第9章 ピッフル国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
――ぽふーん
黒鋼がサクラを布団に放り投げた。
「酔っぱらいのくせに、なんですばしっこいんだ。おまけに前より早いんじゃねぇのか、酔うの」
「予選を通過したのすごく嬉しそうだったから、早めに酔っちゃったんじゃないかなぁ。サクラちゃん、本当に一生懸命だったし」
「わたしも、いっしょーけんめーだった!」
「はいはい、そうだねー」
相変わらずおなまーえはファイに抱きついている。頬を膨らませたおなまーえの頭をファイが撫でた。彼女は嬉しそうにその手に頭を擦り付ける。
小狼がサクラに毛布をかけ、微笑んだ。
「寝るぞ、俺ぁ」
黒鋼が出口に足を進めながら呟く。
「そうだねぇ。本選に備えてドラゴンフライの整備しないと。小狼君も寝なねー」
「おまえはそこの小娘、どうにかしろ」
「でも離れてくれないんだもーん」
3人は部屋からでた。「忠告はしたぞ」というと、ひらひらと手を振りながら黒鋼は自室に戻って行ってしまった。
「おなまーえちゃんまだ寝ない?」
「うん」
「うーん、じゃあ少しだけお話ししよっかー」
ファイはおなまーえを引きずりながら自室に向かって歩いた。
**********
――ぽふん
ファイがおなまーえをベットの上に下ろした。
月明かりが窓から入り、彼女の白く細い首筋を照らす。ファイもベットに腰をかけ、少し体を傾けておなまーえに問いかけた。
「おなまーえちゃんは、この旅たのしい?」
「たのしい!」
「よかったよかった」
彼はおなまーえの柔らかい髪を撫でる。
「だってファイがいるもん!」
無邪気な笑顔。
「でもね、私は早くお家に帰らなくちゃいけないから」
「うん」
「ファイのこと、好きになっちゃいけないの」
――ぴたっ
撫でる手が止まる。
「……そうだね」
ファイは一瞬だけ悲しそうな顔をした。その笑顔が今彼の心をどれだけ締め付けてるかなんて、少女はしらないのだ。
「だめだよーぅ、オレなんかのこと好きになっちゃ」
オレは助けてあげられない。そんな余裕はないから。君はもっと関係のないところで幸せになるべきだったのに。
いったい誰にその魂を売り渡してしまったんだい。
「……」
ファイはすぐに真剣な顔に戻すと、ゆっくりと身体を動かした。
――ギシッ
ベットが大きく歪む。
横になったおなまーえに、ファイが馬乗りになった。
「あーあ、黒ぷんになんか言われちゃうかもなぁ」
「ふぁい?」
彼女はきょとんとした顔で見上げる。にへっとおなまーえは年相応の笑顔。可愛らしい笑顔とは対照的に、襟元から艶かしく鎖骨が見える。その対照的な姿に、より一層惹かれた。
「……」
「?」
ファイは右手をおなまーえの頬にあて、ゆっくりと顔を近づけると首に埋める。
「んっ…」
吐息がくすぐったくおなまーえは身をよじるが抵抗はしない。それを良いことに、そのまま肌に唇を寄せちゅうっと吸った。身体を起こし、今吸った部分を確認すると赤い華が咲いている。抵抗はない。
「ファイ…?」
どうせ明日起きた時彼女の記憶はなくなっているのだろう。あどけなくも色づいた唇に指を二本添える。
「ふっ?ん…」
暖かい口内に無遠慮に指を押し入れる。ほんの少しのお酒の香りを唾液とともにかき混ぜると、息苦しそうな声が上がった。頬の裏、舌の裏をなぞり、時折指を口から出しては入れるを繰り返す。
――ぴちゃ、くちゃ
いやらしい水音は耳を犯す。
おなまーえはほとんど意識がないようで、舌を絡ませることなくされるがままに蹂躙されている。
今この場にはふたりしかいなくて、ファイは男でおなまーえは女。そこからどうなるかなんて、想像に難くないはずたった。
――ガチャ
無慈悲にもファイの自室のドアが開くまでは。
「ファイさん、あの…」
「あ」
「……え?」
小狼が入ってきた。おそらく明日の用事を伝えにきたのだろう。
暫し小狼とファイが見つめ合う。
「し、失礼しましたーー!?!」
馬乗りになったファイと、頬を紅潮させたおなまーえ。小狼は一目で事を把握すると、勢いよく部屋から飛び出して行った。
「………ははっ」
1人取り残されたファイは我に帰り苦笑した。
「何やってんだろ、オレ」
こんな年端もいかない女の子に欲情だなんて、らしくない。
そのままおなまーえの横にゴロンと寝転がる。いつのまにか彼女は寝てしまっていた。
「…我慢できてないのはどっちなんだろうね」
呟きは彼女の耳には届かず、首の赤いあざは薄くなっていった。