#04
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
おなまーえはしょぼんと肩を落とした。
もし犬耳が付いていたのなら垂れ下がっていただろう。
「おなまーえちゃん。あなた自分の色相見た?言うまでもなくかなり濁ってるわよ。それこそセラピー受けてもいいくらいには。」
「う…」
パッと出された画面に映るおなまーえの色相はダークバイオレット。
犯罪係数もかなりギリギリの数値だ。
「せっかく休みもらったんだから、存分に療養しなさいな」
「……でも」
「事件のことはみんなに任せて、ね?お姉さんと待って――」
説得する唐之杜の前を縢が横切った。
彼はおなまーえの前にしゃがみこむと、彼女の頭をポンポンと手を乗せる。
まるで駄々をこねる幼子をあやすような手つき。
「…縢?」
「……昨日は悪かった」
「!」
仕事をサボって婚約者の元に行ったと誤解したこと。
男と体を重ねたと早とちりをして責め立てたこと。
おなまーえを一人で捜査に行かせてしまったこと。
それらを全部含めたごめんなさいの代わり。
「……こっちこそ…ひどいこと言ってごめん…」
縢の誠意に、おなまーえも答える。
最初に説明しておけばよかったのだ。
レイニーブルーが葉山の事件と関連があるか不明だったから、相談を怠っていた。
『報・連・相』が大事だって、いつも宜野座が言ってたじゃないか。
言葉にしないと伝わらないこともある。
おなまーえは小さく息を吸う。
「……それから、迎えに来てくれてありがとう」
一度ならず二度までも。
最初に駆けつけてくれたのはいつだって縢だった。
逆光に立つ彼がヒーローに見えたのは、おなまーえだけの秘密だ。
おなまーえの謝罪と感謝をしっかりと聞いた縢は照れ臭そうに立ち上がった。
「あー、あれだ。仇は必ず取ってやるからお前は休んでろ。」
「仇って…私死んでないけど」
2人は顔を見合わせて吹き出す。
全く、気を遣うなんて慣れない真似をしないでほしい。
嬉しくなってしまうではないか。
「じゃ、ちゃんと謝ったからな。大人しくその上がった犯罪係数落としとけよ。」
「…うん」
遅れを取り戻すために、縢は小走りで分析室を出て行く。
おなまーえは先ほどと打って変わって、大人しくソファに腰を下ろした。
唐之杜はそれを横目に見つつ、赤い唇から煙を吐く。
(好きな男の言うことは聞いちゃうのが女の子よね…)
みょーじおなまーえと縢秀星は両思いである。
別に2人から互いの気持ちを聞いたわけではないが、気がついていないのは当人たちだけなのではないか。
方や幼馴染が誘拐されて犯罪係数を一気に上げた男。
方やそれを追いかけて監視官にまでなった女。
各々が相手のために人生を捧げて生きている。
「……なーんか、砂糖水に蜂蜜入れたみたいな甘ったるいものを見させられたわ」
何もかもが初々しい2人を見て、唐之杜は嫌そうに眉をひそめつつ、だがその口角は隠しようもなく上がっていた。