第14夜 本部襲撃
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ザクッ
次の瞬間、リーバーに詰め寄っていた守化縷が真っ二つになった。
「……許さないぞ、お前たち」
見慣れた白いゲート。
白い道化の仮面。
「アレン…っ」
彼のイノセンスが守化縷を叩き割ったのだ。
アレンは床に転がされた研究員を、顔をしかめて見回す。
中には頭を潰されてすでに絶命している者もいた。
「よくも、みんなをこんな目に」
アレンはルル=ベルを睨みつけた。
「主人はお怒りになっている。卵は返してもらう。」
卵の真下に黒いゲートが開かれる。
ズブリと卵が沈み始めた。
白い箱舟からブックマンも降りてくる。
彼の放った
「ありがとう!」
「お主は班長を!」
「わかってる!」
彼女がイノセンスを持っていないのを把握しているようで、ブックマンは非戦闘員の保護を指示した。
自身の力量をわかっているおなまーえはそれに素直に従う。
リーバーを守りつつおなまーえはアクマを迎撃する。
足技で退避させることくらいしかできないが、何もしないよりはましだ。
「ギャッ」
「っ!研究員からはなれなさい!!」
守化縷はあいかわらず選抜を続けていた。
だがアクマが邪魔してきて、おなまーえはおろかアレンすら近寄れない。
ブックマンとアレンの2人はアクマの相手で手一杯であった。
『こいつらの死を無駄にするな』と言う神田の言葉が蘇る。
おなまーえはぐっと唇を噛んだ。
「この卵はなんなの?」
「あん?」
研究員の死を無駄にしてはならない。
この時間で引き出せるだけ情報を得なければ。
おなまーえは気が狂いそうになりながらも、努めて冷静に問いかける。
「伯爵がここまで必死になって回収したがってるんだもん。ただのアクマ製造機じゃないでしょ。」
「それをお前に教える義理はないねぇ」
「ならここの研究員を連れてってどうするつもり?」
「見てわかんねぇのか。おつむが足りない奴はこれだから。」
「卵の番人にでもするの?」
「ああ、そうさ。お前んとこの元帥が派手にやってくれたからな。」
思い当たるのはただ1人、クロス・マリアン。
今回の件は彼に非があるわけではないが、その間の悪さを少々恨めしく思った。
「おいアクマ。そいつやかましいから殺してくれ。」
「だがノア様がそれをお許しにならない」
「なら口きけない程度に叩いてやれ。こっちも暇じゃねぇんだ。」
「あいよ」
まるで、ちょっとそこのハエを潰しておいてくれと言わんばかりの言いようだ。
「っあ!!」
おなまーえは背後から締め上げられた。
少し伸びた髪を引っ張られる。アクマの冷たい唇が耳元に寄せられた。
「ノア様の命令だ、殺さないでおいてやるよ」
「っ、それはどうも」
「お前はオレ様の催眠で眠れ」
「っ…」
おなまーえに抗えないほどの睡魔が襲う。
まるでルル姉と最後の食事をした時のような急激な眠気だ。
「懐かしいなぁ、オイ。5年前もこうやっておねんねさせたの覚えてるか?」
鮮明に覚えている。
てっきり睡眠薬かなにかを混ぜられたのだとばかり思っていたが、どうやらこのアクマの催眠能力の仕業だったようだ。
「……っ、だめ……」
「そうさ。そうやって抗うがいい。お前は抗えば抗うほど、深い眠りに落ちるんだからな。」
「…っ」
無理やり副交感神経を働かさせられている感覚。
手の甲をつねっても、舌を噛んでも、その眠気には抗えなかった。
(また、こいつに負ける……)
おなまーえはばたりと倒れた。
****
たとえば、夜眠りにつく時。
次に目が覚めたら、実は今までの事全てが夢だったらいいのにと思うことがある。
この世界には千年伯爵もアクマもエクソシストもいなかった。
全部全部、私が読んだお伽話だった。
本のタイトルは――そうだな。
『アレン・ウォーカーの冒険』なんてどうだろうか。
『ブックマン活動日誌』『刀使い』『胡蝶の美女』なんてのもいいかもしれない。
……我ながらひどいネーミングセンスだ。
兎にも角にも、ここには驚異なんてなくて、平凡な毎日が繰り返される。
怖いお話だったと本を閉じると、一階から母の呼ぶ声が聞こえる。
そろそろお昼時だ。
本をほっぽり出してリビングに向かう。
ハープ職人の父も作業の手を止めて戻ってくる。
神出鬼没の姉はいつのまにか席に着いている。
ごく普通の家族団欒。
まるで何処かで読んだツマラナイ小説のようなオチで、読者はきっとガッカリするだろう。
でも、おなまーえの胸はぽっかりと穴が空いたように何かが足りなかった。
――彼は一体、どこに行ってしまったの…?
《第14夜 終》
____________
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
レベル4戦はアレンとリナリーのお話なので、おなまーえさんの入り込む隙がなくて、彼女には寝ててもらいます。
あと予告ミスした。
次で本当に完結!!
2019/03/17 少女S