第7夜 旅立ち
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おなまーえはまずミランダのところに足を運んだ。
自分が見れない時は、大抵科学班で測定などをしてもらっている。
指導の甲斐あって、
彼女曰く、3日ほどは眠らなくても動けるらしい。
そろそろ次の技も提案したい頃である。
「ただいま」
「おなまーえちゃん!」
ひょこっと顔を覗かせると、ミランダが顔を明るくさせてこちらに駆け寄ってきた。
科学班とうまくやれるか心配していたが、どうやら杞憂に終わったようである。
「おかえりなさい」
「どう?無意識下でイノセンスを発動し続ける実験」
例えばミランダが睡眠している時、彼女のイノセンスのみが発動し続けてくれれば、体への負担は少なくなる。
そう考えて睡眠薬を服薬した状態でイノセンスを発動させる訓練をしていたが、彼女の顔を見る限りあまりうまく行っていないようだ。
「ごめんなさい……私ってば、本当だめね……」
しょぼんと肩を落とすミランダにおなまーえは慌ててフォローした。
「大丈夫!訓練してもどうしようもないのなら、それは最早イノセンス自体の性質。努力でどうこうなる問題じゃないよ。」
おなまーえだって、守護ノ矢をかけた時の拘束を何度外そうと努力したことか。
だがイノセンスの性質は変えられない。
それを受け入れて、尚且つ使いこなせるように工夫することが大切なのである。
「じゃあ次の技の提案」
「次…?」
ミランダは発動中の技を全て解除した。
「
「ええ」
「あれが結構丈夫だって書いてあったから、それで盾でもできないかなって」
ミランダは攻撃系の技は一切使えない。
となると探索班などの一般人と行動を共にすることが多いため、彼らを守らなくてはならないのだ。
「Lv.2のアクマ相手に守りきったって書いてあったから、力をコントロールし易くなった今なら、より強固なものができると思う」
「や、やってみるわ」
ミランダは自身の周りだけに
ドーム状の黒い壁ができる。
「時間を圧縮するように意識するの」
「……これっておなまーえちゃんの技よね」
「……そうだね」
方法は違えど、これは仲間を守るための技。
おなまーえの唯一のアイデンティティである。
だがミランダの時間の壁が結界になるのなら、そのアイデンティティは失われる。
(……というより必要なくなる?)
『弱えやつは嫌いだ。弱えくせに守るだのなんだのほざいているやつはもっと嫌いだ。』
「っ!」
思い出さないようにしていたのに、神田の言葉が頭の中でリプレイされる。
「……嫌だなぁ……」
「おなまーえちゃん?」
おなまーえは時間の壁をコツンと叩いた。
ちょっとやそっとでは壊れない、頑丈な結界だ。
これならばすぐに戦場に出しても問題ないだろう。
少なくとも守護ノ矢が使えない自分よりは仲間のためになる。
「ミランダの能力はすごいよ。私の力なんて簡単に超えちゃうくらい。」
「え…」
「あー、ごめん。ちょっと今日の稽古ここまで。科学班に結界の強度測ってもらっといて。じゃ!」
「おなまーえちゃん!!」
また逃げ出した。
しかも自分を慕ってくれている後輩を放り出して。
黒の教団の長い廊下をひたすら走って、自室に閉じこもった。
(最低だ、私)
膝を抱えてしゃがみこんだ。
今の自分は、イノセンスだけでなく心までもが弱い。
だから
(恋愛なんかにうつつ抜かしてんじゃないよ、バカ…)
頭を膝に伏せて、外界をシャットアウトするように塞ぎ込む。
こうすればもう傷つかないし、誰かが傷つくところを見なくて済む。
月明かりが部屋に差し込み、彼女を慰めるかのように包み込んだ。