霧雨が降る森
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ドンドン ドンドン
「え?」
扉が強く叩かれた。
「須賀君!おなまーえちゃん!いるか!俺だ!望月だ!!」
続いて少し焦ったような望月巡査の声。
おなまーえはサッとパーカーを羽織って玄関の方に向かった。
扉に手をかけそっと開けた。
「どうしたんですか?」
望月巡査と言えども扉を叩くなんてことはしたことがない。即ちそれほど焦る出来事があったということだ。
少し遅れて須賀とシオリもやってきた。
呼吸を整える間も無く、望月巡査は口を開く。
「佐久間はここにいないか!?」
おなまーえは須賀の方を見る。彼は首をフルフルと振った。
シオリが補足説明をする。
「30分ほど前まではここに居たんですが、その、役人に文句を言って、それで出て行っちゃって……」
「役人?また来たの?」
おなまーえは須賀の方を確認するが、今は関係がないとでも言うように視線を逸らされた。
「この時間になっても帰ってこないと親御さんから通報があってな。そうか、ここにも居ないか。」
「今日雨ですもんね……」
「あぁ、土砂崩れも起きやすくなってるし、危険だ。」
望月巡査は顎に手を当てて考えこむ。
「しかし一度ここから出て行ったのか……。30分前、おそらくそれが最後の目撃情報だ。」
その言葉に背筋に冷たい汗が流れた。
「須賀君、すまないが屋敷周辺と館内を捜索したいので鍵を貸してくれないか。」
望月巡査の申し出に、須賀は快く頷いて鍵を渡す。
「すまんな。もしよかったら君達も協力してほしい。何かあったら俺に伝えてくれ。」
望月巡査はそう言うと3階から見回りすると言い、上がって行った。
「コウ、わたし村の人たちに話聞いてくるよ。30分前なら望月巡査と入れ違いになってるかもしれないし。」
須賀は少し考えるように目を瞑ると、手のひらをこちらに向けて来た。待ってくれと言う合図だ。
「わかった。とりあえず支度してくるね。」
サッと自室に戻り、須賀の刀と、自分用の小型のナイフを持つ。このナイフは須賀が護身用兼お守りにおなまーえのために作ってくれたものである。刀と同じく夜光石でできているため退魔の効果がある。
急いでロビーに戻ると、須賀がシオリに何かを渡していた。つい気になってそれを後ろから覗き込む。
(あれは……)
須賀がいつか大切な人を守るために、と一生懸命に削って加工して居たネックレス。3つの小さな夜光石がキラキラと光っていた。
(大切な人って、シオリさんのこと……?もしかして2人は以前から知り合いだった?)
シオリは記憶がないと言っているが、物心つく前にはこの屋敷にいた可能性が高い。その際に、同い年で地元育ちの須賀と、出会っていないわけがないのだ。
上の階に上っていくシオリを2人は見送る。