊滅していただろう。
伯爵がその気になれば、黒の教団などいつでも潰せると、そう言われているようにも感じた。
姉の姿を思い出し、おなまーえはギリッと唇を噛んだ。