第14夜 本部襲撃
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
イノセンスに頼りきりにならず、神田と鍛錬していたことを今は感謝している。
こちらを捕らえようと飛んできたアクマをそのまま回し投げして、別のアクマにぶつける。
「イッテェ!」
「この女、イノセンス持ってねぇのに!」
アクマの会話を聞いたルル=ベルは首を横に振った。
「そこのエクソシストは無視していいわ。殺す価値もない。」
「へ?ですがノア様…」
「邪魔なら捕らえてなさい。アレにも体力の限界はある。」
利き腕は痛めているので足を中心にして技を繰り出す。
「助けてくれぇ!」
「ヒィーー!」
「やめろぉおぉ!!」
遠くないところで科学班の悲鳴が聞こえる。
「っ…!」
戦力差は圧倒的だった。
おなまーえは唇を噛んで、それでも一体でも多くのアクマを振り飛ばすために奮闘した。
****
「っ…はぁっ…はぁっ…!」
「ノア様〜、こいつ殺しちゃダメですかねぇ?」
「ダメよ。私たちが用のあるのはエクソシストじゃないんだから。」
「っ…」
おなまーえはアクマに両腕を掴まれ、十字架に磔されるような体勢をさせられた。
イノセンス有りでもこの数は多いというのに、おなまーえは生身で戦っていたのだ。
だが彼女がここまで奮闘できたのはその実力故のことではない。
ルル=ベルがおなまーえを殺さないように指示していたからだ。
「主人の大切な"卵"。よかった…」
ルル=ベルは卵に擦り寄って、胎動をうっとりと聞く。
その彼女の前には地面に並べられた傷だらけの科学班。
お腹を貫通された者、足を壊された者、目を抜かれた者。
皆苦しそうに「殺してくれ」と呟いている。
だがアクマは彼らを殺さずに並べていく。
その光景はまさに地獄絵図のようであった。
吊るされたおなまーえにはなす術もなかった。
目下に広がる光景を見ていられず、目を背けた。
パッと見た様子だとリーバーやバクがいなかった。
無事に隠れることができたのだろう。
箱舟からまた別の化け物が出てくる。
骸骨兵の
アクマとは異なり戦闘には出ないものの、伯爵に従う魔導師である。
「ここの研究員達よ。時間がないの。早くしてちょうだい。」
「どれどれ」
守化縷は並べられた研究員の前に立ち屈んだ。
「デキのいい脳みそはいるかな?」
額に魔術を当てて何かを確認しているようだ。しばらくすると彼の顔にバツ印をつける。
「ん〜、ペケしたのは要らないよ」
そう言うとアクマは研究員の頭を踏み抜いた。
「ギャッ」
「っ!?」
「ハイ次。ん〜〜」
守化縷による選分と、アクマによる殺戮は止まらない。
「やめて!!殺すなら私にして!!」
おなまーえは声を上げて抗議した。
「ん?なんだアイツ」
「気にせず続けなさい」
ルル=ベルの冷たい声で、守化縷は選抜を再開する。
「っ、ルル姉は何も感じないの!?罪もない人たちがこうして殺されていることに、何も思わないの!?」
「何言ってんだ、このエクソシスト」
「頭打ちすぎてイカれたか?」
振りほどけないとはわかっていても、おなまーえは首を振って身をよじった。
「ルル姉が誰よりも優しかったのを知ってる!」
彼女は必死に叫んだ。
幼き頃の姉の姿を思い浮かべて。
「私が隣町に行きたいって強請った時も付き合ってくれた!リボンが欲しかったらこっそり買ってくれた!!街を出るときも私を殺さないでくれた!!」
姉が出て行った日、おなまーえの側には欲しいと言ったリボンが添えられていた。
隣町に置いて行ったのも、おなまーえを巻き込まないようにしてくれたからだとすぐにわかった。
「……別に、あなたを殺さなかったのはただの気まぐれよ」
「なら今ここにいるアクマに命令すればいい!そこのエクソシストを殺せって!!」
「………」
ルル=ベルは箱舟で戦ったときもトドメはささなかった。
火の中とはいえ、気を失ったおなまーえなどいくらでも殺せただろうに、そうしなかった。
今だって、彼女はアクマたちに捕らえろとは言ったが、殺せとは一切命じていない。
「ルル姉お願い!そいつらを止めさせて!!」
「ギャアアァ!!」
「止めさせてぇぇええーーっ!!」
尚も止まらない悲鳴。
ルル=ベルは何も答えなかった。
――ドンッ
拳銃の音が聞こえた。
おなまーえはそちらに視線を向けて目を見開いた。
「科学班班長のリーバー・ウェンハムだ」
「っ!ダメ、逃げて…!」
ただ1人の科学者がアクマや守化縷に敵うはずがない。
だが誰よりも部下思いの彼が黙って見てられるはずもなかった。
「デキのいい脳みそが欲しいんならオレをやれよ」
「"班長"!大歓迎だねぇ。じゃあお前2体目だ。」
守化縷は拳銃など恐れもせずリーバーに詰め寄った。
「やめてぇぇ!!!」