6戦目
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リビングはがらんと静かになった。
残っているのは万助、電気工務店を営んでいる太助、軍人の理一、そして健二と佳主馬とおなまーえの6人だった。
「チッ、どいつもこいつも……それでも陣内家の人間かってんだ」
「気持ちは分かります。でも父さんも少しは大人にならないと。」
「お前に言われたかねぇや」
「……すみません、出すぎたことを言って」
健二は肩を落として謝る。
それに対し、理一がフォローを入れた。
「いや、君の意見は正しい。『人を守ってこそ己を守れる』」
「それ、自衛隊のモットー?」
「いや、『七人の侍』のセリフだ」
「残念、一人足りないね」
おなまーえが発言したことで、健二は彼女の存在を初めて認識したようにこちらに話しかけてきた。
「おなまーえちゃん、夏希先輩は?」
「えー?もう、健二さんたらこんなときも夏希のことばーっかり」
「い、いや、変な意味はないよ?」
「ふふ、わかってますよ」
おなまーえはいたずらっ子のように笑った。
「姉ちゃんは、今は落ち着いてる。随分としおらしくなってるけどね」
栄のいる隣の部屋から微動だにしない夏希。
おなまーえが様子を見にいったとき、彼女の手には、侘助が置いていったスマホが握られていた。
流石に健二にはそこまで言わない。
彼は少し安心したように胸をなでおろした。
「…そっか。おなまーえちゃんは?平気なの?」
「私は大丈夫。どっちかっていうと、こっち派なので」
こっち派とは、万助サイドという意味だ。
一方、万理子たちはいませっせと葬式の支度をしている。
「なんで?」
「ばあちゃんの最期の言葉」
「最期?」
「侘助叔父さん追い出したときさ、ばあちゃん言ってたじゃん。『身内のしでかしたことは身内でカタをつける』って。もちろん侘助叔父さんが全て悪いわけじゃない。けど、あの人の作ったラブマシーンが世界に災厄をもたらしてるのは事実。じゃあ陣内家の一員としては、あいつを食い止めるのが、ばあちゃんにとっての一番の供養になるんじゃないかなって」
万理子叔母さんたちを否定するつもりはない。
栄が亡くなって、大人しく喪に服すのは本来の姿だろうし、立派な供養だと思う。
ここにいる6人が好き勝手できるのも、彼女たちが家のことを回してくれているからだ。
その部分には感謝しなければならない。
その上で、私はラブマシーンを討つ。
世間様の役に立ててるかはわからないけれど、これ以上被害を増やさせないためにも、何もしないよりはマシだ。
『人の役に立つことをしろ』と、曽祖母はいつも言っていたから。
「よぉくぞ言った!!」
――バシッ
万助はおなまーえの覚悟を聞くや否や、小さな背中を思い切り叩いた。
「イッ」
「それでこそ陣内家の人間だ!おなまーえ、お前はいい女になるぞぉ!」
バシバシと叩きながら、万助は嬉しそうに声を張る。
「い、痛い…痛いって、叔父さん」
「師匠、おなまーえが痛がってる」
「ん?おお、すまんすまん」
佳主馬が声をかけて、ようやく落ち着いた。
背中が腫れてるんじゃないだろうかというくらい強く叩かれた。
父親にもぶたれたことないのに。
佳主馬は片手で、涙目のおなまーえの背中をさする。
それと同時にパタンと自身のパソコンを閉じた。
「太助叔父さん」
「ん?」
「店でパソコン扱ってる?」
「もちろん」
「これより良いマシンある?」
「そりゃあもちろん」
「……」
彼は無言で立ち上がった。
その目には闘志が揺らいでいる。
何を言いたいのか、何をするつもりなのか。
その場にいる全員が察した。
「佳主馬君」
「奴とどう戦うかって話。リベンジだよ」
その言葉に一同は息を飲む。
――男たちの作戦の火蓋が切られた。