第14夜 本部襲撃
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第14夜 本部襲撃
科学班以外立ち入り禁止。
その看板が建てられたのは、すでにおなまーえが中に入った後だった。
科学班に紛れて彼女はその卵を観察していた。
アクマの情報を得られる、またとないシロモノだと、みんな張り切っていた。
「あ!おなまーえなんで入ってんだよ!」
じっと卵を見つめるおなまーえに気づいたのはジョニーだった。
「やっほう」
「今日は科学班以外立ち入り禁止なんだからな!表に看板あったろ!」
「看板?見てないよ?」
「一体いつからいたんだよ!!」
「2時間くらい前から」
「なんで誰も気づかねぇんだ!」
おなまーえは背中をぐいぐいと押される。
「ほら出た出た!」
「私の武器、メンテ終わった?」
「終わったら連絡するって言ったろ!」
「それはそうだけど…」
「悪りぃなおなまーえ」
彼女に声をかけたのは、目の下にくっきりクマを作ったリーバー。
きっとこの
「人手不足でよ。まだもーちょい待っててくれ。」
「はーい」
別に催促しにきたわけではない。
今イノセンスがどんな調子なのか見に来ただけである。
四六時中一緒にいたイノセンスが側にないというのは、少々落ち着かなかったのだ。
「あーーっ!!」
おなまーえの背中を押していたジョニーが叫んだ。
「バク支部長、ダメっすよ今日は入ってきちゃ!」
「馬鹿者、僕は優秀な科学者だぞ」
北米支部長とオセアニア支部長を引き連れたバクが、なんの悪びれもなく、バリケードを超えて入ってきた。
「どうせ人手不足なんだろうが。ぜひ手伝ってやる!」
「そうよどきなさい三下」
「班長〜」
「ハァ…」
出て行く意思のあるおなまーえはまだマシだろう。
ジョニーは3人の支部長の前に立ち必死に追い返そうとしたが、彼らは引かなかった。
おなまーえは彼の肩を引く。
「まぁまぁジョニー。雑用くらいならさせちゃえば?」
「だめだよ、オレらの仕事なんすから〜」
――ズブッ
「……え?」
次の瞬間、おなまーえの目の前に鮮血が舞った。
この平和な科学室でそんなものを見るとは思わず、つい目を疑う。
ジョニーの身体を貫通するのは鞭のような腕。
オセアニア支部長のアンドリューは、穏やかな笑みのままその腕を引き抜いた。
「そうだね、仕事だ」
声色が変わる。
彼、いや彼女は腕を引き抜ききると同時にその姿を変えた。
「ワタシも、仕事だ」
――ドサッ
ジョニーが力なく地面に打ち付けられる。
「私は変身能力をもつ『色』のノア、ルル=ベル」
「ルル姉…っ!?」
「お前たちとはすぐ『さよなら』なんだけれど、挨拶はちゃんとしなさいと主人は言うから。」
なぜここにノアがいるのか。
本物のオセアニア支部長はどこに行ったのか。
よりによって何故姉なのか。
常ならばそんな疑問を抱いていたのだろうが、あまりの残酷なシーンに、おなまーえはただただ頭に血がのぼるのを感じた。
「さて、はじめましょう」
出入り口に黒い大きなゲートが開かれる。
お陰でここは密室空間となってしまった。
そこから這い出てくるのはLv.3のアクマ達。
彼女は今ここにイノセンスがないことをひどく恨んだ。
「みんな逃げて!!」
「「「うわあぁぁあぁあ!!??」」」
おなまーえは一番最初に飛び出てきたアクマに回し蹴りを食らわす。
少しでも時間稼ぎになって、少しでも多くの人が逃げ延びれればと願って。
だがここは表の出入り口以外密室であり、隠れる場所など数えるほどしかない。
(数が多い…!)
だがおなまーえが1体相手にしている間に10体が入り込んでくる。
イノセンスがないため破壊することもできない。
視界の端で、アジア支部のバクと北米支部のレニがジョニーを抱えて逃げていた。
「バク!!」
「っ!!」
バクに襲いかかったアクマに渾身のげんこつを食らわして、なんとか彼を先に行かせる。
右腕が痺れる。
振り向きざまのバクの目はおなまーえを置いていくことを躊躇していたが、彼女はアイコンタクトで「行け」と告げた。