霧雨が降る森
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あれから数日経った。
おなまーえと須賀、そしてシオリの奇妙な3人暮らしは、それまでの生活にはさして影響を与えなかった。
おなまーえは昼間バイトに行くことが多く、あまりシオリと関わりを持たなかったということも理由の1つかもしれない。
だからこそ、自分が家にいない間の須賀とシオリのやり取りが気になってしまいモヤモヤとした気持ちを抱くのだが。
プォン
いつものように屋敷の横にバイクを止めると、見計らったように須賀が出てきてくれる。
「はぁー、今日はお客さん怒らせた人がいて、その尻拭いをさせられたよ。」
おなまーえが自身の肩をトントンと叩きながら玄関の扉をくぐる。
当然須賀からの返事はないが、その代わりにそっと頭を撫でられた。おなまーえは嬉しそに肩をすくめる。
買ってきたものを机に置くと、須賀はお風呂の方向を指さした。
「もうお湯入れてくれてるのね。ならお風呂先にいただくよ。」
彼はこくりと頷く。
こんな穏やかな日々が続きますように。おなまーえはそっと胸の中でつぶやいた。
風呂から上がり、黒のキャミソールに短パンというラフな格好で頭を拭いていた。
ほんのりと焦げ臭い臭いが漂ってくる。
まさか、と思い慌てて台所に入った。
「コウ!料理したの!?」
そこには仲睦まじく食器を片付けている2人の姿が。
「「あ……」」
おなまーえとシオリが同時に声を発した。
(なんだか、シオリさんの方が夫婦みたい……)
そんなことを思ってしまい、心の中のモヤモヤが増す。
実際お似合いな光景だと思った。だからこそ、辛い気持ちになる。
一瞬の沈黙の後、先に声を出したのはシオリだった。
「おなまーえさん、そんな格好……!」
しっとりと濡れた髪、血色がよくほんのり色づいている頬、はっきりと浮かび上がる鎖骨、人並み程度に豊かな胸、すらりとしていながらも柔らかそうな太もも。
思わずシオリは顔を赤らめた。
「え……?」
「え、じゃなくて!せめて上着か何か……!」
慌てふためくシオリに対して、おなまーえと須賀はキョトン顔である。
「大丈夫だよ、シオリさん。いつものことですし。」
「いつもの!?」
彼女はくるっとふりむいて須賀を睨む。
彼は困った顔で手を挙げて首を振っていた。察したおなまーえはあらぬ疑いを晴らすために弁解する。
「コウは変なことしないし、大丈夫よ。」
「でも!」
「小さい頃は一緒にお風呂はいってたもの。」
「ちょっ…そういう問題じゃ!」
真顔で話すおなまーえに、シオリは大きくため息をついた。
「流石に何か羽織ってください!」
そしてやはり同じことを繰り返し言ってくる。
おなまーえは「仕方ないなぁ」と言いながら寝室に向かっていった。
「そういえば、おなまーえさんの部屋ってどこにあるんですか?」
シオリが須賀に尋ねた。
彼は再び困った顔をする。
「あっちの部屋って、管理室と須賀さんの部屋しかないですよね?」
「………」
無言は肯定の証。そして彼は視線を泳がせた。
「まさか……」
「………」
「同じ部屋……!?」
須賀は否定も肯定もしなかった。
「っ〜〜〜!!変態!!」
おなまーえの想像と反して、2人の溝は深まるばかりである。