#09
夢小説設定
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体がだるい。
まるで全身をバラバラに引き裂かれたかのような倦怠感が彼女を襲っていた。
「……そういえば、わたし…」
確か禾生局長と心中しようとして、エリミネーターに打たれたんだっけ。
仕事をしているときは全く気にしたことはなかったが、ドミネーターに打たれるってあんな感覚だったのか。
重い体を起こそうとして、自分の手がないことに気がつく。
これじゃあ立ち上がれない。
「……そもそもここってどこ?」
パイプが張り巡らされ、機械室のようにごちゃついた通路だ。
這いつくばって進む気力もなく、おなまーえはぼーっと天井を見上げる。
「……縢は無事かな」
謝りたいって言ってたんだっけ。
私も縢にたくさん謝りたいことがある。
振り返ってみれば、喧嘩ばかりの人生だった。
今更素直に謝るなんて柄じゃないけれど、最期くらいいいかな、なんて。
それで改めて、好きだって伝えるんだ。
「……好きだって、ちゃんと伝えればよかった」
ほろほろと涙が溢れてくる。
後悔ってしょっぱいんだね。
ポツリと漏らした独り言は、誰にも聞かれることもなく、廊下に響く――はずだった。
「なんだ、案外いい顔してんじゃん」
ハッとして声の方向に頭を向ける。
「っ!」
彼の姿を目に止めた瞬間、一瞬止まった涙がじわりじわりと溢れ出てきた。
「ヒッデェ顔」
「う、うるさい……バ縢」
彼はひょいっとおなまーえの脇に手を入れて彼女を立ち上がらせる。
不思議なことに、失っていた手は元どおりに生え、倦怠感もどこかに吹き飛んでいた。
彼の手は暖かかった。
「いくぞ」
「うん」
それは黄泉への長い長い道のり。
1人なら退屈でも、2人ならばきっとあっという間だろう。
幼い頃から夢見ていた光景を、2人はようやく叶えることができた。
【完】