霧雨が降る森
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館の前にバイクを停めて、買ってきたものを持ち上げる。いつもなら、こうやって帰宅すると須賀がすぐに気づいて出てきて、荷物を持ってくれるが、来ないところをみるときっと例の少女を探しているのだろう。
玄関の扉を開けると館内は薄暗かった。
慌てたような足音が近づいてきた。
「ただいま、コウ」
ゆらりとした細長い影はおなまーえの手にある荷物を半分持ってくれた。もう一方の手には刀が握られている。
やっぱりと苦笑し、そのまま2人で台所に向かう。
「望月さんからきいたんだけど、女の子、ここにこなかった?」
ドサっと机の上に荷物を置いておなまーえは問いかける。須賀はこくりと頷き、指を二本立てた。
「2人?……あぁ、佐久間ちゃんもいるのね。」
こくり
「佐久間ちゃんは見つかった?」
こくり
「お客さんは?」
ふるふる
佐久間はいつものように簡単に見つけられたらしいが、少女はまだ捕まえられてないらしい。
「そっかー、なかなか逃げ足速いのね。」
こくり
この家には入って欲しくない部屋がいくつかある。今いる台所の奥、森へとつながる地下道のある部屋もその1つだ。ふと思い立って扉のドアノブに手をかけた。
「まさかこんなところに入ってたりしないよね…」
ガチャ
ドアノブが周り扉が少し開いた。
「「!!」」
2人して険しい顔をする。
この部屋は銀の鍵で締めてあったはず。今日は晴れてるとはいえ、何も知らない女の子が気軽に入っていい場所ではない。
スッと須賀が前に出た。
「もしいても驚かさないであげてね。私、館の電気つけてくる。」
扉とは逆方向の管理室に向かう。こっちの部屋は真っ暗のため、手探りで進む。
ゴンッ
「いたっ!」
何もないはずの空間にぶつかった。おそらく鍵の棚あたり。
「いたた……なんで扉開けっ放し……?」
疑問に思いながらも、その奥にある電気のスイッチを押した。
視界が一気に明るくなる。先ほどぶつかった鍵の棚を見た。
「木箱の暗証番号が開けられてる……」
よほどのことがないと須賀でも開けないあの部屋の銀の鍵がなくなっていた。
「戻ろ…」
再び台所に戻るとちょうど須賀が例の部屋から出てきた。彼の後ろにはオレンジのワンピースを着た女の子が見える。
「おつかれ。無事見つかったみたいね。」
ハッとした様子で彼の後ろから女性が顔を覗かせる。おそらく管理人の彼にすっかり怯えていたのだろう。ホッとしたような表情を浮かべていた。
「ようこそ、阿座河村資料館へ。私は雨宮おなまーえって言います。」
「は…い……」
女性は何か言いたげに口を開いたが、トントンと扉を叩く音に遮られた。
「あ、もう呼んでくれたんだ、警察。」
こくり
「じゃあロビーに戻りましょう。お嬢さんもこちらに。」
見る限りこの女性は須賀と同じ18歳そこら。自分はもう21歳。
女性は居心地悪そうに顔をうつむかせた。