第9章 ピッフル国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌朝、おなまーえは自室で目を覚ました。ひどい頭痛がする。心なしか関節も痛い。
よたよたと廊下に出て階段を転がり落ちる。
――ドダダダッ
視界が目まぐるしい。
「イッっ!!」
「おっはよー」
ファイが声をかけた。
「ったー……おはようございます…」
時計を見れば随分な時間だ。そんなに遅くまで起きていた記憶がないが、まだ体は睡眠を欲している。
「足も痛いけど、頭も痛い…」
「昨日お酒飲んじゃってたからねー」
「私飲んでませんよ?」
「モコナがジュースと取っ替えてたの」
「あー…」
モコナならやりかねない。確かに昨日乾杯をして、数口ご飯を食べて、そこからの記憶が朧げだ。
おなまーえはソファに横たわる。
「はい、お水」
「ありがとうございます」
クピッと飲んだ水が体に染み渡る。
「昨日はごめんねぇ」
「え、なんのことですか?」
「んーん、こっちの話ー」
「?」
ジェットコースターがどうののあたりからふわふわした感じだった。
(それにしても、なんかいい夢見てた気がする)
ソファに横たわり頭を抱えながらも、おなまーえは満足そうに笑った。
黒鋼が起きてきた。
「おっはよー」
「すげぇ音がしたが」
「おなまーえちゃんが落ちた音ー」
ファイが指差す先にはソファに横たわるおなまーえがいた。
「二日酔いか」
そのまま黒鋼は部屋をぐるっと見渡した。
「小狼くん達お出かけだよー。買い物行ってくれてるんだー」
「あんだけ騒いで早起きかよ、ガキどもは」
「うぅ…」
「こっちのガキは静かだった分ボロボロだな」
おなまーえは気持ち悪そうに眉を寄せる。
「まぁまぁお父さん、朝ごはんにしようよー」
「誰がお父さんだ!!」
「あっ」
ファイがテレビ画面を見て声をあげた。大画面には黒たん号に乗る黒鋼が大きくアップで映っている。
「昨日のレースだー。『ひゅー』黒様かっこいいー。テレビ観てる人は黒たんが子持ちだとは知らないんだろうねぇ」
「だからその話題からはなれろ!!」
黒鋼の制止虚しく、ファイはこのネタを気に入ったようだ。次にテレビにはおなまーえのドアップが映った。
『我々が注目したのは今回初エントリー、おなまーえ選手!結果は8位と奮いませんでしたが、安定性のある走りっぷりでした!』
「今度はおなまーえちゃんだー」
映像の中のおなまーえは真っ直ぐに正面を見て、落ち着いた飛行をしていた。日々の特訓の成果がここに出ている。
黒鋼は満足そうに目を細めた。
『何よりこの可憐さ、凛々しさ。正に100年に1人の美少女と言っても過言ではございません!ネット上でもトレンド上位を占めるほどの人気者!決戦のおなまーえ選手に注目したいと思います』
「あ?」
「おなまーえちゃん注目されてるねー」
「……うぅ」
黒鋼とファイはソファで唸るおなまーえを見やる。顔を歪め、唸る姿はとてもじゃないが100年に1人の美少女とは言えない。
「うぅ…いたい…気持ち悪い…」
「……これ観ている人は、おなまーえちゃんがこんなになってるなんて知らないんだろうねぇ」
「だな」