6戦目
夢小説設定
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四苦八苦して、なんとか段ボールを家の中に置く。
おなまーえは嬉々として段ボールの開封作業を手伝った。
「こんなものまで扱ってるんですか!?」
「すごい…」
中から出てきたのは俗に言う、スーパーコンピューター。
こんなのを目の当たりにする機会なんて、普通の生活をしていたらまずないだろう。
「地元の電気屋っていうのは小売りが僅かでね。実は役所や学校、病院の受注が大半なのよ」
「だから潰れないんだ…」
「おなまーえちゃんって意外と辛辣だよね」
「これは太助さんのお店のものなんですか?」
「これ?ふふ、実は大学に納品する予定のものなんだけどね」
「それって大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫!借りるだけ借りるだけ!」
大量の段ボールと発泡スチロールを、おなまーえと健二が部屋の隅に追いやる。
「なんで急に?」
積極的に手伝ってくれるようになったのだろう、と健二は尋ねた。
たしかに健二と太助はそこまで接点があったわけではない。
太助は操作する手は止めずに、口を開く。
「健二くん、さっき万理子叔母さん達に向かって、堂々としてたでしょ。きっと佳主馬も見直したんじゃないかな。うちはどっちかっていうと、女系家族だから男が弱くってさ」
「みーんな女性陣に言い負かされちゃうもんね」
「そーそー。さーて、電源はっと」
「スパコンなんて動かしたらこのうちのブレーカー吹っ飛ぶでしょ」
「やっぱそうだよなぁ」
――ガッシャーーーン
突如、建物が崩れる音が響く。
まるで解体現場の工事音のようだ。
「なに?何の音?」
「どーいたどいたどいたぁーー!!」
まもなく万助と、彼の乗る大型トラック、そしてその荷台には大きな漁船がやってきた。
太助の乗ってきたトレーラーなんてちっぽけなものだ。
「「「……」」」
三人とも呆然と立ちすくむ。
驚いた顔の三人に気を良くしたのか、万助は無駄にイカ釣り用の照明を煌々と光らせる。
「う」
「まぶし」
「いいだろ、俺の船。新潟からぶっ飛ばして2時間だ。300キロワットまでカバー出来るぞ。おっといけねえ。こいつ、水冷だった!」
そう言うと、彼は船をクレーンで吊り上げ、庭の池に船を落とす。
そう、文字通り落とした。
――バシャアァン
必然的に舞い上がった飛沫は、もはや滝のように三人に降りかかる。
おなまーえの髪と服はびしょびしょに濡れてしまった。
「……すげえ」
「「……」」
何もかもが豪快で規格外。
陣内家の人間をよく知っているおなまーえからしてみても、これは異常なことだとよくわかる。
――プロロロ
今度は随分と静かな音で、迷彩柄の小型の車がやってきた。
健二はよろよろとそちらに歩み寄る。
「何ですか、これ?」
「ミリ波通信用のアンテナモジュール。松本の駐屯地から借用してきた」
小型のトラックにしか見えないそれは、軍の通信用アンテナ。
これも一般人ならまずお目にかかれることのないものだ。
「そんなことしていいの?権限あるの?」
「そもそも理一さんって自衛隊のどこ所属なんですか?」
「……ちょっと言えないとこ」
理一はニヒルな笑みを浮かべた。