第12夜 箱舟
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「出られるか今確かめま――」
外に通じるドアを探すため、アレンが手近なドアを開けて足を踏み入れた。
「っすよ?」
「わーー!!アレン下ぁっ!!」
ところがそこは何もない無の空間。
踏み出したアレンの足は重力に従って落ちていく。
「うわっ!」
「なっ!」
咄嗟にアレンは手前にいた神田の足を掴む。
「このっ!」
「んげっ!」
神田はラビの服の裾を。
「わぁぁぁっ!」
「きゃあっ!」
トップスがひっくり返ったラビは、ジタバタする足でおなまーえの肩に絡みついた。
「ふんっ」
そしてその彼女の左手をチャオジーが掴んだ。
「テメェ、モヤシ!」
「アレンです」
「落ちるなら一人で落ちろ!」
「外には繋がってないみたいですねー」
「ブッた斬るぞ!」
「し、締まってる…首……」
「おもっ…い……」
「うおぉぉおおお!!」
アレン、神田はただぶら下がっているだけだが、ラビはトップスで首がしまっている上、そのラビの足にしがみつかれているおなまーえは全員分の体重がその細腕にかかっている。
今にも折れそうなその腕をチャオジーが懸命に引っ張る。
「い…今引き上げるッス!」
「ご、ごめんチャオジー」
「急いで、マジ意識が……っ」
「肩外れるぅ…」
エクソシスト4名が全く役に立たないこの状況。
チャオジーだけでは4人の合計体重200キロオーバーを持ち上げられない。
――キュン
万事休すかと諦めかけたその時、空からまるで流れ星のような光が落ちてきた。
その光はチャオジーの左手に集まっていくと腕輪のような形状になる。
――ヒョイッ
「「「おおっ!?」」」
次の瞬間、全員の体が軽々と持ち上げられた。
ドシンッという鈍い音が4つ鳴る。
「イッ!」
頭部を強打したおなまーえはうずくまって頭を抑えた。
どうやらチャオジーはイノセンスの適合者だったようで、彼は腕についたソレを切なそうにじっと見つめていた。
「大丈夫ですか、おなまーえ」
アレンが彼女に手を差し出す。
「うん、ありがと…」
おなまーえは右手を出してアレンの手に掴まろうとした。
――ズキンッ
「っ……」
だが体重をかけた瞬間、やはり肩に激しい痛みが走った。
「どうしました?」
「いや、なんでもない」
顔を歪めたおなまーえを、アレンは心配そうに見る。
取り繕ったようにおなまーえは笑顔で首を振った。
「そういやさぁ」
ラビがしょぼくれたように小さな袋を持ち上げた。
「オレのイノセンス、大破しちゃったんだけど…」
どうやらノアとの戦いで大槌を砕いてしまったらしい。
向かいの神田も砕けた六幻の入った袋をじっと見つめている。
「コムイさんが直してくれますよ」
そんな2人を見て、アレンがけろっと答える。
だが問題はそのコムイなのだ。
Mr.タダでコトが済まない男。
彼の世話になるというのが一番憂鬱なのだ。
「そんなことより、クロウリーが目を覚まさないのが心配です。」
「そんなことよりって…」
「まぁそうね、早く地上で診てもらわなきゃ」
「リナリーと師匠が看てくれていますけどね……ふたりで」
アレンの発言に一同は凍りついた。
「「「!!!!」」」
「2人で?」
「女たらしと」
「リナリーが?」
「「「ふたりで??」」」
こうしちゃいられないと4人は走り出した。
「ま、待ってください!」
状況についていけないチャオジーが、風の如く走り去っていった彼らを追いかけた。