霧雨が降る森
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キッチンの横を駆け抜け、急いで井戸に向かう。
「これ!だけど……」
佐久間が井戸の蓋をつかみ、持ち上げようとした。
「開かない!!」
「そりゃあ封印してるからね。」
おなまーえはナイフを取り出し、蓋の隙間に切り込みを入れていった。
早くと急かす声がするが、いかんせん十年以上開けられなかった蓋だ。そう簡単に開くものでもない。
なんとかナイフを一周させると、おなまーえより先に佐久間が蓋を持ち上げた。
パラパラと砂が落ちるが下に人の気配はない。
「誰がいないのー!?コウー!シオリさーん!」
おなまーえの叫びにも返事がこなかった。
外に行っていた望月巡査も戻ってきた。
「あっちは増水してて中に入れん。そっちはどうだ?」
「今呼びかけてるんですけど……」
「そうか……。おーい!誰がいないのかー?」
「望月巡査!おなまーえさん!私と須賀くんがここにいます!!」
ワンテンポ遅れてシオリの声が帰ってきた。
「お姉さん!!」
「佐久間ちゃん!無事だったんだね!」
「佐久間ちゃんは無事!2人とも怪我は!?」
「大丈夫です!」
「よかった……今登るもの持ってくるからね!」
おなまーえは急いで物置まで行き、簡易的なハシゴを掴んで井戸に戻った。望月巡査がそれを柱にくくりつけ、シオリが登ってくる。
彼女が踏み外しても大丈夫なように、その後ろから須賀がゆっくりと登ってきた。
佐久間がわんわんと泣いてシオリに縋りつき、望月巡査が安心したように苦笑いを浮かべた。
おなまーえは皆を誘導してロビーの方に移動させると、他の人の分のスープも用意する。
佐久間もシオリも須賀もロクに食事をしていなかったため、がっつくように胃に押し込めていた。