霧雨が降る森
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
Another side
「佐久間ちゃん!制服!!」
おなまーえが急いで脱衣所の方に向かった。
残されたシオリと須賀は顔を見合わせるが、少し気まずく視線を逸らした。
「………須賀くん、私………望月巡査の調書が終わったら家に帰るね。」
「………」
「それから、この家のことなんだけど、須賀くんとおなまーえさんの好きにしていいよ。私はもう、両親のことも記憶も元に戻ったし。」
「………」
「佐久間ちゃんが言ってた通り、森は浄化されて"ことりおばけ"とのあの約束はなくなった。もう須賀くんがここに縛られる必要は無くなった。……沢山、迷惑かけてごめんなさい。」
彼女はぺこりとお辞儀をする。
「須賀くんの声を元に戻してあげることができなかったけど………。ありがとう、須賀くんの約束はこれで果たされたね。」
「………」
須賀はシオリの言葉をずっと静かに聞いていた。
彼に対して警戒心のなくなった彼女は屈託ない笑顔を向ける。
「とりあえず、今日はもう休もう。明日から相続の書類もどうにかしないといけないし、帰る準備もしなきゃいけないから。」
シオリはスタスタと歩き出した。しかし須賀はそれに続かない。
「あれ?須賀くん……?」
不審に思った彼女が立ち止まり声をかけた。
須賀が意を決したように、それでもやはり少し躊躇しながらシオリの前に立つ。
「どうしたの?」
「…………………」
長い沈黙の後、少し掠れた低い声が響いた。
「……しぃ、ちゃん…………」