霧雨が降る森
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ひと段落して、佐久間が再び泣き出す。
「お姉さん、よかった、ほんとに………。私、ごめんなさい。」
「大丈夫だから、泣かないで?」
一歩間違えれば誰か死んでたかもしれない事件をそんな風に優しく許せるシオリが、純粋にすごいと思った。
(だからこそ、彼は惹かれたのかな。)
望月巡査が口を開く。
「しかしあの森で起こったことはなんだ?俺は未だにさっぱり信じられんのだが。」
「まぁ、そうですよね。怪奇現象ってやつですから……。」
「うぅーむ。とにかく、今回のことは適当に報告書に書くからみんな口裏は合わせてくれよ。」
「はい」
「わかりました」
「……」
「……」
各々返事をする。あの現象を、見ていない人に説明したところで誰も信じないだろう。望月巡査の対応に感謝した。
「よし、じゃあ佐久間は連れて帰る。また後日調書をとるから、その時はよろしく。」
そう言うと彼はスタスタと歩き出した。しかし後ろをついてこない佐久間に気づき声をかける。
「早く行くぞ。親御さんが心底心配して待ってるんだ。」
「………」
「早くしなさい。俺も一緒に謝ってあげるから。」
その言葉に、顔をうつむかせていた佐久間の目が大きく見開かれた。
そして少し嬉しそうに望月巡査の後をつけるが、すぐにくるっと振り返りシオリを見た。
「言うの忘れてた、お姉さん。」
「うん?」
「あの森、もう大丈夫だよ。だって気配も声も聞こえない。みんな綺麗に浄化したんだね。もうお姉さんはここに来ても、いっそ住んでも大丈夫だよ!」
そう言うと、佐久間は須賀の正面に立ち、「ね?」と意味深い笑みを浮かべる。
スタスタと歩いて玄関を出ていく佐久間をついつい見送りそうになって、ハッと気づく。
「佐久間ちゃん!制服!!」
乾燥機にかけたままだった制服を取りに、慌てて脱衣所に向かった。
すでに乾いている制服を適当に畳むわけにもいかず、丁寧に折って紙袋に入れロビーに戻る。