第12夜 箱舟
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
機を見て、2人はピアノのあった部屋に戻った。
リナリーから「後でじっくり話を聞く」と尋問申告され、おなまーえは血反吐を吐きそうな気持ちだった。
「江戸接続と言え」
元帥は相変わらず椅子に腰掛けてタバコをふかしていた。
「後でちゃんと説明して下さいよ」
「はいはーい!オレも聞きたいさ〜!」
アレンがなぜ箱舟を動かすことができたのか、ブックマンとしてラビも興味があるようだ。
「さっさとしろよ、モヤシ」
「アレンだって言ってるでしょう」
対して、アレンに全く興味のない神田は、早くここから出たいとアレンを急かした。
また火花を散らす2人の間に、リナリーが割って入る。
「ケンカしないの!」
「ほんっと仲良いよね、先輩とアレン」
「「誰がこんなやつと!!」」
「ほらそういうところ」
「おなまーえも煽らない!」
ようやくアレンは鍵盤に手を置いた。
「ほ、本船の江戸接続を解除。方舟よ、ゲートを開いてくれ。開くゲートの行き先は……」
彼は行き先を告げると慣れた手つきでピアノを演奏した。
緩やかで、まるで揺りかごに語りかけるような演奏。
しばらくするとズシンと箱舟が大きく揺れた。
「ゲートを開きます。少し下がっててください。」
「アレンくん本当に運転手さんみたい…」
「あはは…」
アレンは苦笑いしてピアノをポーンと叩いた。
――ヴンッ
白いゲートが開く。
このゲートは江戸に繋がっているという。
「おーい!みんな無事さー?」
我先にとラビがズボッと白いゲートに頭を突き刺した。
「怖くないの?」
「大丈夫みたいさ!ほれ、アレンもリナリーも。」
続いて2人もゲートをくぐる。
「よかった。ちゃんと外に繋がってますね!」
「本当だ!」
ゲートの向こうから、江戸に残してきたみんなの声がする。
「神田とおなまーえも無事か!?」
珍しくマリの大きな声が聞こえた。
随分と心配をかけさせてしまった。
「ほら、先輩も行きましょ?」
「チッ」
手を繋いで外に出れば、目の見えないマリが駆け寄ってきた。
「はーい!」
「うるせえ、マリ」
注目されるのを嫌がって神田は素っ気ない態度をとる。
「師匠〜!!」
「おい!」
「聞こえましたか!師匠!!」
だが死んだと思われていた2人が帰ってきたとなれば、神田の悪態など可愛いもの。
ティエドールは顔を抑え、ひたすらに頷く。
「私の新しく弟子になる子も無事か聞いてくれぇ……」
ティエドールの旅の目的は新しいエクソシストになる人を探すこと。
箱舟の中で、新たなる適合者がただ1人だけいた。
「え、まさか…」
「チッ」
神田は舌打ちをすると一度箱舟の中に戻った。
そしてチャオジーの首根っこを掴むとズイッと突き出す。
「ほらよ」
「ん…?あわわわ!ど、どうも……」
ポヤッとしていたチャオジーは突然注目されたことに慌てていた。
彼はこれから新しくエクソシストになるのだ。
「よかった…本当に……」
ティエドールはまた顔を覆うとボロ泣きする。
「よがっだぁあぉぉお」
「「「「もう泣かないでいいです」」」」
いい加減泣きすぎな彼に、全員からのツッコミが入った。
《第12夜 終》
_____________
書き始め当初は、箱舟(あわよくば本部襲撃)までしか書かない予定だったのですが、アルマカルマ編で書きたいシーンがあったので、本部襲撃編以降はエピソード的な感じでそのシーンのみ載せさせていただきます。
すみません、そのシーンに至るまでの前後が思いつかず、モチベーションも維持できないので、とりあえず次で完結。
それ以降はおまけだと思ってくださいませ。
ご期待していた方には申し訳ございません。
2018/12/23 少女S