第7夜 旅立ち
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「おかえり。早速で悪いんだけど本題に入らせてもらう。」
執務室に入ってすぐ、険しい顔のコムイがおなまーえを迎えた。
教団内には珍しくエクソシストの姿が多かったのが気になった。
「先日、元帥の1人が殺された」
「えっ…」
コムイが顔を俯かせるということは訃報なのだろうとは予想していたが、まさか元帥だとは思わなかった。
自身の師ではないかと心臓がバクバクと鳴る。
「どなたですか…」
「ケビン・イェーガー元帥だ」
ケビン・イェーガー元帥。
5人の元帥の中でも最高齢ながら、常に第一線で戦っていた人物である。
おなまーえも一度お話する機会があったが、普段は気の良いお爺さんという振る舞いであった。
「ベルギーで発見された彼は教会の十字架に裏向きに吊るされ、背中に"神狩り"と彫られていた」
神狩りとはイノセンス狩りという意味。
伯爵側からの挑戦的なメッセージである。
「奪われたイノセンスは元帥の対アクマ武器を含めて9個」
「そんなに…」
イノセンスは神の結晶と呼ばれる不思議な力を帯びた、謎の多い物質。
当然無限にあるわけではなく、神が創造した際には109個のキューブが存在した。
だがこのうち教団が現時点で回収できているのはたった50個程度。
そのうちの9個が破壊されてしまった。
「瀕死の重傷を負い十字架に吊るされてもなお、辛うじて生きていた元帥は、息をひきとるまでずっと歌を歌っていた。」
『千年公は探してる♪大事な"ハート"探してる。私はハズレ。次はだれ?』
「"ハート"……ラビから聞いたことあります」
109個しかないイノセンスの中に、ただ一つ心臓とも呼べる核のイノセンスが存在する。
それが破壊されればその他全てのイノセンスの力も無事では済まない。
だが伯爵側だけでなく、教団側もどれがハートのイノセンスかはわからない。
「伯爵はそれを狙っている。最初の犠牲者となったのは元帥だった。もしかしたら伯爵はイノセンスの適合者の中で、特に力のある者にハートの可能性を見たのかもしれない。」
「アクマに次ぎ、ノアの一族が出現したのもおそらくそのための戦力増強だと…」
強大な力を所持する敵に勝てるかわからない。
我々人類は圧倒的に不利なのである。
「ノアについてはこちらもまだ調査中だ。だがイェーガー元帥がやられてしまったとなれば、他の元帥にも危険が及ぶ可能性が高い。」
「つまり護衛任務ということですか?」
「そうだね。今世界中に散らばってるエクソシストを、それぞれの元帥の護衛任務に向かわせている。」
ということは、おなまーえは自身の師であるティエドール元帥を探しに行かなければならない。
あの人に限ってやられることは、と思ってしまうがそれは過信というものだ。
(でも私が行って何か役に立てる…?)
攻撃系の技しかできない今、彼女は神田やマリ、デイシャに比べたら遥かに弱い。
元帥を守りきれるかどうか自信がなかった。
「……どうかしたかい?」
「い、いえ…」
逆に考えよう。
師匠の元に行けば何かしらヒントが得られるかもしれない。
なぜ守護ノ矢ができないのか、相談することはできるだろう。
「わかりました。ミランダの様子を見たらすぐに出立します。」
「少しくらいなら休んでいっても構わないよ。すでにマリとデイシャが行ってくれてるし、幸いディエドール元帥はヨーロッパにいるからね。」
確かに、もう間も無くすれば神田も回復して合流するだろう。
今彼と顔を合わせるのはおなまーえの望むところではなかった。
「……ちょっとお言葉に甘えてもいいですか?」
「もちろん。休息は必要だ。ジェリーも君に会いたがっていたよ。」
かくして、おなまーえはしばらくの間、ホームで療養することとなった。